谷中敦:“スカパラ谷中敦”を作った盟友の言葉 主演ドラマでアドリブトーク「言葉の力」再確認

連続ドラマ「渋谷先生がだいたい教えてくれる」で主演を務める谷中敦さん
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連続ドラマ「渋谷先生がだいたい教えてくれる」で主演を務める谷中敦さん

 TOKYO MXで4月5日にスタートした連続ドラマ渋谷先生がだいたい教えてくれる」(火曜午後11時半)で主演を務める、「東京スカパラダイスオーケストラ(スカパラ)」の谷中敦さん。今回がドラマ初主演で、専門学校の風変わりな熱血教師・渋谷を演じている。現役ミュージシャンほかを起用した生徒たちからの悩み相談(トークパート)は、台本なしの全編アドリブで、渋谷先生が生徒に向けたアドバイスの数々は、谷中さん自身の“生の言葉”となっている。撮影を通じて「言葉の力」を再確認しているという谷中さんが、ドラマの話に加え、“スカパラ谷中敦”を作った盟友からの言葉を明かした。

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 ◇“うれしい誤算”に、ドラマ撮影で楽しみにしていたもの

 「渋谷先生がだいたい教えてくれる」は、専門学校の風変わりな熱血教師・渋谷(谷中さん)が、悩める生徒たちにアドバイスを送る姿を描く学園ドラマ。次世代の注目のミュージシャンや俳優が生徒役で登場するほか、谷中さんと関わりの深いアーティストが、“渋谷の友人”として出演する。生徒役の俳優やミュージシャンの現実の悩みが脚本に反映されており、谷中さんと生徒役とのリアルなやりとりも見どころになる。

 ドラマパートは想像以上にコメディータッチで、谷中さんにとって“うれしい誤算”だったとか。

 「撮影を重ねてから思ったのですが、こういったコメディータッチの方が、役者として意外とやりがいがあるというか、いろいろとアドリブを加えていけるというか、変化の付け方も幅が出てくるのかなというところもあって。現場の方々も、とても面白がってやってくれているのがうれしくて、みんなで作っていくというムードがとっても強いので、制作陣も俳優側も一人一人すごく楽しんでやっている。それに自分も救われて、不慣れな演技の部分を助けてもらっています」

 先生役は初めてという谷中さんだが、撮影で楽しみにしていたものの一つに、悩み相談(トークパート)を挙げている。

 「僕くらいの年齢になってくると、若手のアーティスト、ミュージシャンと接点はありますけど、そこまで突っ込んでお話を聞くっていう状況はあまりない。心を開いて、悩みを相談してくれるというよりかは、敬ってもらっている感じ。だから、若い方々の話を聞けるっていうのがとてもうれしくて、すごく撮影が楽しみでした」

 「悩み相談」と聞いて思い出すのが、谷中さん自身が過去に繰り広げてきた“トークセッション”だ。

 「それこそ昔は誇張なしで、毎晩20~30人で集まって、お店をはしごして、その時期にはいろいろな悩みを聞きましたね。自分自身も酔って話をしていたので、結構のめり込んでしまって、それを面白がってくれる人もいて。そのころのトークセッションが、渋谷先生の中に今、生きているなって思っています。自分自身はお酒をやめてから13年たつのですが、そうやって昔に学んだことをドラマの中で生かすことが、当時の人たちへの恩返しにもなるし、自分の中でもいろいろ発見があって、新たな考え方が生まれたりもするんです」

 全編アドリブによる谷中さんの“生の言葉”が聞ける悩み相談(トークパート)だが、谷中さん自身は渋谷先生のキャラクターを利用して言えることもあるという。

 「逆に本音が出やすいというか、踏み込んで話せるっていう部分はありますね。人って何かになりきっているときの方が自由に動けたりもするので、そこも面白いなって」と手応えを明かした。

 ◇「クリーンヘッド・ギムラがだいたい教えてくれる」の世界

 今回、先生役に挑戦し、生徒たちへアドバイスを送る立場の谷中さん。これまでの人生で“恩師”と呼べる人は「いろいろといるのですが」と前置きした上で、スカパラの初期のメンバーとして知られる故クリーンヘッド・ギムラさんの名前を挙げた。

 「すごくいろいろなことを教えてくれたんですね。それこそ『クリーンヘッド・ギムラがだいたい教えてくれる』の世界で(笑い)。悩みにも全部、付き合ってくれていたし、自分で思っている自分と人から見えている自分は違っていて、人から見えている自分をしっかりと作っていくことがエンタメには必要だっていうのも教わりました。バンドでバリトンサックスを吹くときに、ダブルのスーツを着て、ネクタイして、髪形をオールバックにしてって、クリーンヘッド・ギムラに映画『ニューヨーク・ニューヨーク』のロバート・デ・ニーロの写真を見せられ、『これでイケ』って言われたからで。あとは『昭和のインテリヤクザの雰囲気で、人を小ばかにしたような笑い方をしてみろ』とか。クリーンヘッド・ギムラはそういうテレビや映画を見て、覚えたノウハウを注ぎ込んでくれましたし、アーティストでいるってことは、そうやって作ったキャラクターを演じている部分があるのかなって、今、改めて思ったりもしますね」

 “スカパラ谷中敦”を作った今は亡き盟友の言葉の数々。加えて、バンドで作詞も担当している谷中さんは、今回のドラマの撮影を通じて、「言葉の力」を再確認しているところだという。

 「『言霊』ってよく言いますけど、トークパートでは特にそう感じますね。あとは人に伝わるように話すことで、自分の中で整理されたり、考えが変わっていったり、それはとても面白いこと。自分が書いた歌詞も、その世界観を人に説明することで、スッキリしたりするので。収録ではそういったことも大事にしながらやれたらいいなって思っています」と語っていた。

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