ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
スタジオジブリの宮崎駿監督の最新作の劇場版アニメ「君たちはどう生きるか」。2013年公開の「風立ちぬ」以来、約10年ぶりとなる宮崎監督の長編アニメで、宮崎監督が原作、脚本を手がけた。同作で主人公の少年・眞人(まひと)の声優を務めたのが、18歳の俳優・山時聡真(さんとき・そうま)さんだ。「君たちはどう生きるか」は、2022年12月にポスタービジュアルがお披露目されたが、あらすじ、キャスト、主題歌などが事前に明かされないまま、7月14日に公開を迎えた。山時さんは公開と共に同作の主人公声優として注目を浴びることになった。山時さんには、巨匠・宮崎駿監督、スタジオジブリはどのように見えたのだろうか? 制作の裏側を聞いた。
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山時さんは、2005年6月6日生まれ、東京都出身の18歳。2016年、11歳で映画「ゆずの葉ゆれて」で俳優デビューし、2019年のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」、2020年のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」といったNHKの作品に出演。「エール」では、悲しすぎる最期を迎えた“ハーモニカ少年の弘哉くん”として視聴者に強い印象を残した。2023年もNHKのドラマ「大奥」、日本テレビ系で7月にスタートした連続ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」と話題作への出演が続く注目の若手俳優だ。
山時さんは、オーディションで「君たちはどう生きるか」の主人公・眞人という大役に抜てきされた。同作は、2013年に長編アニメの制作の“引退宣言”をした宮崎監督が、宣言を撤回して挑んだ。舞台は太平洋戦争中で、母を亡くした主人公・眞人が、父の再婚相手である母の妹・夏子の屋敷へ疎開し、不思議な体験をすることになる。タイトルは、宮崎監督が少年時代に読んだ吉野源三郎さんの書籍「君たちはどう生きるか」から“お借りしたもの”という。
山時さんは、収録で宮崎監督と初めて対面し、宮崎監督に「僕が言うことはない」「自分で自由にやってみて」と言われたという。声優初挑戦で宮崎監督の最新作の主人公という大役に大きなプレッシャーを感じていた山時さんは、その言葉に「優しさ」を感じた。収録でも、宮崎監督から「難しいことを言われた記憶はない」といい、終始「リラックスして」と言われていたという。
「収録中に言ってもらった例えも分かりやすかったです。眞人がパンを食べて、タオルで口を拭くシーンがあるんですけど、タオルを口に当てると、声が籠もるじゃないですか。それって、本当にやらないとできなくて、宮崎さんが『これを使う?』とタオルを渡してくださったりとか。眞人が船をこぐシーンも、力を込めた声を出すために、実際に『ここを押してみて』と言われて、押しながら演じたり、『リアルにやってみる』ということを教えてくださいました」
収録の休憩時間に宮崎監督、鈴木敏夫プロデューサーと世間話をすることもあった。
「あまりお話しする機会はなかったのですが、学校の話をしたんです。宮崎さんと鈴木さんに学校の話をしているのは不思議な気持ちでした(笑い)。僕、オーディション会場に自転車で行ったんですよ。家から会場が近かったので。それも運命なのかな?と思うんですけど、その話をお二人にしたら『ここからどのくらいなの?』と。普通の話をしていいんだ?と少し安心しました。作品の話じゃなくて世間話をしてくださったのも、僕の気持ちを楽にしようとしてくれたのかなと思います」
山時さん単独で収録した。収録は1週間におよんだ。
「面白かったのが、録(と)り終わった時に『これで終わりかどうか分からない』『もう一回呼ぶかも』と言われたんです。調整もあるし、後から見つかる発見もあるかもしれないからと。それで、本当にもう一度呼ばれて、ほかのキャストの方の声が入った状態で収録しました。2回目の収録の後も『もう1回呼ぶかも』と言われていて(笑い)。結局呼ばれずに、次に宮崎さんとお会いしたのが試写の時だったので、『あれで終わりだったんですね』と。試写でもたくさんお話しすることはなかったのですが、『学校頑張ってよ』と言ってくださいました」
山時さんは、宮崎監督と作品を共にし、「本当に優しい方」と感じたといい、「僕のことを思ってくれていたなとすごく感じます」と語る。
「君たちはどう生きるか」は、ストーリーやキャラクターなどに関する情報が極端に少ないため、ファンの間ではさまざまな考察が繰り広げられている。山時さん自身もさまざまなレビューを読んだといい、「僕も何が本当か分からないです」と笑顔で語る。
「僕も一観客として考察を読んで面白いし、楽しんでいます。でも、それがジブリ作品のいいところじゃないかなと。皆さんそれぞれの中にジブリ作品が存在するというか。演じる側も分かっていなくていいんじゃないかって思います」
山時さんにとって「君たちはどう生きるか」はどんな作品になったのだろうか。
「見た後にいろいろな人と話してほしいと思うんです。友達とか家族とか。眞人もいろいろな人に影響を受けて、いろいろな人の言葉を聞いて変わっていくのと一緒で、作品を見た後も、ほかの人の言葉を聞いて、こういう意見もあるんだなって。『こういう作品だ』と決めつけずに、何回も見て、想像するから楽しいものなのかなと思います。だから、僕自身がどういう作品とは言えないというか。僕もたくさんの方の話を聞いて理解していきたいなと思います」
「この作品は僕が死ぬまで一生続いていく」とも感じているという。
「僕にとってずっと心に残る、絶対忘れない作品です。おじいちゃんになっても『あの作品はこうだったよね』と話していたいです。80歳ぐらいになったら『こういう作品』と言えるようになっているかもしれないですね。そんなおじいちゃんになれたらいいなと思います」
※宮崎駿監督の「崎」は立つ崎(たつさき)
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