竹内涼真:どう見られたいか「考えなくなった」 今、俳優として大切にしたいこと

「君と世界が終わる日に」シーズン3で主演を務める竹内涼真さん
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「君と世界が終わる日に」シーズン3で主演を務める竹内涼真さん

 ドラマシリーズ「君と世界が終わる日に」で主演を務める俳優の竹内涼真さん。かつては俳優として「国民的になりたい」と語ることもあったが、現在は「その気持ちはもうほとんどないかもしれません」という。その背景には、3作にわたって主演を務めた同シリーズの存在もあった。シリーズ最新作の裏側を掘り下げながら、演じることへの意識の変化と、今、彼が俳優として大切にしたいことに迫った。

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 ◇万全の準備で臨んだシーズン3 撮影は「前より楽しめている」 

 「君と世界が終わる日に」は、日本テレビとHuluの共同制作ドラマ。ゴーレムと呼ばれるゾンビが出現した終末世界を舞台に、主人公の間宮響(竹内さん)と恋人の小笠原来美(中条あやみさん)たちが、生き残りを懸けて戦いに身を投じていくサバイバルラブストーリーだ。2021年1~3月に日本テレビ系でシーズン1が放送、3月から動画配信サービス「Hulu(フールー)」でシーズン2が独占配信され、今年2月25日には「金曜ロードショー」(日本テレビ系)で特別編も放送された。

 25日にHulu独占配信がスタートしたシーズン3では、シーズン2のラストで姿を消した来美を探すために、三原結月(横溝菜帆さん)と旅へ出た響が、ゴーレムの惨禍で新しい世界の創設を目的とする宗教団体「光の紋章」にたどり着く。そこで響は信じられないものを目の当たりにする……というストーリー。

 昨年3月にシーズン1、2の撮影を終え、10月末から特別編、シーズン3の撮影がスタート。竹内さんは「その間に別の作品に参加していたので、体作りはもちろん、響の気持ちを取り戻していくのはなかなか大変でした。でも、スタッフの方を含め、チームワークができ上がっていたのでたくさん話し合えて。準備はしっかりできたと思います」と手応えを明かした。

 5月にはミュージカル「17 AGAIN」を経験し、「すごく稽古(けいこ)期間の大事さに気づかされた」と話す竹内さん。だからこそ、自身にとって万全の状態でシーズン3に臨めたことは大きかった。

 「シーズン2でできずに悔しかったことを、全て解決してからシーズン3に入りました。そのおかげで不安もなく、撮影も前より楽しむことができていますし、シーズン3は確実にいいものになっていると実感しています。スタッフとキャストが信頼し合っているから、話し合いもスムーズで、意見の共有もすぐにできる。難しいシーンもみんなで乗り越えていける、とてもいい関係性で撮影できています」

 ◇「ゴールまで美しく描く」 “繊細な作業”がもたらしたもの

 生死をかけた極限状態での人間模様を描く本作。撮影期間中は作品にのめり込んでいたといい「家に帰っても、撮影現場にいても、あまり変わらなかった」と振り返る。そういった状況で竹内さんはどのようにメンタルを保っていたのだろうか。

 「この作品は特に過酷ですし、響の感情の起伏も激しいので、家で休んでいてもやっぱり役のことを思い出してしまう。そういうときには自分の好きな物を食べたり、こだわってコーヒーを入れたりして気持ちを保っています。でも僕の場合は、全く役から抜けるというのもなかなか難しくて、役を離れすぎると不安になってしまうんですよね。なので、どこかに役を残しつつ、違うことをして気分転換するという感じです」

 そんな作品に長く携わり「シーズン1、2、3を経て、ゴールまで美しく物語を描いていくのはものすごく繊細な作業。それを日々、スタッフの皆さん、監督、キャストと積み重ねているのは、俳優としての成長にもつながっていますし、他の作品に参加する際にもプラスに働くんじゃないかと思います」と充実感をのぞかせた。

 ◇演じることへのスタンスに変化 今、俳優として大切にしたいことは…

 冒頭の「国民的になりたい」という言葉は、2017年に出演したNHK連続テレビ小説「ひよっこ」に出演していた当時のインタビューで語っていたことだ。5年がたった今、自身が掲げた理想に近づけているか、質問をぶつけてみた。

 「当時そう思っていたのは確かで、僕もよく覚えています」と話す竹内さん。「少し前までは自分の演技がどう見られて、どう評価されるのかを考えていましたが、今となってはその気持ちはもうほとんどないかもしれません。それって演技の中で必要なのかなって」と率直に明かす。

 「今一番楽しいと感じるのは、みんなで作品を作る中で何かが生まれる瞬間なんですよね。俳優としていい演技をしたいという気持ちももちろん大事だけど、いい作品作りにおいては邪魔になることもある。僕が今大切にしたいのは、現場の皆さんときちんと関係を築いて、良い作品作りができる環境を整えること。そこで自分もパフォーマンスできればいいのかなと思います」

 さまざまな現場を経験したことで、演じることへのスタンスに変化が生じた竹内さん。「その先で頑張りが評価されることがあれば、それは自分にとってご褒美になるのかもしれないですね」と語っていた。

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