黒羽麻璃央:原動力は“恐怖心” 「大丈夫かな、といつも思っています」 “本番一発勝負”の「サクセス荘」は「すごくリスキー」

映画「映画演劇 サクセス荘」でケントを演じた黒羽麻璃央さん
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映画「映画演劇 サクセス荘」でケントを演じた黒羽麻璃央さん

 “2.5次元俳優”が集結するテレビ東京のドラマ「テレビ演劇 サクセス荘」の映画版「映画演劇 サクセス荘」(川尻恵太監督)に出演する俳優の黒羽麻璃央さん。「サクセス荘」は都会の片隅にひっそりとたたずむ一軒のアパート「サクセス荘」を舞台に、“一旗揚げたい”と成功を夢見る若者たちを描いている。黒羽さんは映画でもドラマ版に引き続き、夢は漫画家でベレー帽に丸メガネといういでたちのケントを演じた。黒羽さんにこれまでの「サクセス荘」やケント役への思いなどを聞いた。

 ◇“本番一発勝負”は「すごくリスキー」
 
 「テレビ演劇 サクセス荘」は、2.5次元舞台を手がけるネルケプランニングと、連続ドラマ「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)の脚本を担当した徳尾浩司さんがタッグを組み、「本番一発勝負」で制作された新しいドラマとして、2019年にスタート。2期が2020年7~9月、3期が今年1~3月に放送された。映画は、1~3期のレギュラーメンバーが全員出演。さらに謎のセレブ集団、通称“S4”が登場し、サクセス荘に最大の危機が訪れる……という内容。

 映画化について、「やるだろうな、と薄々思っていたので『いよいよ来たか』という心境でした」と黒羽さん。ドラマで演じてきたのは、夢はマンガ家のケント。ベレー帽に丸メガネという独特のいでたちが印象的だ。そんなケントを演じるうえで意識していたのは「変な存在」だったという。「ずっと、まともな人にはなりたくないな、と思っていました。ケントは『この人、変だな』という存在でいようと。テンションが上がるとねじが取れちゃう、みたいな、ちょっと危ないところにいる人になりたかったんです。ねじの緩い人(笑い)。大事にしようと思ったのはそこですね」と振り返る。

 これまでのドラマシリーズについては、やはり“一発撮り”が魅力であり、同時にリスキーで挑戦的な部分だと考えている。「見ている人は面白いかもしれないけれど、役者にとって、すごくリスキーなことでもあるし、挑戦的な部分でもあります。ほかの現場では味わえない緊張感があるというか……『恥をさらしてなるものか』と(笑い)」と語る。

 そんな緊張感あふれる撮影ゆえ、普段とは違う脳が働いている感覚になるという。「噛(か)んでNGとか出せないし、せりふも飛ばせない。だから、演じていてどこか冷静な部分がありますね。普通の芝居より、相手のせりふをもっとちゃんと聞く、とか……。カットが途中でかけられないので、違う脳みそが働いているときがあります。糖分をたくさん使いますね(笑い)。だから、(撮影後に)お弁当をめっちゃ食べます。チョコレートとか、めちゃくちゃおいしく感じますよ。疲れ方がびっくりするぐらい全然違います」と現場での様子を明かす黒羽さん。「自分を追い込んで追い込んで……見ている分には絶対楽しいんですけど、やる方は大変。無事に撮影が終わってからは『ああ面白かった』と思えるけど、やっている最中は面白がっている余裕がない」と苦笑いで語る。

 今回は、そんなテレビシリーズの映画版。手応えを聞くと、黒羽さんは「ちょっと変な人たちばっかりな、夢を追っている同居人たちの話。夢を持つ素晴らしさ、仲間を持つ素晴らしさを届けてくれる、人間味のある、温度のある作品になっていると思います」と自信をのぞかせた。

 ◇原動力は恐怖心 「怖いなと思いながら生きています」

 現在、舞台にテレビドラマにと幅広く活躍する黒羽さん。順調にキャリアを積んでいるように見えるが、実は常に不安を抱えているという。

 「何をするにしても、不安の方が大きいかな……。『怖いな』と思いながら生きています。『やっていけるのかな』とか『この仕事続けていける実力あるのかな』『みんなが納得する力があるのかな』と、ずっと思っていますね。年齢と共に、かっこいいとかスタイルがいいとか、そういう次元じゃ済まないようになってくると思うんです。そう考えたときに、自分って大丈夫かな、といつも思っていますね」

 ただ、不安や恐怖は自身を突き動かす原動力でもある。

 「仕事で結果を出すしかないですよね、安心して取り組めるように。原動力は、やっぱり恐怖心だと思うんです。だから、希望よりも『この先食っていけるかな』という不安の方が大きいですね。確固たる地位のようなものがないと怖いです。明日の保証がない世界なので」

 最後に今後の目標を聞いてみると、自らが原案を手掛ける舞台を実現させたいと野望を明かす。

 「自分の考えている舞台を、原案を担当するぐらいの感覚でやりたいな、とずっと思っています。演出とか脚本を書くのは無理だと思うんですが、『こういうものを題材にした舞台を作りたい』という思いはあって。アイデアはあるので、いつか自分の手でやりたいなと思います」と声を弾ませて語っていた。

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