名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
キヅナツキさんの人気BLマンガが原作のアニメ「ギヴン」の劇場版2部作の後編「映画 ギヴン 海へ」が9月20日に公開された。アニメ「ギヴン」シリーズは、フジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」で2019年7~9月に放送されたテレビアニメから始まった。ロックバンド「ギヴン」のメンバーを中心とする青春模様を描いており、「映画 ギヴン 海へ」で完結を迎えた。主人公・佐藤真冬役の矢野奨吾さん、真冬の恋人である上ノ山立夏役の内田雄馬さんに収録の様子や、完結への思いを聞いた。
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矢野さん 「もう終わってしまうのか」というもの悲しさはあったのですが、これまでと同じ形で臨ませていただきました。
内田さん 「海へ」の収録は、前編「映画 ギヴン 柊mix」と間が空いていなかったということもあり、この1年間であまり離れずに収録できたことはすごくうれしかったなと思います。テレビシリーズの時から収録現場の雰囲気はすごく良くて、みんなでしっかりとコミュニケーションを取って作っていくような作品だったので、それが終わりを迎えることには、やはり寂しさはすごくありました。とはいえ、ここまでみんなでしっかり積み上げてきた分、あまり気負わず、特別構えたりせず、これまで通り自然体な感じで現場に向かえたのは、すごく良かったかなと思っています。
矢野さん 「ギヴン」は、僕が初めて主演をやらせていただいた作品でもあるので、真冬と一緒に成長していけたという感覚です。「海へ」で、真冬は音楽に向き合って、「音楽が大切だ」という気持ちが芽生えて、音楽にどんどん前のめりになっていく。それも成長だと思いますし、由紀とも、立夏ともちゃんと向き合って、立夏のことが心から好きだと言えるようになったことも成長だと思います。この「好き」が大きくなればなるほど、嫌いになってしまう瞬間や、どちらかを捨てなきゃいけない瞬間があって。僕も役者をやっていて、好きだからこそ、お芝居を嫌いになってしまうような瞬間もあったので、真冬の感じていることに共感できる。そうした面が、どんどんどんどん大きくなっていったように思います。
内田さん ちょうど「ギヴン」の立夏役が決まった頃、僕自身、どうやって人とコミュニケーションを取っていけばいいのか、どんなふうに芝居のアプローチをしていけばいいのか、いろいろ試していた時期だったんです。あまり器用な方ではないので、何に対しても「もう体当たりするしかない」みたいな感覚がすごくあったんですよね。立夏も自分の気持ちを表現する上で、言葉よりも音楽のほうが伝えられる。彼の言語は音楽だったというか。そんな彼の不器用さに共感しましたし、自分を見ているようでした。当時は立夏と一緒に悩んでいましたし、矢野くんと真冬に導いてもらって、「受け止めてくれてた」という感覚がすごくあって。だから本当に「一緒に歩いてきたな」という感じがすごくあるキャラクターだなと思っています。
矢野さん やはり立夏を好きでいること。真冬にとって、音楽や立夏を「好き」という気持ちが大きければ大きいほど、自分ではどうしたらいいのか分からなくなるし、周りから置いていかれる感覚がもっと深く意味を持ってくるんだろうなと台本を読んだ時点で思っていたので、これまで積み重なってきた立夏への思い、音楽への思いは、何よりも大事にしようと思っていました。「ギヴン」のメジャーデビューを前にして、「これから自分は音楽で生きていくんだ。プロとして生きていくんだ」「だからこそ、立夏ともっと向き合って、絶対に両方大事にしていくんだ」という強い思いに昇華されていくのだろうなと。
内田さん 立夏としても、思いというものは大事で。テレビアニメは、自分の気持ちに気付いたり、自分の中で形にできないものに気付いていく段階だったと思うのですが、「海へ」では、それを踏まえた上でどう真冬と向き合っていくのか?が描かれる。自分の中で腑に落ちるということは、自分一人でもできることだけど、「この人と生きていきたい」となった時に、本当に自分の思いだけで先に進めるのか?という迷いはすごくあって、立夏はすごく考えたと思うんですよね。だから、「海へ」では、立夏としては一つの覚悟を決めたお話だったのかなと思っています。
内田さん 演技においては、何かを変えようとか、こういうふうに見せてやろうと考えるのではなくて、この作品は会話劇であるからこそ、お互いのコミュニケーションの中で「あ、変わったんだな」と感じてもらうような作りのほうがいいのかなと思っていました。だから、なるべくフラットで、狙いをつけすぎないということをすごく大事にしました。そうすることで、お互いに引っ張り上げられるようなお芝居ができたと思います。
矢野さん 今回は最後に「ずっとぜんぶこのままならいいのに」という、真冬のモノローグがあるんです。僕は最初、そのセリフを「この時間がずっと続いていけばいいと思えるほど今幸せだ」という捉え方をしていたんです。でも、音響監督の菊田(浩巳)さんから「真冬は、いつかこの幸せの時間がなくなってしまうことが分かっているからこそ『ずっとぜんぶこのままならいいのに』と言っている」というディレクションをいただいて、自分寄りに解釈してしまっていたな、幸せを噛み締めすぎていたなと気付いたんです。真冬の物事を悲観してしまうところとか、由紀という大切な人を失って前に進んでいるという根幹の部分を忘れてしまうほどに、僕自身が立夏との今の人生を幸せに捉えてしまっていたなと。最後になって改めて真冬のことを知れたような感覚でした。
内田さん 今回、最初のテストの時に菊田さんから「全員大人すぎるな」と言われたんです。「ギヴン」の収録では、本質的な部分で会話をしていくことを大事にしていた分、役者さんのその時の感性がすごく生きてくるんですよね。これは僕の考えなんですけど、役者って、演技に自分自身の「こうだったらいいな」を乗せることで、個性につながると思っているんです。だから、今回もキャラクターたちが幸せな未来に向かうために、「この決断をしたほうがいいだろうな」という願望みたいなものがどこかにあって、それが“臭み”になっちゃったという。それが演技にも乗りすぎてしまって、悩みが解決しているような感じになってしまった。
内田さん 何が悩みに対する正解かはっきりしない中で、自分のしたいことを選んでいくというのが彼らの感覚だと思うのですが、僕らはある程度経験値が上がっていくにつれて、はっきりしすぎてしまっていたんです。そこは、1回リセットして収録に臨まないといけないなと、最初のテストで思ったことをすごく覚えています。その後、すぐにみんながパッと切り替えられたので、「プロすげえ」と思いましたね(笑)。
矢野さん 第一声は雄馬くんから始まっているので、雄馬くんがそのディレクションで、バッと幼くなったんですよ。僕はそれを受けてやるだけだったので「さすが内田雄馬」と思いました。
内田さん いやいや、僕が“大人”にしてしまっていたから(笑)。でも、そういうのが面白い。長く続けるというのはそういうことだなと。僕らは約6年たっているけど、キャラクターたちにとっては1年の出来事なので、あまり台本を読み込みすぎて、「こうであってほしいな」と思いすぎてしまうと、変な狙い、臭みになっちゃうので、そういうものを1回リセットするのが大事なんだなと実感しました。
インタビュー(2)に続く
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