2001~02年に放送された特撮ドラマ「ウルトラマンコスモス」の20周年を記念したイベント「ウルトラマンコスモスナイト~20th Anniversary 君にできるなにか~」がこのほど、サンシャインシティ 文化会館ビル4階 展示ホールB(東京都豊島区)で開催された。イベントでは、ウルトラマンコスモスと一体化する主人公・春野ムサシ役の杉浦太陽さん、ムサシが所属する怪獣保護を目的とする組織・チームEYESのフブキ・ケイスケ役の市瀬秀和さんの“春風コンビ”が朗読劇を披露したほか、「コスモス」の思い出を語り、ファンの胸を熱くさせた。杉浦さんと市瀬さんに20周年を迎えた心境を聞いた。
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杉浦さん 当時の子供たちが一緒に仕事をするような年齢になって「見てました!」と言われるようになり、「僕たちのやってきた作品はみんなの心に残っているんだ」という感慨深い気持ちがありますね。20年をへてチームEYESのメンバーとイベントができるという幸せを感じています。
市瀬さん 20年たってこんなご褒美をもらえるとはね。
杉浦さん 僕たち2人とシノブリーダー(ミズキ・シノブ役の坂上香織さん)の3人で飲みに行ったりとか、昔は(チームEYESのメンバーと)よく会っていたんですけどね。僕が結婚してからはプライベートで会う機会が減って。
市瀬さん 僕が舞台をするようになってから仕事でも接点があまりなかったんですけど、久々に会っても距離感は全く変わっていなかったですね。
市瀬さん 撮影前から一緒に映画見に行ったりしていましたね。
杉浦さん 当時、現場が分からない中で(市瀬さんに)一番甘えていたかもしれないですね。僕は長男だったので、兄貴ができたと思ってずっとくっついていました。
市瀬さん 「コスモス」当時は彼が19歳、自分が26歳でかなり年下のイメージがあったんですけど、20歳ぐらい下の子と一緒に仕事するようになった今思うと、6歳差なんて同級生と変わらないですね。
杉浦さん 作品が終わった後も泊まりでイベントに行ったりして、フブキとムサシの時間が本当に濃かったですね。
市瀬さん イベントは子供たちだけじゃなくママのパワーもすごかった。
杉浦さん 夕方のニュースで取り上げられたこともありましたね。
市瀬さん イベントが中止になったこともあったね。
杉浦さん ありましたね! 「ウルトラマンランド」でアヤノ隊員(モリモト・アヤノ役の鈴木繭菓さん)と僕らの3人で盆踊りに参加する予定だったんですけど、やぐらに上ろうとしたら、人が押し寄せてきて中止になって。
杉浦さん 二人でシェパード(チームEYESの車)に乗ることが多くて、運転中に怪獣に襲われてドリフトさせて停車する場面もありました。そのカーアクションをスタントマンの方にやってもらうのではなく、「顔が分かっちゃうから」って僕がやったんですよ。それで言われるがままにやろうとしたら秀くんに止められて。
市瀬さん 「はい!」と答えているけれど、隣に乗っている僕は怖いじゃないですか(笑い)。「ドリフトやったことあるの?」と聞いたら「ないです」と言っていたので、やり方を教えて。一発で成功しましたけど、あのときはヒヤヒヤでしたよ。平気でやらせるスタッフはすごいなって。しかも、オンエアを見たら顔がよく映っていなかったし(笑い)。
杉浦さん ほかにも二人で行動するシーンって多かったですよね。僕がよく覚えているのは、ニセウルトラマンが出てくる話(第23話)の、秀くんがグミみたいな青いやつを吸っている場面。
市瀬さん あれは小道具の方が、切れないようにゴムっぽく作ったソーダ味のゼラチンをいっぱい現場に持ってきていて。「どれがいいかね?」って試して、結構な数を食べました(笑い)。それに、あの回は撮影に大遅刻してどうしても忘れられないですね。
杉浦さん タクシーぶっ飛ばし事件ですね(笑い)。
市瀬さん あれから僕は20年間、現場に遅刻したことはないです。しかも、自分がメインの回だったんで、やりづらいったらありゃしない(笑い)。あと、テックサンダー(戦闘機)のコックピットのシーンだけで出番が終わることが多かったのも覚えています。
杉浦さん 映画の2作目(「ウルトラマンコスモス2 THE BLUE PLANET」)もそうでしたね。
市瀬さん この人がサイパンで遊んでいるやつね(笑い)。
杉浦さん 一生懸命やっていましたよ!
