柳楽優弥:30代突入で俳優としてリスタート 7年ぶり連ドラ主演で「味わったことのないドキドキ」

連続ドラマ「二月の勝者-絶対合格の教室-」で主演を務める柳楽優弥さん=日本テレビ提供
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連続ドラマ「二月の勝者-絶対合格の教室-」で主演を務める柳楽優弥さん=日本テレビ提供

 マンガ誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載中の高瀬志帆さんの同名マンガを実写化した、連続ドラマ「二月の勝者-絶対合格の教室-」(日本テレビ系、土曜午後10時)。本作で、約7年ぶりに連続ドラマの主演を務めるのが俳優の柳楽優弥さん(31)だ。柳楽さんは30代突入を俳優としてのリスタートだととらえ、「ここでデカくならないでどうするんだ」と力を込める。そんな柳楽さんにこれまでの役者人生を振り返ってもらいつつ、新たなフェーズに進んだ今の率直な思いを聞いた。

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 ◇「僕が怖がっていてはいけない」 30代座長としての意識

 柳楽さんの連ドラ主演は、今作が約7年ぶりで、30代になってからは初となる。「ちょっとドキドキしちゃいますね……(笑い)」と照れた様子で、「スケジュールにたくさんのプロモーション、『こんな感覚あるんだ』という“うれしい疲労感”を味わっています。生放送の番宣も緊張しましたし、初めて出会ったドキドキと闘っています」と語る。

 2002年に芸能界入りし、既に19年のキャリアを誇る柳楽さんだが、「背中を見てきた先輩のようにかっこいい、芝居のうまい俳優になりたいという思いがずっとある」という。「常に『去年より今年』と考えていて、なかなか客観視するのは難しいんですが……」と吐露しつつ、演じるスーパー塾講師・黒木蔵人と重ね合わせた座長としての意識を明かす。

 「やっぱり子役たちの前に立つと、みんなはとても純粋な目で僕を見ていて。だから、僕が怖がっていてはいけないし、黒木が生徒たちを合格させると信じるような気持ちで、僕も座長として臨む、というのが自分の中でテーマになっています」

 そんな柳楽さんにとって、新任講師・佐倉麻衣役で共演する井上真央さんは心強い存在だ。「僕が少し心配になってモニターをチェックしていると、さりげなくスッと隣に来てくださったり。良い距離感で接してくださって、とてもすてきな方だと日々感じています。劇中では佐倉に厳しい黒木ですが、裏では真央さんに支えていただいています(笑い)」と、謙虚な姿が印象的だった。

 ◇黒木は「薄っぺらく見えてはダメ」 画面上での“説得力”大切に

 柳楽さん演じる黒木は、「中学受験は課金ゲーム」「合格に必要なのは父親の経済力と母親の狂気」といった考えを持つ、超現実的で本音主義の塾講師。ドラマが放送されると、視聴者の間では「柳楽さんの黒木先生めちゃめちゃハマり役」「イメージぴったりでした!」「原作の再現度高い!」と反響を呼んだ。黒木を表現する上で、柳楽さんは「映像に映ったときの説得力」を大切にしているという。

 「黒木ははっきりと物を言う人なので、薄っぺらく見えてはダメだなと。『確かにあなたに言われたら…』と納得してもらえるキャラクターにしたいですし、利己的に言っているのではなく、いろいろな経験を経て、黒木なりのベストを教えていることをしっかり伝えられたら」と思いを明かす。

 当初は「心にグサッと刺さるようなインパクトのあるせりふを、どのくらいのテンションで言うべきなんだろう」と悩んだというが、撮影を進めるにつれ、黒木が厳しくある理由を実感。「嫌われることを恐れずに意見していくリーダーだとは思いますが、物語が展開していく中で、なぜ人にはっきりと物を言うのか、その意味が理解できてくるというか」。自身で得た実感が、役にも反映されているようだ。

 ◇「現場に行くのが怖かった」 もがいた若き日乗り越え、その先へ…

 本作は、昨年7月期の放送を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、今年10月期に延期。約1年3カ月の時を経て、撮影に挑んでいる柳楽さんは「講師役の皆さんとはこの作品のユーモラスな世界観を、監督も含めて作り上げられているんじゃないかと。子供たちも本番の声がかかるとしっかり集中していて、感心させられます」といい、「撮影は順調に進んでいるのかなと感じていて、去年、延期になってやっぱり悔しかったですけど、今では乗り越えてよかったと思っています」と充実感をのぞかせる。

 昨年のコロナ禍は、柳楽さん自身にとっても影響があった。「まとまった期間が取れたことで、本当の意味で自分を休ませることができた。ずっと仕事に突き進んできた10~20代を振り返って、これからの30代を冷静に考える時間になりました」と振り返る。

 「正直に話すと、10代のころは主演作のオファーが多かったのですが、そのぶん、毎日現場に行くのが怖かったんです。自分の実力に見合っていないような気がしていたし、もっとうまくできないのかという気持ちが特に強くて。一方で、20代はワンシーンだけの出演であっても、積極的にチャレンジしようと取り組んできました」

 役者としてもがいてきたこれまでを経て、「30代は『よし、また戻ってきたぞ』『ここででかくならないでどうするんだ』という気持ち。一つのフェーズが変わったというか、完全にリスタートですね」と力を込める。

 「マイナスを乗り越えるからこそ、プラスに変えていけると思うんです。僕自身はまだまだ頑張りたいですし、30代としての落ち着きも身につけていきたい。黒木先生のように、自分が好きだと思えるキャラクターにもたくさん出会いたいです。探りながらではありますが、僕なりにキャリアを築いていけたら」と等身大の言葉で語ってくれた。俳優人生の“新章”を歩む柳楽さんの背中をこれからも追い続けたい。

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