解説:松本若菜 “西園寺さん”が「ハマり過ぎ」と話題 役にさらなる魅力をもたらす人間力

松本若菜さん
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松本若菜さん

 放送中の連続ドラマ「西園寺さんは家事をしない」(TBS系、火曜午後10時)で主人公・西園寺一妃を演じている俳優の松本若菜さんの好演ぶりが「ハマり過ぎ」と話題を呼んでいる。意外にも本作がGP帯初主演となる松本さんの経歴を振り返りながら魅力を解説する。

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 松本さんは1984年02月25日生まれ、鳥取県出身。「仮面ライダー電王」(テレビ朝日)で、佐藤健さん演じる野上良太郎の姉、愛理役で俳優デビュー。映画「腐女子彼女。」(2009年)で主演を務めたあとも、数々の映画やドラマに出演。2017年には、映画「愚行録」(石川慶監督)で第39回ヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞したほか、連続ドラマ「コウノドリ」(TBS)でもメインキャストを務めた。その後も「チア☆ダン」(TBS)をはじめ数々の作品に出演。2020年には「麒麟がくる」に於大の方役でNHK大河ドラマ初出演を果たした。

 バイプレーヤーとして数々の作品に出演してきた松本さんだが、一躍話題を集めたのが2022年に放送された「やんごとなき一族」(フジテレビ)で演じた深山美保子役だった。“長男の嫁”として土屋太鳳さん演じる主人公をいびる姿が“松本劇場”と呼ばれ反響を呼んだ。

 “怪演”とも呼ばれた“松本劇場”だったが、いわゆる“怪演”に、ある種のおかしさ、悲壮感なども加えた松本さんならではの要素が大きかったのがポイントだった。物語の序盤から、悪役なのにどこか憎めなかった美保子の姿は、後に彼女自身が報われなかった過去を抱えていたことがわかるとファンを増やすことに。そして「東京ドラマアウォード2022」でも助演女優賞を受賞するなど松本さんの魅力を広く知らしめることとなった。

 そして連ドラ初主演作となった「復讐の未亡人」(2022年)では、亡き夫の復讐のために手段を選ばないセクシーで妖艶な主人公の密を演じ、コミカルさもあった美保子とのギャップで視聴者を驚かせた。そして、その後も「ファーストペンギン!」(日本テレビ)、「夕暮れに、手をつなぐ」「18/40~ふたりなら夢も恋も~」(TBS)など数々の作品でメインキャストを務めている。

 「やんごとなき一族」の美保子役もそうだが、松本さんが演じる役どころは奥行きを感じさせるものが多い。美保子も単なる性格の悪い“長男の嫁”ではなく、愛人の娘として生まれ、血のにじむような努力で上り詰めたキャラクターだったし、「18/40」で演じた柴崎薫も産婦人科医として主人公の良き理解者という立場だったが、自分自身もひそかに8年にわたって続けていた不妊治療を諦めるというシーンが描かれた。

 こうした役どころに奥行きを与える説得力には、「30歳まで腐っていた」と自身も述懐し、デビューから15年でブレークを果たしたという松本さん自身の経歴やそこで培われた人間力も関係があるのかもしれない。最初の発表資料のキャスト欄に松本さんの名前があると「この役は額面通りのキャラではないのでは? 別の一面が隠されているのでは?」とついつい深読みしてしまうのだ。

 放送中の「西園寺さんは家事をしない」で松本さんが演じている“西園寺さん”も、徹底して家事をしないバリキャリの独身女性ながら、「シルバニアファミリー」が大好きという一面も持ち合わせる魅力的な役どころ。そして松本さんだからこその親しみやすさや奥行きを“西園寺さん”から感じられているといえるのではないか。

 12月に公開される映画「はたらく細胞」で松本さんが演じるマクロファージもまた、優しい笑顔を持つ幼い赤血球のお世話係だが、ウイルスなどの異物を容赦なく殲滅するというさまざまな顔を持ち合わせるキャラクターだ。さまざまな役どころにさらなる魅力をもたらす松本さんの活躍に今後も注目したい。

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