小野大輔&島崎信長:「NIGHT HEAD 2041」で“ニコイチ”霧原兄弟に 直人の冷めない熱量 直也は精神力最強?

「NIGHT HEAD 2041」に出演する小野大輔さん(左)と島崎信長さん
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「NIGHT HEAD 2041」に出演する小野大輔さん(左)と島崎信長さん

 1990年代に放送され、カルト的人気となった飯田譲治さん原作のテレビドラマ「NIGHT HEAD(ナイトヘッド)」の新たな物語を描くテレビアニメ「NIGHT HEAD 2041」が、7月14日からフジテレビの深夜アニメ枠「+Ultra(プラスウルトラ)」で放送される。同作で超能力を持つ霧原直人、直也兄弟を演じるのが、小野大輔さんと島崎信長さんだ。テレビドラマでは、俳優の豊川悦司さん、武田真治さんが演じたことも話題となった霧原兄弟。互いに支え合う兄弟を「ニコイチ」と表現する小野さん、島崎さんに演技のこだわり、作品への思いを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇霧原兄弟役は「意外だった」 島崎信長演じる直也に「ワクワク」

 --「NIGHT HEAD」が「NIGHT HEAD 2041」としてテレビアニメ化されることを知った時はどう思いましたか。

 小野さん 僕らの世代だと、豊川悦司さんと武田真治さんが、とても色濃く記憶に残っています。あの時代の一つの社会現象になったテレビドラマだったので、それがまた現代によみがえるんだという喜びがありました。その作品に自分が関わるということに不思議な気持ちにもなりました。

 島崎さん 僕は「NIGHT HEAD」という名前しか知らなくて、出演が決まっていろいろ調べました。最初にコミカライズを読ませていただいたのですが、勧善懲悪でもないし、すごい超能力で巨悪を倒すでもない。力を持ったからこその苦しみもあるし、力あるからこそできることもあって、すごく人間を描いている作品だなと感じました。だからこそ、いろいろな人に見てもらえるような作品になったらいいなと思いました。

 --霧原直人はサイコキネシス、弟の直也はリーディングという自身の強い超能力ゆえに苦しみ、互いに支え合う姿は、テレビドラマ放送当時も反響を呼びました。「NIGHT HEAD 2041」で霧原兄弟を演じることへの思いは?

 小野さん 信長君とは別作品でも一緒に仕事をする機会が多くて、いろいろな役を演じているのを見ていますけど、まさか兄弟役を演じることになるとは予測できなかったですね。とても意外でした。僕が知っている信長君は、結構強いというか、しっかり芯がある。一方、直也の芯の強さは内にあるもので、表出するものは「兄さん、頭が痛いよ」というセリフにもあるようなもろさとか繊細さにはなってくると思うんです。そこを信長君はどんなふうに演じるのかなと、楽しみでワクワクしましたね。

 島崎さん 僕も小野さんと兄弟役をやるイメージは、今まで持っていなくて。直人は、今回のビジュアル的にも言動的にも、すごくクールで格好よくて、ダークヒーローのような感じというか。ポジティブな意味での中二病的な濃さ、輝きがあるように見えたんです。実際に、小野さんが演じている直人を聞くと、僕が想像していたよりもウェットでした。温かくて、優しくて、とても弟思いで、熱くて、実はやっぱり繊細で。小野さんが演じられることによって、直人の人間臭さがより表現されていて、だから、小野さんなんだなと思いました。

 ◇互いに支え合う兄弟 熱い直人とぶれない直也

 --演じる上で大切にしたことは?

 小野さん 直人に関しては、やはり最初にテレビドラマで見た時の豊川悦司さんの印象、クールな人というイメージが強かったんですけど、信長君が言っているようにとても人間臭くて、動揺もすれば恐れもするし、不安もずっとあるんですよね。そんな中で弟のためだけに進んでいく人、熱くて温かい人だと僕は捉えています。クールに見えるのも、内にある気持ちの裏返しで、あまりに沸々と湧き上がる情熱があるから、それを全部表に出すことはできない。そうすると弟が怖がるから、弟を守れないから。

 --全ての行動が弟に向いている?

