俳優の當真あみさんが、日本テレビ系で7月期に放送される連続ドラマ「ちはやふる－めぐり－」で主演を務めることが先月、発表された。「ちはやふる」は、競技かるたをテーマにした末次由紀さんの人気マンガで、振り返れば、同マンガを原作とした映画3部作からは広瀬すずさん、上白石萌音さん、清原果耶さんと、3人の朝ドラ（NHK連続テレビ小説）ヒロインを輩出した。當真さんも続くことができるのか、その可能性を探ってみた。

あなたにオススメ

2027年大河ドラマ主人公・小栗忠順とは？　近代日本に欠かせない人物

　◇2016年に映画化され、完結編が2018年に公開

　「ちはやふる」は、末次さんが女性マンガ誌「BE・LOVE」（講談社）で2007～22年に連載。シリーズ累計発行部数2900万部を超える人気マンガだ。綾瀬千早が、転校生の綿谷新との出会いを通じて競技かるたの魅力に目覚め、幼なじみの真島太一らかるた部の個性的なメンバーたちと共にかるたに情熱を燃やす……というストーリー。

　広瀬さん主演で2016年に映画化され、「上の句」「下の句」の2部作が公開。映画完結編となる「結び」は2018年に公開された。

　映画全3作で、広瀬さんが主人公の綾瀬千早を演じ、上白石さんが大江奏役で共演。清原さんは「結び」でオリジナルキャラクターの我妻伊織に扮（ふん）した。のちに、広瀬さんは記念すべき100作目の朝ドラとなった2019年度前期の「なつぞら」、清原さんは2021年度前期の「おかえりモネ」、上白石さんは2021年度後期の「カムカムエヴリバディ」で、朝ドラヒロインを務めている。

　ちなみに、広瀬さんと清原さんは「Seventeen（セブンティーン）」（集英社）の専属モデルの先輩・後輩という間柄で、朝ドラ「なつぞら」では姉妹を演じている。

　◇ドラマ10「大奥」に「どうする家康」…テレビドラマ初主演もNHK

　映画から10年後を舞台にオリジナルストーリーが展開する「ちはやふる－めぐり－」の主演（連ドラ初主演）に抜てきされた當真さんは2006年11月2日生まれ、沖縄県出身の18歳。

　ドラマデビューの年となった2022年4月から「カルピスウォーター」（アサヒ飲料）のCMキャラクターを務めていることでも知られ、同年末に公開された劇場版アニメ「かがみの孤城」では、参加者が1000人を超えるオーディションで、主人公・こころ役に選ばれ、声優に初挑戦。その勢いのまま突入した2023年は、1月期放送の「Get Ready！」（TBS系）で、前年の「オールドルーキー」に続き、再び日曜劇場に起用されると、「ドラマ10『大奥』」（NHK）のシーズン1で時代劇にも挑戦した。

　また同年の「どうする家康」（NHK）では、主人公・家康（松本潤さん）と瀬名（有村架純さん）の間に生まれた“素直でたおやか、母親似の長女”亀姫役で大河ドラマ初出演。天下統一に突き進む信長（岡田准一さん）の独断による亀姫の政略結婚に焦点が当てられた第21回「長篠を救え！」（2023年6月4日放送）では、家康とその家族、信長による緊迫感のやりとりが続く中、亀姫の覚悟を見事に演じ切った。

　その約1カ月後に始まった学園サスペンス「最高の教師　1年後、私は生徒に■された」（日本テレビ系）では、クラスで成績トップを争う優等生で、誰にも言えない悩みを抱えている東風谷葵（こちや・あおい）を熱演。生徒役を務める個性豊かな若手俳優の共演と考察で大いに盛り上がった同作において、（当時）16歳ながら、ひときわ印象的な演技を披露し、視聴者の胸にその名を刻み込んだ。

　2024年も「さよならマエストロ～父と私のアパッシオナート～」（TBS系）で3度目の日曜劇場を経験し、「ケの日のケケケ」（NHK）でテレビドラマ初主演と順調に作品を重ねると、2025年2月に3週にわたって放送された「リラの花咲くけものみち」（NHK）では、
毛先が金髪で服装も派手めと、性格も含めて“強い”女子大生役に挑み、主演の山田杏奈さん共々、不器用でいとおしい青春物語の盛り上がりに貢献した。

　◇俳優としての魅力と現時点での可能性

　そんな當真さんの魅力といえば、小動物っぽい見た目の愛らしさや10代らしいみずみずしさと透明感はもとより、どこか芯の強さを感じさせる目ヂカラと、相反する翳りといった濃淡が、役によって出せる部分か。

　広瀬さん、上白石さん、清原さんの3人の先輩に続く形で今後、朝ドラヒロインの座を射止めたとしても、なんら不思議ではない素質をすでに感じさせてくれる。過去の出演作からも分かる通り、NHKのスタッフの“おぼえめでたい”というのも多少なりとも有利に働くはずで、可能性は現時点では十分「ある」と言えるだろう。

　これは余談ではあるが、「カルピスウォーター」のCMキャラクターを永野芽郁さんから、「京都きもの友禅」のイメージモデルを浜辺美波さんからと、それぞれ朝ドラヒロイン経験者からバトンを受け継いでもいる當真さん。

　以前のインタビューで「朝ドラはすごく出てみたい作品ではあるのですが、すごく大変という印象もあるので、もっともっと自分の演技のレベルを上げて、役を任せてもらえるくらいになってから、挑戦してみたいなって思っています」と語っていたが、「ちはやふる－めぐり－」の放送開始に加え、10月には長編映画初主演「ストロベリームーン」の公開と、引き続きの活躍に期待が持てそうだ。