ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
「映像研には手を出すな!」「平家物語」などのサイエンスSARUが手がけるオリジナルテレビアニメ「ユーレイデコ」が7月3日からTOKYO MXほかで放送される。「映像研には手を出すな!」などの湯浅政明監督、「交響詩篇エウレカセブン」などの佐藤大さんが原案のアニメで、佐藤さんがシリーズ構成、脚本も担当。「SUPER SHIRO」などの霜山朋久さんが監督を務める。舞台となるのは、仮想空間と現実をリニアに行き来する人たちが住む情報都市トムソーヤ島。少女ベリィが、“ユーレイ”と呼ばれる住人 で天才的なハッカーのハックと出会い、ユーレイ探偵団として舞い込んでくる依頼を解決する。キャッチコピー「近未来ソーシャルネットワーク・アドベンチャー」。一体、どんな未来が描かれるのか? 霜山監督、佐藤さんに聞いた。
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◇目に見えるもののウソと本当
佐藤さん 湯浅さんとは以前から、企画をやりたいね……というお話をしていて、2016年くらいから動き出しました。湯浅さんが以前、書いた企画絵が一枚あったんです。少年探偵団ものだったのですが、それをやりませんか?と始まりました。ちょうどそのタイミングで、アニメや映画で少年探偵団ものがいくつかあったので、ちょっと違うアプローチにしませんか?となり、「トム・ソーヤーの冒険」「ハックルベリー・フィンの冒険」をくっつけたみたいな話になりました。「ハックルベリー・フィンの冒険」は実は殺人事件が起き、ミステリーでもあります。湯浅さんから「目に見えるもののウソと本当がテーマ」というアイデアもあって、企画が固まってきました。
霜山監督 2019年11月に初顔合わせをしました。当時、湯浅監督は5本くらい掛け持ちをしていて、(湯浅さんが総監督を務めた)「SUPER SHIRO」のチーフディレクターをやっていたこともあって、声を掛けていただいたんです。初見で、難しい設定がたくさんあるように感じました。(佐藤さんと共に脚本を担当する)うえの(きみこ)さん、プロデューサーの方と話をして、SFで世界観、設定が前面に出すぎていると、物語が置いてきぼりになってしまうかもしれないので、ドラマをメインにした作りにしようと、かじ取りをしていきました。
霜山監督 うえのさん、(佐藤)大さんはそれぞれいいところがあって、大さんはSF的な世界観、うえのさんは「クレヨンしんちゃん」もそうなんですけど、泣ける話、笑える話だけでなく、少し不思議な世界観を生み出すんです。こんな話になるんだ!?と驚くこともあります。
霜山監督 SNSを語る作品にするのではなく、現代のSNSが発展していくと、こういう世界になっていく……と描こうとしました。今のSNSと大枠は変わらないのかもしれません。今もユーザーの行動によってオススメが変わってきますし、暴力的な表現、ネガティブなものはミュートされます。この作品で一番大きいのが、視覚情報デバイスのデコが、現実のビジュアルを変えることができることです。今のSNSもユーザーの好みに合わせて、メイン画面も変えられるし、ユーザーが見たいプラグインで景色は変えられるし、SNSが順調に発達していったら……と考えました。SNSに限らずに、誰かとコミュニケーションを取る時、他人によって自分が定義されることがあります。でも、自分にとっての本当、ウソはやっぱり自分で決めることになる。大人になると、それが自分でできるけど、思春期の少年少女たちは、何が大事なのか?を考えることになります。SNSは無限に人とつながることができて、コミュニケーションの形が変わりつつあるけど、本質は一緒なのかもしれません。
佐藤さん 今、少年少女たちの冒険を描こうとしたら、SNSが存在することが自然です。SNSを取り立てて描くのではなく、ハックルベリー・フィンにとってのミシシッピリバーのように、SNSがあることが自然だと思っています。探偵もののツールとして、昔だったら虫眼鏡などがあったように、今はSNS、メタバース的なものがあると考えました。
霜山監督 デコというシステムは、コンタクトレンズのスマートグラスみたいなもので、個人の行動によって見える景色が変わります。主人公のベリィが見たいのは、にぎやかで楽しく、可愛らしい世界です。物質としての世界、情報としての世界の質感の描き分けが大事になります。街中に装飾のない四角いブロックがあり、物質世界は武骨で重たいイメージです。ただ、それが情報によってにぎやかに飾られます。完全に情報で作られたVR空間もあります。物理現象を無視して空も飛べるような世界で、現実ではあり得ないようなことができます。そこも派手めな世界として描いています。
霜山監督 自分のアプローチとしては、ユートピアだと思っています。ただ、ユートピア、ディストピアなのか?の違いが難しく、SFでテクノロジーが発展すると、悪いロボットが出てきたり、人間とAIが戦ったり……とディストピアになってしまう。そうではなく、テクノロジーが順調に発展して、人々が健全に暮らしている世界を描こうとしています。今の世界でも幸せだと思ってる人もいれば、不幸だと思ってる人もいます。だから「ユーレイデコ」を見て、ディストピアだと感じる人もいるかもしれません。でも、割と幸せな世界なんです。
佐藤さん そこは監督にかじ取りしてもらいました。設定ではディストピアになってしまうかもしれないけど、監督が人間たちのドラマを描こうしてくれました。食べ物がおいしかったり、楽しい遊びがあったり、可愛いロボットがいたり……とどんどんカラフルになっていき、ギリギリのバランスで成り立っています。SNSを否定する方向のドラマは分かりやすいし、そうすることは簡単ですが、そうじゃない世界を見せていきたかったんです。
霜山監督 ワガママを言わせていただきました。かなりぜいたくです。劇伴も通常のアニメの1.5倍くらい作っていただいています。ミトさんに参加していただくことになったのは、パイロットフィルムを作った時に、音楽も付けることになって、クラムボンの「KANADE Dance」をイメージしている……とお話させていただいたのがきっかけです。ラッキーです。
佐藤さん すごいです。作品をしっかり見ていただいていることがすごくよく分かって、うれしかったです。豪華ですし、刺激的ですごくいい企画になりました。
霜山監督 楽しいビジュアル、すてきな音楽、もちろんストーリーも面白いと思って作っています。未来に対して暗くなるSFではなく、楽しくなれる作品になっています。楽しく見ていただけるはずです。ぜひぜひ見てください。
佐藤さん 企画が始まってから時間が掛かってしまいましたが、古くなっていません。むしろ今できてよかったというくらい、すごくいい作品になりました。うえのさんと一緒にできたことで、僕だけでは出せないカラーになりました。すごく楽しい作品
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