上地結衣選手:「全仏オープンテニス」3年ぶりの優勝に向け意気込み語る 男子注目の小田凱人選手も

インタビューに応じる上地結衣選手=WOWOW提供
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インタビューに応じる上地結衣選手=WOWOW提供

 テニスの2023年シーズンのグランドスラム第2戦「全仏オープンテニス」の車いす部門が6月6日に開幕する。日本勢は女子シングルスに上地結衣選手、男子シングルスに小田凱人(おだ・ときと)選手が出場する。上地選手は3年ぶりの優勝を、17歳の小田選手は自身初の4大大会(グランドスラム)優勝を目指す。開幕を前に両選手が意気込みを語った。

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 ◇上地結衣選手

 ――クレーシーズンに入ってからの調子はどんな状態ですか。

 前哨戦のスペインからヨーロッパに来ていて、その翌週のロイヤンという新しいフランスでの大会で単複優勝して、クレーとしてはまずまずのシーズンかなと思っています。

 ――クレーも相当慣れていらっしゃいますけど、今シーズンは感覚でもだいぶ慣れてきた感じですか?

 新しい車いすに3月末に替えて、韓国だったりジャパンオープンだったり、ハードコートで試合をしてみて、車いす自体は良いのですが、少し調整しなければいけない部分があって。ヨーロッパ遠征の前に、手を加えたところが、クレーでプレーするには必要な機動力だったり、瞬発力だったりとかというところで、替えて良かったかなと思います。

 また、替えて準備する期間、試合をして試してみる期間が2大会作れているので、まだまだ試しながらの部分はありますけど、良い感覚でここまで来られているかなと、良くなっていくような感覚が得られています。

 ――テニスの面で改良されていたり、課題など、あれば教えてください。

 少し秘密なところもあるので、試合を見ていただけたらなと思いますね。少し前から取り組んでいる積極的なプレースタイルは変わらずに続けているので、オンとオフというか前につめるとき積極的にいくところと、反対にこれまでのスタイルというか土台を固めて攻撃をするための一つ前の段階をしっかりと作るというところも意識しながら、特に先週はプレーしました。

 どんどん前に前にいって速いタイミングで打つというだけでは、クレーコートは足元もとられますし、それでタイミングよくパンパンと返されてしまうと、次に自分がディフェンスの形に入るようなことにもなるので、そのあたりの見極めというか、決して消極的になるっていう意味ではなくて、積極的にいくための前の段階として、きちんと入っていくボール、後ろで待つボールというのを見極めているところが今の課題かなと思います。これはクレーだけではなく、ハードでも生きてくると思うので取り組んでいます。

 ――いよいよ開幕ですが、どのようなマインドセットで臨んでいきますか?

 ドロー(組み合わせ)も昨年からさらに拡張されて、車いすの試合を多く見ていただける、昨日も日曜ですごくたくさんのお客さんがいらっしゃっているのを見たので、そういったお客さんの前でプレーができることがまずうれしいですし、メインコートで自分たちが試合できるかもしれないと聞いているので、良いプレーをお見せしたいなと思います。

 ◇小田凱人選手

 ――髪形を変えたはどういう心境の変化?

 特に理由はないんですけど、気分で……。七三分けのイメージがあったかなと思うんですけど、そろそろ変えようかなと。もともと短髪にしたくて、もっと短くしたかったので。気に入っています(笑い)。

 ――この1年でスポンサーもつきましたし、国枝慎吾さんも引退しました。注目度も増えましたけど、環境の変化に追いつけていますか?

 感覚的にはほぼ何も変わりません。練習もそうですけど、試合に関しても、とにかく自分のやりたいプレーをするということを1年間かけて作り上げてきたので、それも今後変わらずやっていくと思います。ランキングが上がったり反響はありましたけど、うれしかったですし、その都度SNSだったりで反響を感じるところもかなり多かったですけれど、テニスに関する感覚は1年前とそんなに変化はないです。

 ――いろんな面で成長していると思うのですが、自分のなかで1年前と比べて成長したなと感じるところはどういうところですか?

 1年でかなりの試合数をこなしたので、経験値が上がったっていうのはあります。特にクレーコートでの試合というのを何度も経験してきたので、経験という面では去年のこの大会より明らかに違う、経験値というものを得られていると思います。いろんな勝ち方、負け方をしてきたので、これからの試合に対するデータとして出ると思うので、そこは成長した部分かなと思いますね。

 ――全豪のときは開幕直前に国枝さんが引退されて、国枝さんがいない中での大会でした。数カ月経ちましたけど、自分が今後、車いすテニスを変えていく自負というのは感じますか?

 そこに関してはずっと前から感じていたというか、そういう思いでやっていたので、国枝さんがいざ引退されてからはより濃く思うようになりました。国枝選手の後継者だったりとか、いろんなところで言われていますけど、そうじゃなくて単純な選手としての小田凱人として、取り上げてもらえるぐらいビッグな選手になっていきたいです。

 知名度だったり反響という面ではこれから上げていかないといけないなと思うので、自分の名前をより大きくしていくというところは、国枝さんが引退されてからは特に言われるようになったので、そこはうれしいです。

 ――クレーシーズンに入ってからの調整と前哨戦の様子と調子はどんな状態ですか。

 感覚的にはすごく良いですし、徐々に上がってきている感覚はあります。それまで日本のクレーコートで練習していたので、フィーリングの違いは感じましたけど、すぐにアジャストできて、試合に向けてかなり良い準備はできています。準備に関してはいろんな面で順調にきていると思うので、あとは試合で生かせるかどうかというところですね。

 ――クレーでの車いすテニスの難しさはどういうところにありますか。

 自分の場合はクレーでもハードでもしっかり自分で打っていくスタイルです。かなり強いボールを打つタイプだと思うので、その分クレーコートだと、チェアワークの技術が必要になってくると思います。ハードコートであれば惰性で動ける部分はありますけど、クレーだと車いすが土に埋まってしまったり、惰性が出せずに漕ぐことになるので、チェアワークという面ではハードコートよりも負荷がかかりますし、疲れがたまりやすいので、そこはクレーコートならではのここに向けて頑張ってきたところの一つではあります。

 ――今、テニスの面で重点的に取り組んでいるところがあれば教えてください。

 クレーコートだと走りづらくなるので、その分ショートクロスだったりドロップだったり、相手を動かすというところがより大事です。ただ速いボールただ強いボールだけじゃなくて、そういうところはクレーコートだからこそ効くボールというものも、ハードコートよりは増えると思うので、そこは重点的にやってきました。今でもうまくいっているので、試合でしっかり対応していきたいと思いますね。

 ――今大会の目標と意気込みを聞かせてください。

 目標は一つなので。もちろん優勝は狙いますけど、まずは1回戦、荒井(大輔)選手と久しぶりの対戦になると思うので、しっかり楽しんで、自分の場合、楽しまないとなかなか良いプレーが生まれてこないので、グランドスラムという場を味わいながらプレーできれば。試合を重ねていく中で、成長できると思うので、ワクワクしています。

 WOWOWでは6月11日まで「全仏オープンテニス」をWOWOWライブとWOWOWオンデマンドで連日生中継で放送・配信する。車いすテニスは、6月6日、コート13の第2試合に車いす女子シングルス1回戦「ジュ・ジェンジェン選手vs 上地結衣選手」、コート12の第1試合に車いす男子シングルス1回戦「荒井大輔選手 vs小田凱人選手」の試合の模様を配信する。

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