放課後カルテ
第7話 お前が学校に来ようが来まいがどうでもいい
11月23日(土)放送分
7月8日からスタートするNHKのBS時代劇「善人長屋」(NHK・BSプレミアム)で主演を務める女優の中田青渚(なかた・せいな)さん。昨年公開の映画「街の上で」「あの頃。」「うみべの女の子」での演技が評価され、「第43回ヨコハマ映画祭」で最優秀新人賞を受賞した期待の若手女優の一人だ。「善人長屋」は連ドラ初主演作で、「(連続ドラマの主演を)いつかはやりたいと思っていたのですが、こんなに早くお話をいただけるとは思っていなかったので、本当に驚きました」と明かす、中田さんが本作や役どころ、芝居への思いなどを語った。
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中田さんは2000年1月6日生まれの22歳。2014年、本人いわく「図書券が欲しくて」と参加した少女マンガ誌「Sho-Comi」(小学館)主催のオーディション「第5回Sho-comiプリンセスオーディション2014」でグランプリを獲得し、芸能界デビュー。以降、女優としても地道に作品を重ね、映画祭で賞を受賞するまでに成長を遂げた。
「お芝居を始めたときは、純粋に役を演じることが楽しかったのですが、年齢や作品を重ねてきて、それが難しさにも変わってきて。今はお芝居をしていて『すごく楽しい』という気持ちは昔に比べて減ってはきたのですが、何かを乗り越えた先に、また何かが出てきて、乗り越えなくてはいけいというのがずっと続くのがお芝居の世界で、それを乗り越えていくのが『楽しい』と思えるようになってきました」と心境の変化を明かす。
そんな中でつかんだ連続ドラマの主演の座。共演には溝端淳平さん、高島礼子さん、吉田鋼太郎さんらが名を連ね、「最初はキャストの名前を見て、頭を抱えたというか、すごくびっくりして。『大丈夫かな』という気持ちが大きかったのですが、リハーサルや所作の稽古(けいこ)をクランクインの1カ月前くらいからやっていただいて、少しずつ自信もついて、撮影に臨めました」と振り返る。
ドラマは、直木賞作家・西條奈加さんの同名時代小説が原作。表は善人、裏は悪人の二つの稼業を持つ“善人長屋”のメンバーたちが、ある時は困った庶民を助けるため、ある時は仲間のピンチを救うため、裏稼業の凄技を生かしながら、さらなる巨悪や人の悪意に向き合っていく姿を描く。
「自分で言うのもどうかと思うのですが、第1話を見た感じでは、すごく面白いドラマだなという印象です。見やすさもありますし、コメディー要素もありながら、ファミリーっぽくもあり、群像劇でもある。ドタバタもしていて、時代劇としても新鮮で、楽しんで見てもらえると思うのですが、回を重ねるごとに、『善とは』『悪とは』というちょっと深い部分で考えさせられるドラマにもなっていると思います」とアピールする。
中田さんが演じるのは、主人公のお縫(ぬい)。長屋のリーダー・儀右衛門(吉田さん)と、その妻・お俊(高島さん)の娘で、幼い頃から勘が鋭く、出会った相手が善人か悪人かを一目で見分ける能力を持つ。
他人の不幸に敏感で、思い付いたことをぽんぽん言ってしまうストレートな性格のお縫について、「お縫ちゃんは『こうしたい』と思ったら、それしか見えなくなって、突っ走ってしまうタイプなのですが、私も『これをやらないと』ってなると、周りが見えなくなる。一つのことに集中してしまうところは似ていると思います」と共感。
さらに「感受性が豊かな子という印象で、他者の悩み事を聞いて、まるで自分のことのように力になってあげたいとなる。それが行動にも表れる。まだまだ子供だからできるというか、大人だったらためらってしまうようなこともやれてしまう、無垢(むく)な部分や、純粋さがすごくいいなって思いました」と語る。
また、「おとっつぁん(儀右衛門、吉田さん)に向かって、結構ひどいことを言うというか、真っすぐさゆえの口の悪さも印象的で(笑い)。例えば『外道』みたいな、強い言葉を使う役というのも今までなかったので、演じていて新鮮でした」と話すと、「これまではナチュラルなお芝居を求められる役が多かったのですが、今回は大きい芝居、コメディーチックに見せなくてはいけなかったので、そういった部分も新たな挑戦でもありました」と充実感をにじませた。
主演としては、変に気負うことなく「元気で明るいお縫ちゃんを全うしようと現場にいました」と話す中田さん。
共演者は「距離を感じさせない方々ばかり」で、「自分から積極的に話しかけました」といい、「今回、自分の蓋(ふた)が開いたというか。今まではどちらかというと内へ内へと入ってしまい、積極的にコミュニケーションをとれるタイプではなかったのですが、今回、そのきっかけをいただけたのはよかったなって思います。あと役とは別に、カメラが回っていないところでコミュニケーションをとると、同じお芝居をしていても、やっぱり映りが違うというか、自然とリズムができたりするので、コミュニケーションってすごく大事なことなんだなって改めて感じました」と手応えを語った。
「善人長屋」の撮影を通じて、成長を実感する中田さんが女優として目標に掲げるのが、同じNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)への出演だ。
「以前から朝ドラに出たいっていうのは、自分の中で明確にあります。今回で、もっと頑張らなくてはいけないなと感じていて。過去の朝ドラでは『あさが来た』が大好きで、ヒロインが相撲を取ったりドタバタしているのは『善人長屋』にも通じるところがありますし、どこか男勝りな、強いヒロイン、強い主人公にも憧れがあります」と思いを明かす。
それとは別に目標としている女優が「蒼井優さん」だといい、「色気もありながら可愛さもあって、その両方が出せて、危うさもある、女性も憧れる女優さん。かっこいいなって思っていて、少しでも近づくことができたらなって思っています」と目を輝かせていた。
※クレジット
スタイリスト:有本祐輔(7回の裏)
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