カムカムエヴリバディ:“ラジオ界のレジェンド”浜村淳が出演を決めた理由 カムカム英語を聴いていた世代、“裏かぶり”も「問題ない」

NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で磯村吟を演じる浜村淳さん
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NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で磯村吟を演じる浜村淳さん

 上白石萌音さん、深津絵里さん、川栄李奈さん主演のNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「カムカムエヴリバディ」(総合、月~土曜午前8時ほか)に、お茶の間で人気の名物ラジオパーソナリティー・磯村吟役で出演している浜村淳さん。朝ドラに出演するのは「おはようさん」(1975年)以来46年ぶりという浜村さんは、ラジオから流れてくる声を通して、ヒロインたちの3世代の物語をつなぐ役割を果たしている。実際に関西で、ラジオ番組「ありがとう浜村淳です」(MBS、月~土曜午前8~10時)を48年にわたって続けている浜村さんに、「カムカムエヴリバディ」や朝ドラの魅力について聞いた。

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 1935年生まれ、現在87歳の浜村さんは、朝ドラのタイトルにもなった、平川唯一のラジオ「英語会話」(カムカム英語)を、リアルタイムで聴いていた世代。今作への出演を決めたのは、カムカム英語と自身が活躍しているラジオの世界への深い思い入れがあったからだという。

 「『カムカム英語』はラジオにかじりついて聴き、子ども同士で、片言の英語でしゃべったりしていたんですよ。それがドラマになるというのはうれしかったし、ラジオとテレビドラマがちゃんとコラボレーションするのも珍しい。それに自分が少しでも関わることができるというのは、大変うれしいことです」と顔をほころばせる。

 とはいえ、冠ラジオ番組「ありがとう浜村淳です」は、朝ドラと放送時間が完全にかぶっている。業界では避けた方がいいとされる“裏かぶり”状態だが、NHKもMBSも、そして浜村さん本人も「問題はない」と判断した。

 浜村さんは、「朝ドラは1日4回放送があって、ラジオ番組とかぶってない時間がありますので、全然気にならなかったです。朝7時半に(NHK BSプレミアムで)放送されているから、僕のラジオの時間に、たくさんメッセージが来るんですよ。『朝ドラ見ましたよ』じゃなくて『聴きましたよ』って(笑い)。いかに皆さんが見られているかというのが、よく分かりました」と朝ドラの反響の大きさをうれしそうに語る。

 ラジオではめったにネガティブな発言をしない浜村さんに対して、「カムカムエヴリバディ」の磯村吟は映画やミュージシャンに手厳しいコメントをするなど、実は浜村さん本人とは微妙にキャラクターが異なる。演じる上で「特に役作りなどはしなかった」と言うが、ラジオで話すのに台本(せりふ)があることには、戸惑いを覚えたそうだ。

 「我々のラジオはほとんどアドリブなんですが、ドラマの中のラジオ番組だから、ちゃんと台本があるんです。ラジオを台本通りやるなんて、初めてのことでした。自分では『うまいこといったかなあ?』と不安だったんですが、NHKの人はおだてるのがうまいんですよね。ワンカット終わるたびに『いやー、素晴らしかった!』って、心にもないことを言うんです(笑い)。だからこっちも、調子に乗ってしまいましたね」と収録を振り返る。

 ドラマ自体は、毎日の自分のラジオ番組とかぶっていることもあり、録画をまとめて見ているという。「(ひなた編で)映画の話が絡んできて、ドラマ全体に弾みが付いたし、撮影所(映画村)のことがここまで深く描かれているのがうれしい」と、浜村さんの別の一面、映画評論家ならではの感想を語る。

 そしてドラマの視聴者に向けて、「たった一日15分のドラマですが、多くの方が一日のスケジュールの一つとして『明日はどうなるんだろう?』と興味を持って見てくださっているというのは、本当にありがたいなあと思います。見ていただいてありがとう、ありがとう浜村淳です、と(笑い)。そういう気分になりますね」と“名調子”でメッセージを送った。

 「カムカムエヴリバディ」は、朝ドラ史上初の3人のヒロインが織りなす100年のファミリーストーリーで、昭和、平成、令和の時代に、ラジオ英語講座と共に歩んだ祖母、母、娘の3世代親子を描く。上白石さんは祖母の安子役、深津さんは母のるい役、川栄さんは娘のひなた役として、バトンをつなぐ。

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