虎に翼:新潟編で鮮烈な印象 “赤い腕飾り”美佐江の登場で「少年犯罪の変化を描きたかった」 疑惑の事件の真相は?

連続テレビ小説「虎に翼」で片岡凜さん演じる森口美佐江(右) (C)NHK
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連続テレビ小説「虎に翼」で片岡凜さん演じる森口美佐江(右) (C)NHK

 伊藤沙莉さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「虎に翼」(総合、月~土曜午前8時ほか)。第16週から第19週にわたって描かれた新潟編で、鮮烈な印象を残したキャラクターが、片岡凜さんが演じた森口美佐江だ。このドラマに美佐江を登場させた理由や、片岡さんの起用理由について、制作統括の尾崎裕和さんに聞いた。

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 ◇新潟編、サスペンスフルな演出の理由は?

 美佐江は、三条の大地主・森口(俵木藤汰さん)の娘で、東京の大学で法律を学ぶことを目指す成績優秀な高校3年生。容姿端麗な美佐江のもとには自然と人が集まってくるが、美佐江は“赤い腕飾り”を彼らに贈り、「特別な存在」だと思い込ませることで、窃盗や売春などの悪事に手を染めさせている疑惑があった。第93回(8月7日放送)で東京大学に合格したことが明らかになって以来、ドラマからは姿を消している謎多き人物だ。

 尾崎さんは、美佐江というキャラクターを登場させた理由について「演出上サスペンスにはなっているんですけど、サスペンス的な展開にしたいというよりは、時代が変わっていくことによる少年犯罪の変化を描きたかった」と語る。

 実際に、戦後の復興期には、既存の道徳観を欠いた無軌道な若者による犯罪が増え、「アプレゲール犯罪」と呼ばれていたという。

 「戦災孤児の道男(和田庵さん)のように、貧しさゆえに、生きていくために犯罪を犯さなければいけなかったのとは違う、裕福で恵まれているけれど、犯罪に走ってしまう若者を、時代の変化を含めて描きたいという思いがありました。当時の時代背景をもとに、そういう少女を描きました」

 ◇「すごく良い美佐江役になった」

 美佐江を演じた片岡さんは、2003年10月6日生まれ、群馬県出身の20歳。2021年春に開設したTikTokとインスタグラムに投稿した動画や写真が注目を浴び、同年末に芸能事務所「フラーム」に所属。2020年7月期放送の「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」(TBS系)でドラマデビュー。「虎に翼」で朝ドラ初出演を果たした。

 片岡さんは、6月18日に自身のX(旧ツイッター)で、学生のころからの夢だった朝ドラ出演をかなえたことを報告し話題に。「虎に翼」出演後も、美佐江になり切った投稿をするなど、たびたび視聴者の話題を集めていた。

 尾崎さんは「もともとSNSで面白いことを投稿される方なので、自由にやっていただいています。特に相談していただいているわけではなく、タイムラインに流れてきた投稿を見て、僕も気づく感じですね」と明かす。

 片岡さんを起用した理由について、「美佐江は何を考えているか分からないキャラクター。片岡さんにはNHKのドラマにも出ていただいていて、Xの投稿もすごく個性的で、聡明というか、すごくいろんなことを考えていらっしゃる方という印象がありました。つかみどころがない美佐江という役を演じていただけたら、ハマるし、面白いんじゃないかと思いました」と説明。

 「朝ドラは初めてということもあり、演出とじっくり相談しながら役作りをされていました。結果として、すごく良い美佐江役になったと思います」と手応えを語る。

 新潟編で数々の波乱を起こした美佐江だが、関与が疑われる事件の真相は解明されないままだ。今後、美佐江のエピソードは回収されるのだろうか。

 「寅子にとって、あの出来事は何だったのか。新潟編で解決せずに終わったエピソードが、寅子にとってどういう意味があったのか。それを改めて考える機会はあります」と含みを持たせた。

 東京編を楽しみながら、寅子の人生にとって新潟で過ごした日々にどんな意味があったのか、見届けていきたい。

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