 小野さん そうですね。持ちたくもない能力を持ってしまったことへの憤り、人の心を読むことができるリーディング能力を持ち苦悩する弟を直接的には助けることができない怒りがある。憤りや怒りは、すごく熱いものだと思うので、彼の中にある熱量を意識して、決して冷めないように演じようと努めています。また、直也のために熱を持ち続けるというのをずっと意識しています。

 --その熱を島崎さんも感じている?

 島崎さん 感じています。直也は、芯が強い子というのは間違いないのですが、イメージで演じないというのが大事だと思っています。とくに今回は大暮維人さんが描く直也が本当にキレイで可愛くて、脚本上でも繊細さが際立つ部分はあるんですけど、実は、リーディングで人の心が読める分、本当にいろいろなことを察して、考えている。彼の中での情報量はとんでもないことになっていると思うんです。イメージにとらわれて可愛く演じようとしたりはせずに、一人の人間として直也に向き合えたらいいなと。

 小野さん たしかに、今回のビジュアルや脚本から読み取れる直也のイメージは、もろさと弱さなんです。ただ、信長君と一緒にお芝居していて感じたことは、直也の芯の強さ。精神力は最強なのかもしれない。直人のほうが感情のぶれが大きくて、直也は揺れ動かされることはあっても、自分の中のぶれは全くない。だから、信長君が直也をやることになったんだと今思いました。

 島崎さん 兄さんが怒ったり、悲しんだりしているから、直也は自分を保てているというか。お互いにいろいろな意味で思い合っていて、助け合っている。

 小野さん ニコイチ感があるね。僕らも演じていて、この兄弟がどんどんいとおしくなってくるんですよ。とにかく幸せになってほしい。

 島崎さん 本当に善良ないい子たちなんですよ。

 ◇「NIGHT HEAD」の普遍性 今の時代にやるからこそ意味がある

 --「NIGHT HEAD 2041」は2041年を舞台に新たな「NIGHT HEAD」が描かれます。見どころは?

 小野さん 「NIGHT HEAD」が今の時代に即したものとして、3DCGを駆使して表現されています。古きよき飯田譲治先生の「NIGHT HEAD」がたしかにそこにあって、でも新しい兄弟として黒木兄弟が登場したり、近未来の設定であったりという新しい要素が違和感なく組み込まれている。今の時代にやるからこその意味があるストーリーにブラッシュアップされていると思います。

 島崎さん 収録も純粋に毎回楽しいです。毎週新しい台本をいただいた時に初めて続きが分かる。毎回「次はどうなるんだろう」と楽しみで、役者内でも盛り上がっています。

 小野さん 原作としての「NIGHT HEAD」をもちろん大事にしながら、新しい作品として「2041」に挑んでいます。毎回台本を読むたびに新しい発見があります。ただ、「NIGHT HEAD」も「2041」も描かれているテーマは、兄弟の絆、人と人との関わり合い、そこにある熱量だと思います。それは普遍的なもの。ぜひ「NIGHT HEAD」をまだ知らない若い世代の方にも見ていただきたいです。昔の「NIGHT HEAD」を知っているおじさんたちとも仲良く話せるようになるかも(笑い)。

 島崎さん 今回の作品は、見終わった後に、その人の人生に何か一石を投じたり、今後の人生にも残る役立つものをもらえるような作品になっていると思います。僕自身、役者としても、人としても、いいものをもらえていると実感しています。僕ら作っている人間が楽しんでいるものは、皆さんにも楽しんでもらえるのではないかと信じています。

 「NIGHT HEAD」は、超能力を持つ霧原直人、直也が自身の能力に苦しみながら、過酷な運命に立ち向かう姿を描くテレビドラマ。1991年に「NIGHT HEAD」の前身となるショートドラマがフジテレビのオムニバスドラマ「世にも奇妙な物語」で放送され、テレビドラマシリーズが1992~93年に放送された。

 アニメは、精神エネルギーの存在が完全否定され、超能力はもちろん、超常現象を扱った書物や映像なども禁止された2041年が舞台。強力な超能力ゆえに超能力研究所に隔離されて育った霧原直人、直也兄弟と、危険思想を取り締まる国家保安本部特務部隊に所属する黒木タクヤ、ユウヤが出会い、運命に翻弄(ほんろう)される。声優の櫻井孝宏さんが黒木タクヤ、小野賢章さんが黒木ユウヤを演じる。

 ※島崎信長さんの「崎」は「たつさき」

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