多部未華子:決断は直感優先! ドラマ「幸運なひと」で感じた幸せな人生

NHKの特集ドラマ「幸運なひと」に出演する多部未華子さん (C)NHK
1 / 5
NHKの特集ドラマ「幸運なひと」に出演する多部未華子さん (C)NHK

 今年3月にNHK・BSプレミアムとBS4Kで放送された生田斗真さん主演の特集ドラマ幸運なひと」が、新たに編集を加え、4月4、11日に総合で2週連続地上波放送される。生田さんの妻を演じた多部未華子さんが、夫ががんにおかされてしまうというシビアな題材でありつつ「決して暗い話ではなく、前向きな人生の物語です」と話す作品の魅力や、さまざまな決断をしていく主人公への共感などを語った。

ウナギノボリ

 ◇演じた咲良との共通点「結構物事をストレートに伝えてしまう」

 多部さんが演じるのは、中学校の保健体育の教師・松本拓哉(生田さん)の妻で、音楽事務所でマネジャーとして働く女性・咲良。咲良は、突然がんが判明し余命を告げられる夫に対して「子供を持つかどうか」や、「自分の仕事を犠牲にしてまで夫の闘病生活をサポートした方がいいのか」という、さまざまな選択に迫られる女性だ。

 多部さんは「がんのお話と聞いて、暗くて悲しいお話なのかなと思ったのですが、脚本を読んで、とても前向きな人生の物語という感じがしました」と作品の持つ“前に進む力”が印象に残ったことを明かすが、「自分には経験のない話で、身内にもがんを患っている人がいなかったので、しっかりリアリティーを持って演じられるのだろうか」と不安も大きかったという。

 実際撮影に入っても「毎シーン毎シーンすごく悩みました」と難役だったことを明かすと「がんを宣告された夫に対して、どういう表情で、どう接したらいいのか、どんな言い方が咲良らしいのか毎日悩んでいました。いま振り返っても答えが見つかっていない」と正解をつかめないなかでの撮影だったという。

 一方で、演じた咲良には共感できる部分が多かった。多部さんは「咲良は、がんになってしまった夫に対して、気を使っているようで、最終的には自分の意見をしっかりと言う人。そこは似ているのかなと思いました」と述べると「私も結構物事をストレートに言ってしまうことがあるんですよね」と笑う。

 ◇エゴを話せる、受け入れてくれる相手と歩む人生は幸せ!

 多部さんの言葉通り、咲良は拓哉のことを大切に思いつつ、自身の“やりたいこと”に対してもしっかりと向き合い、夫に対して腫れ物に触るような接し方をしない。

 多部さんは「企画の段階からお話を伺っていくなかで、監督が、これは闘病記ではないとおっしゃっていたことが印象に残っています」と語ると「実際に撮影に参加していて感じましたが、例え病気になったとしても、日常は変わらないというか、しなければいけないことはしないといけない。もちろん、がんになったことで、見方が180度変わってしまうこともありますが、目の前の生活に関しては、変わらないことの方が多い」と、ある意味で拓哉と咲良の関係性にはリアリティーがあったという。

 劇中、咲良は「エゴ」という言葉を数多く発する。多部さんは「自分自身、エゴという言葉に対してすごく考えました」と笑うと「エゴという言葉を置き換えると、本音という表現になるのかもしれませんが、『私はこうしたい』という思いをしっかり話せる、そして受け入れてくれる相手と人生を歩めるというのは幸せなのかもしれない」と気づきも多かった作品になった。

 ◇決断は「直感重視」 進むものはトントン拍子で決まっていく!

 がんになり余命を宣告されたことで「人生にタイムリミット」ができたという考え方。だからこそ、いまできることをしっかり見極め、優先順位をつけて生きる――。しかし一方で本作は「やりたいと思ったこと」は何でもやるという、考え方も導き出す。

 多部さんは「私自身、そこまでやりたいことがたくさんあるわけではないのですが、基本的に何かを諦めるのではなく、何でもやるという考えは共感できます」と拓哉や咲良の生き方への理解を示す。“選択”していくという考え方については「私は直感を信じます」ときっぱり。

 芸能生活も20年を超え、数々の作品にも出演してきた。その都度、大きな選択を迫られることも多かったと思うが、多部さんは「もちろん、いろいろ先回りして考えることもします。ですが決断を下すときに重視していることって、直感なんです。作品にしても、いろいろな理由があって決断をしているのですが、直感的に『やってみたい』という気持ちを大事にして、最終的には決めているような気がします」とこれまでを振り返る。

 その決断までには「あまり時間がかからない」という。特に本作に関しては「とにかく早かったです。もともと、仕事もそうですが、プライベートのことも決まるものはトントンと進んでいくんです」。逆に“直感的”に何か引っかかるものは、すんなりと進まないようだ。

 先に放送されたBSでの作品を見た友人が「夫が年上なので、1人でも生きていけるように、自立できる準備をしようと思った」と感想のメールを送ってくれたという。多部さんは「なるほど、そういう見方もあるんだな」と、見る人によって、気づきのポイントがたくさんある作品だとドラマの魅力を説明してくれた。(取材・文:磯部正和)

 「幸運なひと」前編は4月4日午後10時、後編は11日午後10時にNHK総合で放送される。

写真を見る全 5 枚

テレビ 最新記事