Hana Hope:「狼と香辛料」新作OPも話題の18歳シンガー 「ホロとロレンスのいつまでも続く旅」を表現

「狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF」のオープニングテーマ「旅のゆくえ」を担当するHana Hopeさん
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「狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF」のオープニングテーマ「旅のゆくえ」を担当するHana Hopeさん

 電撃文庫(KADOKAWA)の支倉凍砂(はせくら・いすな)さんの人気ライトノベル「狼と香辛料」の約15年ぶりとなる完全新作テレビアニメ「狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF」。同作のオープニングテーマ(OP)「旅のゆくえ」を担当するのが、18歳のシンガー・Hana Hope(ハナホープ)さん。レコーディングでは、「ホロとロレンスのいつまでも続く旅であることを表現できるように、一つ一つの音符を大切にして、歌いました」というHana Hopeさんが、作品の魅力や、楽曲への思いを語った。

ウナギノボリ

 --「狼と香辛料」の印象は?

 以前放送していた「狼と香辛料」のアニメーションと、今回の「狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF」のいくつかのシーンを見させていただき、とてもワクワクしました。私の大好きなものに重ね合わせることができましたし、私自身自然が大好きなので「狼と香辛料」の世界は、私の理想や価値観にも近いように感じました。

 --本作だけでなく、昨今Hanaさんはアニメやゲームの楽曲を歌うことが増えてきました。そういった作品との親和性の高さの理由についてはどう分析していますか。

 自分自身の声にどんな魅力があるのか、自覚はできていないんです。ただ、メジャーデビュー曲として歌った「flowers」は、自分の声にマッチした曲だなと思っていました。歌うことも楽しい曲です。バラードを歌うことが大好きなので、そこも評価してもらえたのかなと感じています。

 --こんなにすてきな声なのに、自覚はないと?

 ありがとうございます(笑い)。自分の感情が声に表れているとは感じていますが、それが聴き手にきちんと伝わっているのかどうかまでは確信が持てず……。その点については考え込んでしまうことがありますね。ただ、物語やストーリーテリングの作り込み方は以前より向上したように思います。また、アニメの主題歌を担当することができて、アニメにもより関心が高まって、さらに日本語での表現方法もより学ぶことができました。その結果、日本語と英語どちらも歌いながら日本で活動するアーティストとしての自分のアイデンティティーが、より充実したものになったと感じています。

 --「旅のゆくえ」を初めて聴いた時の印象は?

 とてもダイナミックな曲だなという印象がありました。以前の「狼と香辛料」のアニメーションを見た時にも「とても愛されている作品なんだな」と思ったんです。その世界を崩さないように、新しいシーズンにふさわしい新鮮なアプローチを取り入れることを意識しながら、私なりのスタイルで歌い上げたいなと頑張りました。

 --日本語の一つ一つが美しい印象を受けました。歌詞を読んだ時はどのように感じましたか?

 私も美しい言葉の歌詞だと思いました。特に「手をつなぎ歩き続けたい」のところは、心にじーんときて、完成した楽曲を聴いた時も改めて素晴らしいなと感じました。

 --レコーディングで大事にしたことは?

 歌う中でいちばん意識したのは、伸び伸びとした声です。雄大な草原をイメージしながら歌っていきました。ホロとロレンスのいつまでも続く旅であることを表現できるように、一つ一つの音符を大切にして、歌いました。それと同時に、ホロとロレンスの愛情や、旅が進むにつれて感じる不安など、複雑な気持ちを表したいなとも思っていました。

 --コーラスが「旅のゆくえ」の奥深さをさらに彩っているように感じました。

 この曲自体、これまで歌ってきた中でも難しい曲でした。中でもコーラスでは裏声を使って、どうしたらきれいに聴かせられるかをいろいろトライしました。豊かな自然が広がっていくような印象があったので、ふたりの希望を表せられるようにと、意識しながらコーラスを重ねました。自分の感情を声に入れることができたように思います。

 --「狼と香辛料」の視聴者に楽曲を通じて、どのようなメッセージを届けたい?

 オープニングを見ている時、期待とワクワク感があると思います。皆さんが毎週楽しめるオープニングになったらうれしいですね。この曲を聴いていろいろな感情が浮かんで現実から少しエスケープして、自分だけの旅の世界に、そして「狼と香辛料」の世界に没入してもらえたらと思っています。また、1話、1話、とても面白いエピソードが展開していきます。ワクワクする場面がありつつ、時に不安な感情も出てきます。アニメの中のストーリーと私の歌う「旅のゆくえ」をリンクさせて聴いていただき、ワクワク感を高めながら、物語の扉を開けていただけたらうれしいです。

 --楽曲制作に携わったことで、改めて感じた「狼と香辛料」の魅力は?

