光る君へ:毎熊克哉が提案 直秀の最期“手に泥”に込められた思い 権力への反抗、悔しさ…道長に渡したかった「バトン」

NHK大河ドラマ「光る君へ」“直秀の最期”について語った毎熊克哉さん (C)NHK
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NHK大河ドラマ「光る君へ」“直秀の最期”について語った毎熊克哉さん (C)NHK

 吉高由里子さん主演の大河ドラマ光る君へ」(NHK総合、日曜午後8時ほか)。3月3日に放送された第9回「遠くの国」では、毎熊克哉さん演じる直秀が悲しい最期を迎え、視聴者に衝撃を与えた。2月25日放送の第8回「招かれざる者」のラストで、盗みに入った東三条殿で捕まり、その後、無残にも殺されてしまった直秀。鳥辺野に討ち捨てられた遺体を道長(柄本佑さん)が発見したとき、その手に握られていたのは泥だったが、同シーンに込められた思いを、直秀役の毎熊さんが語った。

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 ドラマのオリジナルキャラクターで、町辻で風刺劇を披露する散楽の一員でありながら、貴族から金品を盗み、貧民に分け与える“義賊”の顔も持っていた直秀。毎熊さんは役に決まったときから、物語の序盤で殺される運命にあることは知っていたという。

 また、道長が屍と化した直秀を発見したとき、カラスが遺体にむらがっていたが、毎熊さんは、このカラスが「すごくいいな、と思いました」と明かす。

 カラス=鳥はこの作品における「自由の象徴」と考える毎熊さん。屋根の上からまひろ(吉高さん)を呼び出すとき、フクロウの声まねをしていた直秀は、捕まる前、まひろを冗談交じりに“外の世界”に誘った際も、「所詮、都は山に囲まれた鳥かごだ」とし、「俺は鳥かごを出て、あの山を越えて行く」と夢を語っていた。

 「どこへでも行ける、自分の意志で生きていける、直秀のようなキャラクターが、鳥に食われているっていうのがいいなと思って。“だた死んでいる”というのと比べて、死んだあとにカラスに食われているっていう描写の方が、すごく残酷に感じたんです」

 直秀は当初から「まひろと道長に影響を与える人物」と位置付けられてきたが、毎熊さん自身「影響を与える役、その影響ってなんなんだろうと思っていた」と話す。その中で、思い浮かんだというのが、最期を迎えた直秀が手に握っていた泥。これは台本にはなかったもので、毎熊さんの提案によって実現した。

 第9回の演出を手掛けたのは、毎熊さんが2018年度後期の連続テレビ小説(朝ドラ)「まんぷく」に出演した際に出会った中泉慧さん。「まんぷく」以来の再会となったが、毎熊さんとは“同い年の同士”の中泉さんも、直秀の最期のシーンを「すごく大事にしてくださった」という。

 「以前よりもお互いに重要な役割を任させれて、絶対にいい第9回にしようというのはあったし、直秀の人生をどう終わらせたらいいのか、すごく話しやすかったのもあって、台本にはなかったのですが、最期の直秀の姿として『泥を握りしめている』という演技を提案したら、『それはいいかも』となったんです」

 劇中では、直秀の遺体を発見し、言葉をなくす道長が手に握られた泥を見つけて払ったあと、代わりに自分の扇子を持たせてやる、という流れとなったが、一握りの泥に込められた思いを、毎熊さんに聞くと……。

 「あの山を越えて、海のある町に行くんだ、と言っていた直秀は、抵抗したんだろうなって、権力に。直秀に手を下した2人は、第2回(1月14日放送)で、町の人間をいじめていた検非違使で、直秀が石ころを投げた相手。イラッとして石ころを投げて、走って逃げていたらまひろとぶつかってと、いろいろとつながっているのですが。その2人に対しての反抗というよりも、今の国、権力に対する反抗。悔しさがにじみ出ている死に方に見えたらいいなと思ったし、それを道長にバトンタッチしたいと思って。それは視聴者に分かってほしいわけではなくて、道長だけに伝わればいいなという感じです」

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