解説：声優アワード　“2023年最も活躍した声優”きょう発表　前回の受賞者　注目ポイントは？

　1年で最も活躍した声優を表彰する「声優アワード」の第18回「第18回 声優アワード」の授賞式が3月9日に開催される。毎年3月に授賞式が開催されており、今回は2022年10月1日～2023年9月30日に発表された作品で活躍した声優が対象で、主演声優賞、助演声優賞、新人声優賞など全部門の受賞者が発表される。授賞式に向けて、前回の声優アワードを振り返ると共に今回の見どころを解説する。

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　◇前回は種崎敦美、江口拓也がW受賞　主要3部門に変化も

　前回の「第17回 声優アワード」を振り返る上で、主要3部門の変化に触れておきたい。第17回から、多様性の尊重、ジェンダーフリーに鑑み、それまで男女別だった主演、助演、新人の3部門をそれぞれ統合し、主演声優賞、助演声優賞、新人声優賞と名称が変更された。今回の第18回からは、富山敬賞と高橋和枝賞も統合され、富山敬・高橋和枝賞と名称を変更した。

　主要3部門の名称が変更され、初めての主演声優賞に選ばれたのは、「SPY×FAMILY」のロイド・フォージャー役などの江口拓也さん、「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」のダイ役などの種崎敦美さん、「リコリス・リコイル」の錦木千束役などの安済知佳さんの3人だった。

　種崎さんは「SPY×FAMILY」でアーニャ・フォージャーを演じたことも話題になり、助演声優賞にも選ばれた。声優アワードで、1人の声優が主演と助演をダブル受賞するのは史上初。江口さんも主演声優賞とMVS（Most Valuable Seiyu、ファンが選ぶ最も活躍した声優）をダブル受賞し、「SPY×FAMILY」のキャストの活躍を印象づけた。

　助演声優賞は、種崎さんに加え、劇場版アニメ「ONE PIECE FILM RED」でシャンクスを演じた池田秀一さん、「パリピ孔明」で諸葛孔明を演じたことも話題になった置鮎龍太郎さんが受賞した。

　声優デビュー5年以内の声優を対象とした新人声優賞はフレッシュな面々が受賞。「魔法使い黎明期」などの梅田修一朗さん、「その着せ替え人形は恋をする」などの直田姫奈さん、「サマータイムレンダ」などの永瀬アンナさん、「王様ランキング」などの日向未南さん、「リコリス・リコイル」などの若山詩音さんが選ばれた。

　◇“ファンが選ぶ最も活躍した声優”の歴史　前回は江口拓也

　声優アワードの中でもファンの注目を集める賞がMVSだ。声優アワードの全部門の中で唯一ファンの投票により決定する賞で、前回は江口さんが受賞した。

　MVSは、2019年に新設された賞だが、その前身に「最多得票賞」がある。声優アワードは、2007年に授賞式が開催された第1回から第12回まで、一般投票により主演男優賞、主演女優賞などのノミネートを決めており、2012年の第6回に全ての投票で最多票を獲得した声優に贈られる最多得票賞が新設された。同賞を第6回から5年連続で獲得し、殿堂入りしたのが、神谷浩史さんだ。

　2017年の第11回、2018年の第12回は最多得票賞の選考が実施されず、2019年の第13回にMVSが新設された。MVSとなってからも、第13回、第14回と2年連続で神谷さんが選ばれ、すさまじい人気を見せつけた。

　神谷さんの“無双”状態が変化したのが2021年の第15回で、下野紘さんがMVSを初受賞した。翌2022年の第16回では、2年連続で下野さんがMVSを受賞し、前回の第17回は、江口さんがMVSに選ばれた。“今最も人気のある声優”を決める賞といっても過言ではないMVS。今年は誰が選ばれるのか、注目される。

　◇主要3部門で2年連続受賞は1人だけ　2回以上の受賞も6例のみ

　声優アワードは、2006年の創設から約18年の歴史があるが、歴代の受賞者を振り返ると、主演、助演、新人の主要3部門では、2年連続受賞、複数回の受賞が非常に少ないことが分かる。2年連続で同じ賞を受賞したのは、2013年の第7回、2014年の第8回で主演男優賞を受賞した梶裕貴さんのみだ。

　複数回の受賞は、小野大輔さんが主演男優賞を2回（第4回、第9回）、沢城みゆきさんが助演女優賞を2回（第3回、第9回）、細谷佳正さんが助演男優賞を2回（第8回、第10回）、諏訪部順一さんが助演男優賞を2回（第7回、第12回）、種崎さんが第14回で助演声優賞、前回で助演声優賞を受賞している。

　今年の授賞式では、どのような声優陣が栄冠を手にするのか。対象期間である2022年10月1日～2023年9月30日に放送された作品を見てみると、2022年秋から放送された「ぼっち・ざ・ろっく！」「チェンソーマン」「ブルーロック」「SPY×FAMILY」シーズン1の第2クール、2022年秋と2023年春に2クールで放送された「機動戦士ガンダム 水星の魔女」、2023年春から放送された「【推しの子】」「マッシュル-MASHLE-」「鬼滅の刃」の「刀鍛冶の里編」、2023年夏から放送された「わたしの幸せな結婚」「呪術廻戦」第2期、「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」といった人気作が並ぶ。

　劇場版アニメでは、新海誠監督の「すずめの戸締まり」、井上雄彦さんの名作バスケットボールマンガ「SLAM DUNK（スラムダンク）」の劇場版アニメ「THE FIRST SLAM DUNK」も話題を集めた。話題作に出演した声優陣が選ばれるのか、それとも番狂わせがあるのか。授賞式に注目が集まる。