菊池日菜子:青春群像劇で“難役”挑戦 期待の23歳、ものづくりは「楽しい」も「見えていないところがたくさん」

映画「か『』く『』し『』ご『』と『」で、黒田文(通称パラ)を演じた菊池日菜子さん
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映画「か『』く『』し『』ご『』と『」で、黒田文(通称パラ)を演じた菊池日菜子さん

 奥平大兼さんと出口夏希さんがダブル主演を務める映画「か『』く『』し『』ご『』と『」(中川駿監督)に出演する菊池日菜子さん。2021年、映画「私はいったい、何と闘っているのか」(李闘士男監督)でスクリーンデビューを飾り、2022年公開の映画「月の満ち欠け」(廣木隆一監督)の演技で、「第46回日本アカデミー賞」で新人俳優賞を受賞した期待の若手の一人だ。現在23歳、「まさか自分が青春ものに出るとは思っていなかった」という菊池さんに今作出演を振り返ってもらった。

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 ◇カメラが回っていない裏でも「私はパラでありたい」と

 映画は、「君の膵臓をたべたい」などで知られる住野よるさんの小説が原作の“少しだけ人の気持ちが見えてしまう”男女5人の尊い日々を描く青春青春群像劇。「 Aぇ! group」の佐野晶哉さん、早瀬憩さんも出演する。

 菊池さんは「中高生だけではなく、10代を過ごしたすべての方々に見ていただきたいと思っています」と話す。

 「私自身がすごく心を動かされたシーンがあって、物語から確かな活力をもらいました。それぞれ形は違えど、きっと何かを感じ取っていただけるという確信があるからこそ、多くの方に見ていただきたいと思っています」

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 今回、演じた黒田文(通称パラ)は、いつもマイペースで予測不能な言動をするキャラクター。素の自分と、なりたい自分の間で悩みながら、その二者の間にも何層ものグラデーションがある……という難しい役どころだった。

 「私に限らず誰しもが、他人と関わるときに自分の立ち位置や居場所を気にするのではないかなと思っていて。私自身も、もともとすごく内弁慶なところがあって、ことあるごとに自分の立ち位置を考えながら生きてきたので、それにがんじがらめになる苦しさも理解できて。そこからパラという人物を作っていきました」

 普段のパラのあけすけな言動は「自分の自信のなさ」からくるもので、「作り上げた自分、なりたい自分を鎧にしている」と分析した上で、「そこは忘れずにいられたからこそ
、現場ではパラでいることができたんじゃないかと思っています」と手応えをのぞかせる菊池さん。

 「カメラが回っていない裏でも、私はパラでありたいと思い、みんなと関わるときに、一つスイッチを切り替えてやっていたことがすごく新鮮でした。いま振り返ってみるとすごく頭を使っていたとは思うのですが、みんなが笑ってくれたりするのがうれしくて、パラも『いまこんな気持ちなんだろうな』と思いながら過ごしていました」

 ◇芝居をしているときが「いちばん生きているなと思える」

 10代特有の自意識過剰さ、気持ちの揺らぎなどをナチュラルに繊細に表現している菊池さんは「まさか自分が青春ものの作品に出演できるとは思っておらず、この作品、この役に選んでいただけたことはすごくありがたいことだと思っています」と感謝する。

 「自分的には新しい役柄への挑戦ということもあって、お芝居の幅という意味でも学びがたくさんありました。もともとバッドエンドやグロテスクなものが好きだったりもするのですが、これを一つの糧にしつつ、着実に経験を積み重ねていけたらなって思っています」

 俳優の道に進むようになってから約5年。映画「か『』く『』し『』ご『』と『」は「スタッフさんと初めて密にもなれた現場でした」と振り返る。

 「これまでは私自身に余裕がなく、俳優部の仕事以外あまり知らなくて、この現場では、撮影部の方、照明部の方とも撮休のときに出かけたり、皆さんがどんな思いを持って作品に入り、一つ一つのシーンに対して、どれだけ労力をささげているかを間近に見られた分、映画作りというものに対しての思いがガラッと変わったというか。ものづくりは楽しいと思いつつ、まだまだ見えていないところがたくさんあるんだなと痛感して、そういった部分もこれからは学んでいきたいなと思っています」

 “演じる”ことに対しては「常にやりがいは感じていて。なぜかは分からないのですが、お芝居をしているときがいちばん生きているなと思える瞬間だったりもする」とも明かす。

 「役で生きられている時間が増えていくのはうれしいですし、個人的にライフラインのような感じになっています。本当に生業とも思っているので、この基盤があれば、私が志す限り、俳優を楽しみ続けられるんだろうという確信があります」

 今後に向けては「自分が演じたいと思える役を演じる、そういう作品と出会い続けることが目標です」と目を輝かせる。

 「自分のお芝居に100パーセント満足できたと言える現場って今後もきっとないと思っているのですが、性格的にもちょっと負けず嫌いで、どうしても上を目指したくなるので、いまの自分に満足せず、模索し続けていけたらと思っています」

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