村上隆:創作の原動力語る 「ドラゴンボール」の“精神と時の部屋”に「答えが全部描いてある」

NHK BSのドキュメンタリー番組「フロンティア 夢見る“怪物” 村上隆」の取材会に登場した村上隆さん
1 / 3
NHK BSのドキュメンタリー番組「フロンティア 夢見る“怪物” 村上隆」の取材会に登場した村上隆さん

 現代美術作家の村上隆さんが4月18日、東京・渋谷のNHK放送センターで行われた同局のドキュメンタリー番組「フロンティア 夢見る“怪物” 村上隆」の取材会に登場。作品を生み出せないときに生み出す方向へ向かうための原動力について聞かれた村上さんは「同じような質問をする若いアーティストがいるけど」と前置きし、「僕の答えは『ドラゴンボール』を見て、というんです」と鳥山明さんの人気マンガの名を挙げて回答。「(主人公の)悟空が修業している『精神と時の部屋』、あそこを自分で作ればいいんですよ。あそこに全部答えが描いてある」と語った。

ウナギノボリ

 「精神と時の部屋」は「ドラゴンボール」に登場する、地球の10倍の重力があり、外の世界の1日が部屋の中では1年に当たるという部屋。村上さんは「(精神と時の部屋では)自分に負荷をかけていますよね。しかも、下界とは全然違う時間軸で」と特徴を説明し、「(創作には)脳をどうやって覚醒してフリーな状態にしていくかが、一番大事なので。だから、追い詰められている状況を作る、というのが我々の努力のポイント(になる)」と考えを明かした。

 さらに村上さんは「そういう意味で、私は会社を作って。(スタッフは)350人ぐらいになっちゃっているんですけど。2、3日前も経理から『来月潰れそうです』と報告を受けて、大きなプレッシャーを感じているんですけど……そういう状態になると『いい絵を描こう』とかもう何も考えない」と苦笑いで現状を説明し、「コンディションを“無心”にしていくのが大きな仕事だと思ってやっています」と語った。

 「フロンティア」は、現代の最先端を切り開く者だけに見える“一歩先の新しい世界”を、最新の撮影技術を駆使した4Kの映像で伝えることをコンセプトに、2023年12月からスタートしたドキュメンタリー番組。「フロンティア 夢見る“怪物” 村上隆」は、京都で開催中の個展「村上隆 もののけ 京都」の舞台裏などを紹介する。

 村上さんはドキュメンタリーへの出演について「僕の方から今回、ドキュメンタリー(制作)をお願いしたんです」と打ち明け、「庵野(秀明監督)さんのドキュメンタリーを見て、庵野さんが最初から最後までめっちゃ不機嫌だったんですね。これで成立するなら僕も大丈夫だと思って、それでお願いすることにしたんです」と冗談交じりに明かし笑いを誘っていた。

 番組は18日午後10時にBSP4Kで先行放送され、23日午後9時にNHK BSで放送される。

写真を見る全 3 枚

テレビ 最新記事