 中世ヨーロッパを想像させる世界と歴史と人々の生活がとても興味深かったです。その時代の香りがとても魅力的だなと感じていました。それに加えて、“狼神”と名乗るホロの存在があって……と、ヨーロッパと日本の文化が混じり合っていて、とてもクリエーティブだなと思いました。

 --Hanaさん自身も音楽を通して、いろいろな文化に触れてきているのだなと感じます。

 そうですね。父がアメリカ人で母が日本人なので、どちらの国の音楽の文化を聴きながら育ってきたので、そういう意味では、私のやっている音楽もいろいろな面があると思います。「旅のゆくえ」も、音の混ざり方がとても特徴的ですし、曲自体も、世界のポップスとJ-POPの文化が混ざり合っているように思っています。

 --「旅のゆくえ」の制作過程を経て、今後の音楽活動におけるインスピレーションもさらに豊かになっていきそうですね。

 そうですね。文化の混ざり合いにとても影響を受けました。ホロというキャラクターの生き方に、私自身とても憧れているんです。そこで得た刺激を今後の楽曲制作におけるストーリーラインに入れていきたいです。

 --タイトルが「旅のゆくえ」にちなみ、Hanaさん自身も音楽を通じて独自の旅を続けていると感じることはありますか。

 はい。歌を作る時、参加してくださるクリエーターの一人一人が自分のイマジネーション、クリエーティビティーを持っていて。コラボレーションをする度に、その方の頭の中に入って、その空間を旅するような感覚を味わっています。もちろんその人の思考の全てを理解できるわけではないのですが、分からないこともまた一つのワクワクだと思っています。そうやって自分の中に取り入れていくのも、アーティストの一つの役目だと考えています。

 --その中で、今後目指したい場所や、行ってみたい場所はありますか?

 本作を見て、中世ヨーロッパにとても興味を持ちました。実はヨーロッパにはまだ行ったことがないんです。行きたい国はたくさんあるのですが、特にポルトガルに興味があります。ポルトガルの建物のユニークさやクリエーティビティーにひかれますね。

 --ヨーロッパを訪れる機会があったら、歌へのインスピレーションがたくさん湧きそうですね。

 確かに、「旅のゆくえ」パート2ができるかもしれません(笑い)。

 --「狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF」のファンに向けてメッセージを。

 この曲のレコーディングをしている時、心から楽しみながら歌いました。「狼と香辛料」にとても愛情を抱いています。それを歌声から皆さんに感じてもらえたらとてもうれしいです。皆さんといっしょにアニメを楽しみたいと思っています。先程も話したこととも重なりますが、この曲を聴きながら、現実から少しだけエスケープして、アニメの世界に旅ができたらうれしいです。この曲を通じて、少しでもリフレッシュしてもらえたら、私にとっては大きな喜びです。

 --そのような思いが、このタイトルには込められているのでしょうか?

 そうですね。ホロとロレンスは、故郷に帰る目的で旅をしているんですけど、そこではさまざまなトラブルに見舞われます。二人の旅の行方はどうなっていくかは不確かではあるけれど、それでも前に進む力を持ち続けていれば、希望が見えてくる。そういう大切なメッセージを込めました。

 --ホロとロレンスの旅が進んでいくうちに、「旅のゆくえ」の歌詞への理解が深まったり、聴き方が変わったりと、受け取り方が変化しそうな気がします。

 That’s beautiful! そうなってくれたら、私もとてもうれしいです!

 「狼と香辛料」は、行商人クラフト・ロレンスが、豊穣(ほうじょう)の神としてあがめられていた狼の化身のホロと旅をする姿を描いたライトノベル。2006年2月に第12回電撃小説大賞の銀賞に選ばれ、2021年2月にはシリーズ15周年を迎えた。シリーズ累計発行部数は約500万部。テレビアニメ第1期が2008年、第2期が2009年に放送された。

 新作アニメは、前作で監督を務めた高橋丈夫さんが総監督として参加し、前作の第2期に演出として参加したさんぺい聖さんが監督を務める。パッショーネが制作する。前作に続き、福山潤さんがクラフト・ロレンス、小清水亜美さんがホロをそれぞれ演じる。テレビ東京ほかで放送中。

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