TBS:「災害を“自分事”に」 32歳の災害担当記者が制作する震災特番

本杉美樹さん
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本杉美樹さん

 TBS系の震災特番「関東大震災から100年 あす巨大地震が来たら」が9月1日午後5時50分から放送される。チーフディレクターの1人として番組を制作するのは、ある理由から災害担当記者を自ら志願したという報道局の本杉美樹さん(32)だ。震災特番というと堅いイメージをもたれがちだが、本杉さんは「家族で気軽に見てほしい」と呼びかける。そんな本杉さんに番組への思いを聞いた。

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 番組は「もしいま関東大震災が起きたらどうなるのか? どうすればあなたの命が守れるのか?」を探っていくという内容。関東大震災で多くの犠牲を出した「揺れ」「津波」「火災」「デマ」の四つのテーマを深掘りし、クイズを交えながら巨大地震への理解を深める。

 MCを加藤浩次さんとホラン千秋さんが務め、スタジオでは、東日本大震災で大きな被害を受けた福島県出身の梅沢富美男さんと「アルコ&ピース」の平子祐希さん、幼少時に阪神・淡路大震災を経験した松村沙友理さんをゲストに迎え、防災についてのクイズを出題。VTRでは「ももいろクローバーZ」の玉井詩織さんが海に潜って関東大震災の痕跡を取材するほか、あばれる君が関東大震災で多くの被害を出した「火災旋風」を発生させる実験をリポート。元自衛官芸人のやす子さんは、土地勘のない場所で、津波発生時に安全な場所まで逃げられるかの実験に挑戦する。

 番組に企画段階から関わっている本杉さんは、志願して災害担当になったという経歴の持ち主。ベテランが多いとされる災害担当だが、30代の本杉さんが志願した理由には、高校時代に家が火事に遭ったという個人的な経験も大きかったという。

 「もちろん消火器はありましたが、使い方は小学校の頃に聞いただけで実際は分かっていなかった。消火器がどのぐらいの時間使えるのかも知らなかった。命は助かりましたが、けがをしたし、家や財産を守ることもできなかった」

 災害が“自分事”になったことで、防災意識の大切さを痛感したという本杉さん。関東大震災から100年という節目に今回の震災特番を制作するにあたっても「単なる歴史の勉強にはしたくない」という思いが強かった。「この1年だけで能登地方を襲った地震(5月)もありましたし、ハワイ・マウイ島の山火事も起きたばかり。『あなたの明日を守るための情報』を伝えたい」と語る。

 一方で、相手を選ばず襲いかかる災害を念頭に、幅広い層に見てほしいという思いから、見やすいバラエティータッチを心がけた。子供に人気のあばれる君や玉井さんのキャスティングも若年層を意識してのものだ。他方であばれる君は福島県出身で復興にも尽力しており、神奈川育ちの玉井さんがゆかりのある小田原市の海中で震災の痕跡を取材するなど、“自分事”を意識したキャスティングにもなった。

 「意外と知られていませんが、消火器は15秒ぐらいしか噴射できないんです。でもそれを知っていれば、より的確な行動がとれるはず」と語る本杉さん。「家にいるときに災害が起きるとは限りません。どんな場面でも対応できるようにという気持ちで作りましたので、若い方も見ていただければ」と呼びかけた。

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