ミステリと言う勿れ:闘病、虐待の持論に視聴者共感「いつも気づかされる」 久能整の名ぜりふ振り返り第2弾

連続ドラマ「ミステリと言う勿れ」のワンシーン(C)田村由美/小学館 (C)フジテレビジョン
1 / 1
連続ドラマ「ミステリと言う勿れ」のワンシーン(C)田村由美/小学館 (C)フジテレビジョン

 俳優の菅田将暉さん主演のフジテレビ系“月9”ドラマ「ミステリと言う勿(なか)れ」(月曜午後9時)。田村由美さんの同名人気ミステリーマンガ(小学館)が原作で、社会で当たり前とされていることに疑問を持ち、切り込んでいく主人公・久能整(菅田将暉さん)の持論が話題だ。視聴者の共感を呼んだ、第5~7話の整のせりふを振り返る。

ウナギノボリ

 ◇「病に負けたから死ぬんじゃない」

 第5話(2月7日放送)では、整が入院先の病室で元刑事の牛田悟郎(小日向文世さん)と隣になる。「俺はもうすぐ死ぬんだよ」「長い闘病生活の末、病気に負ける」と嘆く牛田に、整は「僕ずっと疑問に思ってました。どうして『闘病』って言うんだろう。『闘(たたか)う』と言うから勝ち負けがつく」と話し始めた。

 「例えば有名人が亡くなったときに報道ではこう言います。『病には勝てず』『病気に負けて』『闘病の末、力尽きて』どうして亡くなった人をむち打つ言葉を無神経に使うんだろう。負けたから死ぬんですか? 勝とうとしたら勝てたのに、努力が足りず、負けたから死ぬんですか? そんなことない。僕ならそう言われたくない」

 そして「勝ち負けがあるとしたら、お医者さんとか医療ですよ。その時点の医療が負けるんです。患者本人が、あなたが負けるんじゃない」「病に負けたから死ぬんじゃないです。僕はそう思います」と自身の考えを語った。視聴者からは「心にしみた」「いつもハッと気づかされる」「すごく響く」と共感を呼んだ。

 一方で、このシーンでは整の意見に対する牛田の発言も話題に。牛田は「病と闘うぞと思う気持ちも大事なんだよ。その気持ちが必要なときもある」と伝え、SNSでは「整くんと牛田さんの『闘病』についての考え方が、どちらも正解すぎて共感で涙が止まらなかった」「いろいろな考え方があることを知ることができるドラマ」といった声が上がった。

 ◇「家族や身内には厳しくても、他人には優しい人っていますから」

 第6話(2月14日放送)では、整が病院内の温室で梅津真波(阿南敦子さん)という女性に出会った。真波は事情があって温室にある荷物を隠していたが、それを整に発見され、事情を明かすことに。

 真波はよく温室に遊びに来ていた亡き女性について話した。上品で優しかったが、その女性の娘はそっけなく、遺品も受け取りに来なかったという。女性が娘にあげるつもりだったバッグが処分されることを悲しんだ真波は、そのままバッグを持ち出してしまい、中を開けてみると金が入っていたため、とっさに隠したのだった。

 女性の娘をひどいと言う真波に対し、整は「その人の娘さんがひどいかどうかは分かりません。子供がそういうふうな態度をとる場合、大抵親のほうが先にひどいことをしてます。子供がそうなるには理由があります」と指摘。そして「家族や身内には厳しくても、他人には優しい人っていますから。そのことが子供を余計追い詰める。どっちがひどいかは僕には分かりません」と口にした。

 ◇「日本にも断固とした大人の決意があればいいのに」

 第7話(2月21日放送)では、整が大学の教室で、虐待される子供たちを救うため、その親を放火で殺害する“炎の天使”について調べていた。准教授の天達春生(鈴木浩介さん)に声をかけられた整は、虐待に関する持論を展開した。

 「僕は常々思っているんですが、日本にも断固とした大人の決意があればいいのになって。アメリカでは幼児虐待があったら、子供が嫌がっても、まず親から引き離します。その判断が正しかったかどうかも司法で審査される。親には矯正プログラムが課せられて、変われば子供を返してもらえる。変わらなければ親権を失う。そこには虐待は絶対に許さない、憎んで排除するというき然とした大人の姿が見えます。日本も上のほうの大人たちが、き然とした絶対の意思を持ってくれたらいいなって思います」

 ◇「その先生は、あなたをカエルと呼んだ時点でダメです」

 同話では、整が病院で出会った青年・下戸陸太(岡山天音さん)の過去が明らかになった。幼少期に親から虐待を受けていた陸太は、“炎の天使”である井原香音人(早乙女太一さん)に放火を依頼。それ以来、香音人を慕うようになった陸太だが、事件のトラウマで赤いものを見ると体に痛みが走るようになっていた。

 そんな陸太に整はこう言い放った。「それをずっと抱えていくんですか。子供たちにもそうさせるんですか。それもまた虐待です」と。

 さらに、陸太は学校でも「カエル」と呼ばれていじめられていたことを語る。親に階段から突き落とされ、両足を骨折していた頃、同級生たちから公園の滑り台に引きずりあげられ、何度も勢いよく滑らされたという。その様子を見ていた担任は翌日、あろうことかクラスメートの前で「彼らはカエル君と遊んであげてて、優しくて良い子たち」だと称賛。「みんなもカエル君と仲良く遊んであげようね」と呼びかけたのだった。

 話を聞いていた整は「その先生は、みんなと一緒にあなたのことをカエルと呼んだ時点でダメです」と切り込む。そして「僕はいつもいろんなことに気づきたいと思っています。僕のクラスに陸さんがいたら、家で何か起こってることに必ず気づくと思います。香音人さんがいたとしたら、その異変に絶対気づきます」と力強いまなざしを向けた。整の言葉は陸太にとって“救い”になったようだった。

 ◇

 事件の謎に迫っていくミステリー要素を持ちながらも、その中に物事の本質に立ち戻る整の姿を描き出す本作。視聴者からも「それぞれの事象は決してミステリーではなく『人』なんだっていうところが、『言う勿れ』てことなんだよなぁ」「タイトルに偽りなし、とはこの作品のことで、ミステリーを超越した人間ドラマ」との声が上がっている。

 2月28日放送の第8話からは、そんな整に影響を与えた人物が絡む物語に突入する。一体どんな「ミステリと言う勿れ」が登場するのか、今後の展開に期待したい。

テレビ 最新記事

MAiDiGiTV 動画