あんぱん:制作統括が語る寛の死の重要性 人気キャラ“突然退場”のワケ 最初から「史実通りに描きたいと」

連続テレビ小説「あんぱん」で柳井寛を演じる竹野内豊さん(C)NHK
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連続テレビ小説「あんぱん」で柳井寛を演じる竹野内豊さん(C)NHK

 今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第41回(5月26日放送)で、柳井嵩(北村匠海さん)の伯父・寛(竹野内豊さん)が突然亡くなるという衝撃の展開が描かれた。視聴者から愛された寛が、このタイミングで“退場”となったが、その意図について制作統括の倉崎憲さんに話を聞いた。

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 第41回では、往診帰りに突然倒れ、危篤状態になった寛。報せを受けた嵩は自身の最高傑作となる卒業制作を完成させ、急いで高知に向かうが、すでに寛は亡くなった後で……と展開した。

 寛は、柳井医院の院長をつとめる町医者。嵩や千尋(中沢元紀さん)にとっての育ての父で、どんなときも二人を励まし続け、生きる道しるべを示した。劇中で心に響く名言を連発し、視聴者から人気を集めたキャラクターだった。

 突然の退場となるため、視聴者の間で“寛ロス”が広がることが予想されるが、倉崎さんは「寛のモデルとなったやなせたかしさんの伯父も同じタイミングで亡くなられているので、そこは史実通りに描いています。『チチキトク スグカエレ』の電報を受け取ったのが卒業制作の真っ只中で、ポスター制作を徹夜で終えて慌てて高知に向かったものの、伯父の家に着いた時にはすでに亡くなってしまっていたのも史実です」と説明。

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 「実の父が亡くなって、育ての父も亡くなってしまうということは、嵩にとっても千尋にとっても、大きな喪失感を感じるとともに、嵩のその先の人生で生みだしていくものにも影響を与える出来事だと思うんです。医院を無理に継がせるのではなく、デザインの道に進むことを後押ししてくれた伯父。だからこそ、ここの展開は史実通りに描きたいと最初から考えていました。我々スタッフもとても寂しくつらいのですが、みんなの心の中に寛の言葉はずっと残り続けると思います」

 寛は、やなせさんの作品から引用されたセリフを口にすることも多かったが、第41回に登場した「ハンパでもんてきたりしよったら、殴っちゃる」というセリフは、脚本を務めた中園ミホさんオリジナルのものだという。

 「やなせさんはその時もっと早く汽車に乗っていればという後悔もあったと著書などでも述べられています。どれだけ願おうが、もう二度とあの時間は戻ってこない。でも、きっと寛はこのような想いだったのでないかと想像しながら、中園さんが書いてくださりました。嵩にとっても寛の存在は大きかったですが、寛にとっても嵩の存在は大きかったと思うのです」

 物語からは退場した寛だが、胸を打つ名言の数々は視聴者の心に残り続けるだろう。育ての父を亡くした嵩が、今後どのような人生を歩んでいくのか。のぶ(今田さん)との関係はどうなるのか。最後まで見守りたい。

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