わたしの宝物
第6話 生まれ変わったら本当の親子になれるかな・・・
11月21日(木)放送分
女優の上白石萌音さん、深津絵里さん、川栄李奈さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「カムカムエヴリバディ」(総合、月~土曜午前8時ほか)が4月8日に最終回を迎えた。「ひなたの道を歩きたい」「おいしゅうなれ、おいしゅうなれ」のおまじないなど、3世代をつなぐ名ぜりふの数々を生み出した同作だが、心に残る名ぜりふはまだまだ数多く存在する。そんな名ぜりふをピックアップし、「安子編」「るい編」「ひなた編」に分けて100年の物語を追う。ラストは川栄さんが3代目ヒロイン・ひなたを演じた「ひなた編」(第63~112回)だ。
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ひなた編から本格的に登場した斬(き)られ役の大部屋俳優、虚無蔵(松重豊さん)が、ひなたや五十嵐(本郷奏多さん)らに、常日ごろから口にしていた名言。条映映画村の外国人観光客の増加を見越し、英語を学び始めたひなたは、この言葉を心に刻んで英語のレッスンに励んだ結果、2022年にはハリウッド映画のキャスティングディレクターとして活躍している。
4月6日に放送された第110回では、ひなたが久しぶりに映画村を訪れ、マスク姿の虚無蔵と遭遇。ひなたに「そなたが鍛錬し培い、身につけたものはそなたのもの。一生の宝となるもの。されどその宝は、分かち与えるほどに、輝きが増すものと心得よ」と語り、ラジオ英語講座の講師の依頼を受けようか迷っていたひなたは、引き受ける決心を固めたようだった。
2月3日に放送された第66回。幼少期のひなた(新津ちせさん)は、映画村で開催されたサイン会で憧れのスター“モモケン”こと桃山剣之介(尾上菊之助さん)と初対面。ひなたは「大月」の回転焼きをモモケンに差し入れ、「侍になりたいです」と告げる。モモケンは「志を失わなければ、きっとなれますよ」と笑顔で答えていた。
ひなたはその後、映画村に就職。英語を学び、窮地にあった時代劇を盛り上げるために奮闘した。そして、3月1日に放送された第84回で、かつて父との関係にわだかまりを抱えていたモモケンは、「志を失わなければきっとなれる。侍にだって、なんだって。それが父の口癖だったんですよ」と明かし、映画村のサイン会で、幼いひなたから「大月」の回転焼きを受け取った時に、その言葉が自分の口から出て、運命が大きく変わったのだと語る。
2月4日に放送された第67回。小銭稼ぎのため、空き瓶の回収に精を出すひなただったが、ガキ大将の吉之丞(石坂大志さん)と一升瓶を取り合いになり、転倒してけがをしてしまう。母のるい(深津さん)は、幼少期に母がこぐ自転車に引かれたリアカーに乗っていた際、オート三輪との接触事故で、額に一生ものの傷が残ってしまったことを思い出す。ひなたは足に切り傷ができた程度で済み、るいは「よかった、顔切っていたらどないしようと思っていた」と、ひなたを抱きしめて、安堵(あんど)の表情を浮かべていた。
その夜、ひなたが「今日は心配かけてごめんなさい」と謝り来て、るいの傷を触り「お母ちゃんのこれ、旗本退屈男みたいでかっこええなあ」と声を掛けると、るいは笑顔で応えていた。
コンプレックスを抱き、額の傷を隠すようなヘアスタイルをしていたるいだったが、年齢を重ねるにつれて、傷を隠すことはなくなり、4月7日放送の第111回の岡山での「クリスマス・ジャズ・フェスティバル」の会場で歌う際には額の傷を気にせず前髪を分けていた。ひなたの「かっこええなあ」の言葉が、るいの心の傷を癒やす、大きなきっかけとなったのは間違いない。
第111回では安子(森山良子さん)とるいが半世紀の年月を経てついに再会。2人は熱い抱擁を交わし、るいは安子に「I love you」と万感の思いを告げ、歯車が狂い続けていた母娘関係が、ようやく雪解けを迎えた。
幼少期のるいが、安子を拒絶した際に放った言葉は「I hate you(大嫌い)」。「I love you」は「I hate you」の半世紀越しのアンサーであり、2人の和解を象徴する言葉となった。
4月8日に放送された最終回。2025年、映画村を訪れたひなたは、ラジオ英語講座の共演者ウィリアム・ローレンス(城田優さん)と遭遇する。ひなたから「今日はどうしてここへ?」と聞かれたローレンスは、「少し寄ってみたんです。子供の頃、何週間か京都に滞在していたので。叔父と一緒に。とても懐かしい」と語る。さらにローレンスが何かを落とし、ひなたが拾い上げると、それは初恋の相手ビリーが落としたものと同じキーホルダーで、ローレンスは「子供の頃からの宝物です」という。
驚いたひなたは「ローレンス先生、あなたは……」といい、ローレンスは「ビリーでいいですよ」と笑顔で応える。ひなたはすべてを察して笑顔に。そして、ひなたは「Let’s enjoy kaiten-yaki together(一緒に回転焼きを食べましょう)」と、「大月」へ回転焼きを食べに行くことを提案する。2人の未来を予感させる幸福感の漂うカットで、100年の物語は幕を閉じた。
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