栗山千明:「私なりのオリヴィエできた」 愛するハガレンへの思い

「鋼の錬金術師 完結編 復讐(ふくしゅう)者スカー/最後の錬成」に出演した栗山千明さん
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「鋼の錬金術師 完結編 復讐(ふくしゅう)者スカー/最後の錬成」に出演した栗山千明さん

 バラエティー番組などでも“アニオタ”を公言している女優の栗山千明さん。その栗山さんが「ずっと好き」と語るのが荒川弘さんの人気マンガ「鋼の錬金術師」だ。人気グループ「Hey! Say! JUMP」の山田涼介さんが主演を務める実写映画2部作「鋼の錬金術師 完結編 復讐(ふくしゅう)者スカー/最後の錬成」(曽利文彦監督、公開中)に、“ブリッグズの北壁”の異名を持つオリヴィエ・ミラ・アームストロング役で出演する。人気マンガが原作となる本作で、何を意識して演じたのか? 作品への“愛”も含めて、その思いを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇“実写化”ハードルの高さ実感も……「やりきった」

 --実写版に参加することが決まったときの感想を教えてください。

 ずっとハガレンが好きで原作もアニメも見ていました。映画の1作目も拝見していたので「うらやましいなあ、実写化いいなあ、私も出たいなあ」なんて思っていたので、純粋にすごくうれしかったです。

 ただ、オリヴィエは私も大好きなキャラクターで、ハードルが高いなあという気持ちもありました。うれしさと緊張といいますか……。ハードルを越えられるのか、難しいかなという思いもありましたが、演じられてうれしかったです。

 --オリヴィエ役に決まったときの感想をお聞かせください。

 オリヴィエの好きなところは、隙(すき)がなくて強くて、怖いんだけど、実は仲間思い。そのギャップがかっこいいなと思っていたので、私も、隙がなく、怖いんじゃないかと思うくらいにピリッとしたオリヴィエができたらと思い、お芝居をさせていただきました。

 ビジュアル面は、ウィッグ、メークでも唇を少し大きめに書いてもらいました。あとはグラマラスに見えるように工夫したり(笑い)。ビジュアルも含めて、オリヴィエに近づけるように頑張りました。

 いつも、出演している作品は「自分だ!」と思ってしまい、なかなか純粋に楽しむということができないんですけど、今回は、キャラクターの格好をしているからか、いつもよりは作品として楽しめたなと思います。他のみなさんも含めてそれぞれが作品の中の登場人物になっていたんだと思います。

 アニメやマンガ原作の実写化はすごくハードルが高いですが、やりきったときには楽しさがあるんだなと思いました。賛否両論あると思いますが、私なりのオリヴィエができたかなと思っています。

 --ビジュアル面ではどのようなことにこだわったのでしょうか?

 ぷるんとした唇と、グラマラスなところがオリヴィエのビジュアルのポイントだと思いますが、立ち姿、座り姿も意識しました。原作が現場に置いてあり、一コマ一コマ確認しながら、座っているときの足の開き具合や、どれだけ偉そうに座るか……とか。屈強な男性陣に囲まれた状況なので、負けないように意識しながら演じました。

 --原作が現場に置いてあるんですね。

 「原作に寄せたい! 近づけたい!」と思うタイプですが、「無理なことは無理」「むちゃだな」と思うことは受け入れました。自分の中でせめぎ合いながら原作を読み返していました。

 --実際にオリヴィエを演じた感想を教えてください。

 楽しかったです! アクションは大変でしたが、ビジュアルを作っていただいて、周りも大好きなハガレンの世界ですから。我が弟(アレックス・ルイ・アームストロング、山本耕史さん)もいるし、エド(山田さん)もいるし……。大好きな作品の空気感を味わいながら参加できるのは本当に幸せでした。

 ◇年上の山本耕史が“弟役”「申し訳ないなと(笑い)」

 --ご自身以外の出演者の方でキャラクターと一番マッチしていたと感じる方はどなたでしょうか?

 一番を挙げるのが本当に難しいんですよ(笑い)。みなさんすごくて一番は挙げられないですが、役にはまっていたとなると、舘ひろしさん(キング・ブラッドレイ)ですかね。撮影初日が舘さんとのシーンで、舘さんがブラッドレイの扮装(ふんそう)で来たときは「あっ!」と驚きがありました。その時の感動が衝撃的だったので、舘さんですかね。

 --弟でアームストロング少佐を演じた山本さんとの共演はいかがでしたか?

 「我が弟!」というせりふがあるんですが、山本さんは先輩ですし年齢も上なので、申し訳ないなと(笑い)。(アームストロングは)原作のキャラクターの中で、一、二を争うほど、実写化が難しくハードルが高い役だと思います。でも、あれだけ再現されているのですごいなと思いました。山本さんは普段も気さくでチャーミングな方なので、アームストロングのおちゃめなところと通ずるところがあったかなと思います。

 --山本さんは体もバキバキにされていたそうですね。

 はい(笑い)。舞台あいさつでもお話しされていましたが、山本さんがみなさんを筋トレに誘っていたらしいです。

 --撮影で楽しかったこと、大変だったエピソードを教えてください。

 高いところがあまり得意ではなく、オリヴィエが登場する下を見下ろすようなシーンでは、少しぷるぷるしてます(笑い)。高いところから下を見下ろすシーンは怖がりながらやっていました(笑い)。アクションに関しては、求められるハードルが高く大変だったことが多かったですね。ただ、「いまの良かったんじゃない?」とできたときの爽快感がありました。

 楽しかったのは、舌打ちしたり、普段はできないくらい大声で「行け!」と指示をするせりふがあり、気持ちよかったですね(笑い)。こんなに大声で指示することはなかなかないので爽快でした。

 --高いところは得意ではないんですね。

 そうなんです。なので、頑張りました(笑い)。アクションも得意な方ではないので、事前に練習して撮影に挑みました。

 ◇“ハガレン”は「これからも長く愛されていく」

 --鋼の錬金術師は2021年7月12日に20周年を迎えました。今もなお愛され続けている作品ですが、栗山さんが思う作品の魅力は何でしょうか?

 一言では言い表せませんが、仲間や家族の愛にあふれていること。誰かを思うシーンが随所にちりばめられていて、胸を締め付けられる良いシーンがたくさんあることも魅力だと思います。ストーリーでは、人間の強さや弱さも描かれていて、キャラクターもそれぞれ魅力的ですよね。ホムンクルス側も人間の敵とはいえ、それぞれに目標や正義があると思うんです。決して、ただの嫌なやつではない。一言では語れないですし、「最後の錬成」を見て改めて感じました。

 どのシーンもすてきで、いらないシーンがないし、いらないキャラクターもいない。原作が好きで、アニメが好きでもちろん映画の脚本も読んでいるんですよ? それなのに、映画を見てぼろ泣きです(笑い)。内容を知っていても、熱いものがきました。これからも長く愛されていくんだろうなと感じさせてくれる作品ですね。

 --最後に栗山さんが見てほしいポイントを教えてください。

 これが難しいんですよ! 選べない(笑い)。その中でも私が素晴らしいと思ったのは、二役をやっている方や二面性がある役を演じている方が、向き合って対峙(たいじ)している場面にしびれました。演技力もですが、映像にしびれました。かっこよかったです。

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