名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
アニメ「機動戦士ガンダム」のアニメーションディレクターやキャラクターデザインなどを担当した安彦良和さんが監督を務める劇場版アニメ「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」が6月3日に公開される。キャストが発表された際、新井里美さんがミライ・ヤシマを演じることが明らかになり、ファンの間で話題になった。新井さんが「ガンダム」シリーズに出演するのは初めてではない。不思議な縁、特別な思いがあったというミライ役について、新井さんに聞いた。
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「ククルス・ドアンの島」は、1979年に放送された「機動戦士ガンダム」のテレビアニメ第15話のエピソードで、主人公のアムロ・レイが敵対するジオン軍の脱走兵ドアンとの交流を通じて、戦争の哀愁が描かれた。劇場版では第15話を改めて描く。
ミライは「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」などにも登場する人気キャラクター。夫は、ホワイトベースの艦長だったブライト・ノアで、「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」の主人公のハサウェイの母でもある。「ホワイトベースのおっかさん」と呼ばれることもある。ミライは、2019年に亡くなった白石冬美さんの印象が強い。「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」では藤村歩さんがミライを演じたが、藤村さんが休業中ということもあり、「ククルス・ドアンの島」では、これまでキッカやハロも演じてきた新井さんに白羽の矢が立った。
新井さんがミライを演じることが発表された際、SNSでは「安心」「ぴったり」「楽しみ」などという声が上がっていた。「ククルス・ドアンの島」のミライを見ると「ミライさんがいる……」と感じるはず。新井さんは「良かった……。とても安心しました。発表の際、どういう反響があったのか怖くて、見られなかったので」と胸をなで下ろす。ミライ役をオファーされたのは、寝耳に水だった。
「『ククルス・ドアンの島』は、ハロとキッカちゃんをまた演じられる!と楽しみにしていたのですが、しばらくして『ミライさんの役もお願いできませんか?』とご連絡をいただいたんです。その時のことを思い出すだけで、息が止まりそうです。実は以前、『THE ORIGIN』のオーディションで、セイラさん、ミライさん役を受けさせていただいたんです。その時の音源が残っていたようで『オーディションの音源を聞いてミライさんの役をお願いすることになりました』と連絡をいただいたんです。言葉にならないくらい驚きました」
新井さんは劇場版3部作「機動戦士Zガンダム A New Translation」でファ・ユイリィを演じたことがあった。実は、劇場版「Ζ」では、ファ以外にもミライの娘のチェーミンを演じていた。新井さん、白石さん、ミライは不思議な縁でつながっていた。
「『Z』の時に白石さんのミライさんと共演させていただき、白石さんのお芝居も拝見しています。こういうことがあるんだな……と迷いもありましたが、お受けさせていただきました。映像を見なくても白石さんのミライさんは脳内で再生されます。収録まで、ずっと白石さんのミライさんがそばにいるような感覚がありました。オーディションの時のお芝居が、皆さんに認めていただいたということなので、きっと大丈夫だ!と思い、やるしかない!迷いなく思い切ってやろう!と思いました。自分ができるミライさんをやるしかない。もうそれだけで臨みました」
白石さんとの共演経験がある新井さんだからこその不安、葛藤もあった。
「白石さんのミライさんは、すごく愛情深く、優しさがあり、ホワイトベースの操舵手というタダ者ではないところもあります。自分の思い描くミライさん、白石さんのミライさんを合わせていくようなイメージでした。自分はどうできるだろう? 白石さんだったらどうだったのか?と行ったり来たりしながら演じました。収録当日は、安彦監督と音響監督の藤野貞義さんに全てお任せしました。安彦監督からは始まる前に『ミライさんをお願いします』と一言優しく言っていただきました。収録当日は何の不安もありませんでした。それまではずっと眠れないし、ずっとドキドキしてました。当日『やっぱりあなたは無理でした』と言われたらどうしよう……。そんな不安もあったのですが」
分散収録ということもあって、アムロ・レイ役の古谷徹さんとは一緒に収録をできなかったが、先に収録していた古谷さんの演技を聞いて刺激を受けた。
「私の母と古谷さんは年が近いんです。母が中学生の時、星飛雄馬が大好きで、切り抜きを生徒手帳に張っていたそうです。古谷さんはすごいんです。レジェンドと呼ばれる方々はここまでレジェンドだったんだ!となりました。ずーっとアムロなんです。アムロの揺れる心を繊細に表現されていて、共演させていただき、言葉にならないくらいうれしかったです」
新井さんにとってガンダムシリーズは特別な作品になっている。2005~06年に公開された劇場版「Z」の経験が強烈だったという。
「『Z』の時は、デビューしたばかりでした。最初はテープオーディションで、『ぜひお願いしたいのでスタジオで声を聞かせてください』と連絡をいただき、喜んでスタジオに行ったら、富野さん(富野由悠季総監督)がバーン!と入ってきて、『違う!違う!もう一回やって!』とおっしゃって、何回もやり直しました。新人ですし、経験もないので、半泣きでした。帰る時に『君になるか分からないから』と言われたんです。泣きながらとぼとぼ歩いて帰りました。あの時の『バーン!』が今も記憶に強烈に残っています。あの経験があるので、多少のことがあってもびっくりしなくなりました。怖いものなんてありません」
新人の頃に受けた洗礼があるから、今がある。
「『ガンダム』と聞くと、まず緊張で固まります(笑い)。先日、テレビで劇場版『Ζ』が放送されたので、久しぶりに見たのですが、顔から火が出そうでした。ファが、地球から戻ってきたカミーユにキスしようとして、ヘルメットに当たり、キスできないシーンがあります。あのファの笑い声は、今は絶対にできません。まねしようとしてもできません。新人だったからこそできたことです。だからこそ、古谷さんのアムロがすごい!と思うんです」
特別な思いのあるガンダムシリーズで、縁もあったミライさんを演じることを「格別です。こうやってお話させていただけることも幸せです。この仕事を続けてきてよかったです」としみじみ語る新井さん。
今後、ガンダムシリーズで挑戦してみたいことを聞くと「かなうのであれば、ホワイトベースの新しい顔ぶれの皆さんと一緒に一年戦争を収録したいですね。こういうご時世なので、みんなで収録するのは難しいですが、一緒にお芝居をしたいです」と話す。
「ククルス・ドアンの島」を見て「もっと見たい!」という思いがさらに強まった。
「ガンダムが出てくるシーンで、現実にガンダムを見たらこういう感じなんだろうな!となるようなリアルさがあり、すごくショックを受けました。ホワイトベースが動いているシーンもすごいんです。鳥肌が立ちました。新たな感動、新たな伝説が生まれ、もっと見たい!と思ったんです。感無量です。私としても今後もチャンスがあれば、全力で臨みますよ!という気持ちです」
「ククルス・ドアンの島」は、安彦監督をはじめとしたスタッフだけでなく、キャストのパワー、思いを込めた作品だ。その熱量を感じてほしい。
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