ザ・ロイヤルファミリー
Episode9「鐙~あぶみ~」
12月7日(日)放送分
今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)に出演する高橋文哉さん。朝ドラ初出演で、「アンパンマン」を生み出したマンガ家、絵本作家のやなせたかしさんがモデルの柳井嵩(北村匠海さん)の同級生・辛島健太郎を演じている。高橋さんといえば「仮面ライダーゼロワン」(2019~20年)の主人公などで知られるが、同作のテレビシリーズ終了から「あんぱん」までの5年の軌跡を振り返りつつ、ブレーク作となった連続ドラマ「最愛」(TBS系、2021年)で新井順子プロデューサーが語っていたことも紹介したい。
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高橋さんは2001年3月12日生まれ。埼玉県出身の24歳。ドラマ初出演にして初主演を果たした「仮面ライダーゼロワン」では、主人公・仮面ライダーゼロワン/飛電或人を約1年にわたって演じ切った。ちなみに高橋さんは以前、その期間について「ドラマも映画も経験させていただいて、本当に貴重な一年」と振り返り、「まさに、僕の役者人生の基盤です」と表現している。
「ゼロワン」後の高橋さんだが、2020年10月期の「先生を消す方程式。」(テレビ朝日系)を皮切りに、2022年4月期の「悪女(わる) ~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」(日本テレビ系)まで、ほぼ毎クールでドラマに出演。その中には前述の「最愛」などもあり、期待の若手俳優の地位を確立する。
その活躍はまだまだ続き、「悪女(わる)」から1クール間を置いてメインキャストを務めた2022年10月期ドラマ「君の花になる」では、7人組ボーイズグループ「8LOOM(ブルーム)」のセンターとして、楽曲リリースやライブとアーティスト活動を繰り広げた。そんな高橋さんは同時期、月刊情報誌「日経トレンディ」(日経BP社)が選ぶ「来年の顔」にも選ばれている。
2023年以降に目を向ければ、多少作品のペースは落ち着いたものの、1月期には「女神(テミス)の教室~リーガル青春白書~」(フジテレビ系)で“月9”初出演。7月公開の「交換ウソ日記」で恋愛映画に初主演し、10月期放送の「フェルマーの料理」(TBS系)では、ゴールデン・プライム帯(GP帯、午後7~11時)の連続ドラマで初めて主演を務めた。
また、2024年に入るとバラエティー番組「ぐるぐるナインティナイン」(日本テレビ系)の人気コーナー「グルメチキンレース ゴチになります!(ゴチバトル)」に加入。以降、相変わらず忙しい俳優業と並行して、番組レギュラーとして視聴者を楽しませてきた印象だ。
放送中の朝ドラ「あんぱん」では、図々しいけどどこか憎めない、可愛らしさと明るさ、人懐っこさを兼ね備えた“健ちゃん”として、作品に新たな風を吹かしている高橋さん。かつて「最愛」を手掛けた新井プロデューサーは、第一印象について「『売れそうな匂い』があった」と明かしていたが、果たして「売れそうな匂い」とは……。
「最愛」を簡単に説明すると、殺人事件の重要参考人となった実業家の真田梨央(吉高由里子さん)、その初恋相手で事件の真相を追う刑事・宮崎大輝(松下洸平さん)、あらゆる手段で梨央を守ろうとする弁護士・加瀬賢一郎(井浦新さん)を中心にしたラブサスペンス。高橋さんは、幼い頃の事故で記憶障害があり、興奮すると記憶の一部を失ってしまうという梨央の弟の朝宮優を演じた。
新井プロデューサーは、初対面のときの高橋さんについて「透明感がありますよね。会ったときに、『良い匂いがするぞ』みたいな。『空気が匂う』っていうか、『売れそうな匂い』があるんですけど、それがあった」と説明。少々抽象的ではあるが、それ以前に「Nのために」や「アンナチュラル」、その後「海に眠るダイヤモンド」といった作品を世に送り出すドラマプロデューサーとしての嗅覚が働いたことは間違いないし、その言葉通り、高橋さんはある意味、ここまで売れ続けてきたと言える。
「あんぱん」の健ちゃんは今後、ヒロインののぶ(今田さん)や朝田家の面々とも関わっていくことになるといい、当然、高橋さんの出番は増加するであろう。物語が戦争へと突き進む中で、高橋さん演じる健ちゃんの明るいキャラクターと笑顔が、時として一服の清涼剤になるに違いない。