市瀬さん (杉浦さんが)映画の撮影のためにスキューバダイビングの免許を取りに行ったり、サイパンに行ったりしていて。残った僕らはガランとした東宝ビルト(撮影スタジオ)でコックピットや司令室のシーンを撮影していたんですよ。一人がサイパンで遊んでいる頃に(笑い)。「2」はそのイメージがありますね。
市瀬さん フブキは自分の中に持っている正義について、真っすぐ進むということしか考えていなくて。怪獣は人間に害を与える存在というイメージがあったから、人間や地球を守るという正義を貫くために、怪獣を排除することしか頭になかった。それがムサシがチームに入ることによっていろいろ変わって、「ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス THE FINAL BATTLE」ではムサシの心を持ったチームEYESの隊長に成長したのだと思います。
杉浦さん ムサシはチームEYESで学んだことをへて、今は遊星ジュランで暮らしているんですけど、まさかアヤノと結婚して子供が生まれるとは思わなかった(笑い)。今もコスモスと一緒に怪獣保護の精神を胸に、ほかのウルトラマンと共演しながら歩んでいて。ただ、遊星ジュランで平和に暮らしながら、宇宙平和の管理も任されるようになったので、ちょっと卓越してきたなと(笑い)。コスモスと融合することでほかのウルトラマンとも交信ができるようになったから、今後も楽しみですね。
杉浦さん 当時はがむしゃらに突っ走って、「コスモス」からいろいろ教わっていたんですけど、ほかのウルトラマンシリーズと共演したときに「コスモス」は優しさの象徴なのかなと感じましたね。怪獣を保護する優しいウルトラマンって、共演させるときに扱いづらいと思うんです。それでも、今も“慈愛の戦士”として活躍していることに、愛されているなと感じます。
市瀬さん 僕は当時から「ウルトラマンコスモス」は優しい作品だという印象が変わっていないですね。いまだに「信じれば夢がかなう」ってせりふは残っていますし、「コスモス」が終わってからもあまり下を向いていない気がしますね。今も変わらず僕にとっての原点だと思います。
杉浦さん 「コスモス」が終わって、次々と新しいウルトラマンが出てくる中でも「コスモス」を忘れてほしくないと思っているんですよ。僕の中で一番大事な作品として心に置いてあるので、みんなに「コスモス」を忘れてもらわないような動きはしているつもりです。(『ウルトラマンダイナ』主演の)つるの剛士君もそうだと思うんですけど、「またやりたいです!」「コスモスを出して!」と言い続けて、自分たちのウルトラマンが忘れられないような努力をしてきたので、「コスモスナイト」はそれが実ったのかなと思いました。
杉浦さん 「ウルトラマンジード」の主演の濱田龍臣が印象的ですね。彼が子役の時代にバラエティー番組の「VS嵐」(フジテレビ系)で共演した時に「ウルトラマンコスモス見ていました」って言われて。その数年後にはウルトラマンになっていて、「コスモス」を見ていた子がウルトラマンになる衝撃を受けました。ただ、好きなのはコスモスじゃなくて(劇場版に登場した)ウルトラマンジャスティスだった(笑い)。
市瀬さん 僕は舞台などの現場で殺陣の指導をすることが多いんですけど、ある舞台の千秋楽が近づいた頃、子供たちに楽屋でいきなり「コスモス」のエンディングテーマを歌われたことがあったんです。「僕ら同年代でみんな『コスモス』を見てました」「言いたかったんですけど言えませんでした」と。1カ月くらい稽古(けいこ)していたのに(笑い)。少しこっぱずかしかったですけど、うれしかったですね。
市瀬さん 当時子供だった人が大人になって、子供と一緒に見られるという状況がドンドン続いていくと思うんです。僕は変身しない役なんですけど、“春風コンビ”としておじいちゃんになってもぶら下がっていこうと思います(笑い)。
杉浦さん 20年たっても「コスモス」を覚えていてくれる人、新しく「コスモス」を知ってくれる人がいて、改めてウルトラマンは永遠なんだな、と思いますね。僕がおじいちゃんになって「孫が見ています!」と言われるようになっても、「コスモス」を背負う覚悟はできているし、僕も一ファンとして応援していきたいです。20周年というのは30、40年と続いていくワンステップだと思うので、みんなで大事にしてきた作品をこれからも愛していきましょう!
「ウルトラマンコスモス」は、ウルトラマンコスモスと一体化した主人公・春野ムサシが、チームEYESで怪獣保護のため奮闘する姿が描かれた。円谷プロの動画配信サービス「TSUBURAYA IMAGINATION」では、「ウルトラマンコスモス」全65話のほか、映画「ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT」「ウルトラマンコスモス2 THE BLUE PLANET」「ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス THE FINAL BATTLE」を配信している。
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