ドラゴンボールDAIMA
第10話 ウナバラ
12月16日(月)放送分
人気マンガ「うる星やつら」が36年ぶりにテレビアニメ化されることが発表され、当時のファンだけではない幅広い年齢層の間で話題になった。どうして「うる星やつら」はここまで認知されているのか。アニメコラムニストの小新井涼さんが独自の視点で分析する。
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寅年の本年、あの「うる星やつら」が再びテレビアニメ化されることが発表され、新年早々話題となりました。
テレビアニメの放送は36年ぶり、原作マンガ誕生からは実に40年以上もたつ本作。それにもかかわらず、いまだ多くの人たちから注目を集め、これだけ話題になったのは一体なぜなのでしょうか。
一番に思いあたるのは、リアルタイム世代以外にもファンが非常に多いことです。時代描写こそ当時の昭和50~60年代ではありますが、ドタバタなSFラブコメや個性的なキャラクターなど、いつの時代に見ても色あせない普遍的な魅力を持つ本作。アニメの再放送や、今も現役週刊連載中の高橋留美子先生の最新作から歴代作品をさかのぼるなどして、原作連載・アニメ放送終了後に本作にハマったという人もかなり多いことでしょう。
加えて、「犬夜叉」「らんま1/2」「うる星やつら」あたりを通ってきた年代のファンにとっては、コスメやアパレルコラボなど、近年の大人ファンに向けた展開によって、大人になって改めてキャラの可愛さに触れ、作品熱が再発した人も少なくないと思います。
本作が特徴的なのは、それにしても「どうやって知ったの?」と思うような、今の10代といった極めて若い層にまでしっかり浸透している点です。配信環境はあるものの、頻繁に再放送が行われている訳でもなく、全員が原作マンガを読んでいる訳でもなさそうなのに、本作が認知され、受け入れられているのはなぜなのでしょうか。
理由のひとつは、本作のヒロインであるラムちゃんが、もはや作品の文脈を越えた“いちキャラクター”としても認識され、可愛いと親しまれているところにあると思います。ジャンルこそ違いますが、例えば「パワーパフガールズ」や「スヌーピー」なども、可愛いとグッズを買う若い世代は多いものの、その全員が原作のアニメやマンガまでをチェックしている訳ではありません。同様に、マンガやアニメは見たことがないけれどラムちゃんは何となく知っていて、近年の大人ファン向けグッズなどを可愛いと思い所持する人も多いのでしょう。
ラムちゃん同様、若い世代にも本作が知られている要因としては「ラムのラブソング」の存在も大きいと思います。恐らく、テレビのアニソン特集や上の世代とのカラオケで映像と共に耳にしたり、YouTubeやTikTokなどでカバーを耳にすることがあるのではないでしょうか。若い世代でも、アニメは見たことないけれど「ラムのラブソング」は知っている、歌えるという人は少なくないと思います。
また、そうして本作のキャラや主題歌が若い世代にも受け入れられている背景には、誕生から半世紀近い年月を経たことで、それらがレトロポップでおしゃれで可愛いとされているところもありそうです。
実際に、近年展開されているコスメやアパレルグッズには、当時の原作イラストも使われていますが、古臭いどころかむしろそれが可愛いですし、「ラムのラブソング」をはじめとするアニメ主題歌も、ちょうど同時代のYMOなどを彷彿させるテクノポップ調のものが多く、今聞いてもおしゃれなものばかりです。
これらもあって本作は、若い世代の間でもキャラや楽曲の認知度が高く、さらにそれらも、古臭いどころか一周回っておしゃれで可愛いと、好意的に受け入れられているのではないでしょうか。
長い間大きな動きがなかった作品にもかかわらず、本作のアニメ化がこれだけ話題になったことには、こうして原作連載やアニメ放送終了後も人気が拡大し続け、本作を好きなファンが現在幅広い世代に存在していることが大きいと思います。さらにそのファン層も、本作を“懐かしい”と感じる20代以上の人たちだけでなく、それ以下の若い世代にまで、おしゃれで可愛いと新鮮に受け入れられ、拡大し続けているのです。
今回のアニメは原作から選び抜かれたエピソードが放送されるということで、上記若い層だけでなく、恐らく他にも存在する“キャラや主題歌は知っているけど実はアニメやマンガは見たことない”人にとっては初めて原作の雰囲気に触れる機会にもなると思います。それをきっかけに原作マンガや旧アニメシリーズに触れてみる人も出てくるなど、ますますファン層が拡大していくことも期待されるのではないでしょうか。
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。明治大学大学院情報コミュニケーション研究科で、修士論文「ネットワークとしての〈アニメ〉」で修士学位を取得。ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)の全アニメを視聴して、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続中。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、現在は北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程に在籍し、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。
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