緊急取調室 (2025)
第7話 赤い殺意
12月4日(木)放送分
大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合、日曜午後8時ほか)で田沼意知を演じた宮沢氷魚さん。第27回(7月13日放送)のラストで、佐野政言(矢本悠馬さん)に斬りかかられた意知は、第28回(7月27日に放送)では、志半ばでこの世を去った。凶刃に倒れる直前まで、思い合う吉原の女郎・誰袖(福原遥さん)との幸せな未来が見えていただけに、落差のある脚本に対して「ピークまで持って行って、ガンッと落とす。自分も読んでいて、あ、ここで死ぬのか」と思ったという宮沢さんが、意知の最期を振り返った。
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第28回では、意知と意次(渡辺謙さん)との最後の会話が描かれた。意知は政言に深い傷を負わされ、自分で体を起こすことができないほど弱った状態だった。そんな意知が真っ先に心配したのが誰袖。土山(栁俊太郎さん)の元に身請けした女郎がいて、世話になった者なので、面倒を見てほしいと意次に伝えた。そして、蝦夷のことも意次に託す……。
「意知ってつねに誰かのために動ける人で、それは父上のためであったり、苦しむ民のためであったりと、自分を優先するような人物ではなかったというのが、本当に最後まで見えたという印象が強くて。やり遂げたかったことはまだたくさんあったと思うし、その辺の悔いは残っているけど、あとは父上に任せたという流れになっていて、(シーンとしては)すごく短い時間ですけど、意知の人生そのものを見事に描いているなと思いました」
自分を斬った政言を責めることもなかった意知。
「本当だったら、『くそ、こんなはずじゃなかった』と思ってもいいのに、意知なりの佐野に対する同情というか、自分を斬ったことに対して、理解するまではいかないまでも分かろうとする思いみたいなものは最後まで見えたので、意知って本当に優しくて、より豊かな幕府、国を作るために身を削った人物だったというのを最後の最後に改めて感じました」
思ったよりも穏やかに最期を迎えられたと同時に「意次にあとを託した思いはすごく熱いものがあった」と話す宮沢さんは、意知のそばで「なぜ俺じゃないんだ」と嘆き悲しむ意次の言葉を聞いたときは「もう死んでいましたけど(笑)、聞いていて苦しかったです」と告白。
「意知がああいう結末を迎えてしまう一つのきっかけになったのが、意次が佐野の系図を捨ててしまったことで、その後、何度も意知は意次に、佐野のことを引き立ててもらえませんかとは言っていて。もう少していねいに意次が佐野を扱っていたら、もしかしたら違った結末になっていたのかもしれないと、自分の過去の過ちが一瞬であふれ出たんじゃないかなと思っています」
宮沢さんは、そんな意次役の渡辺さんから「学ぶことはたくさんありました」と明かす。
「本当に優しい方なので、ちゃんと教えてくれるんですよ。収録はドライ(カメラなしのリハーサル)があって、テストがあって、本番という流れになるのですが、ドライである程度お芝居をかためたあと、カメラのセッティングで少し時間があるのですが、その間とかに、『もうちょっとこのせりふはこう言ったほうがいい』とか、『ここを強調したほうがいい』とか、良かったところは『このままで行こう』とか、見ていて感じたことを共有して、どんどんとシーンをよりよくしていくためのやりとりを、謙さんは惜しみなくやってくださいました」
改めて、「立ち居振る舞いを見ているだけでも学びがすごくたくさんあった」という宮沢さん。
「以前に舞台でもご一緒させていただいたのですが、そのときから、適度な緊張感を与えてくださるのですが、近寄りがたい存在でもない。自然と謙さんとお話したくなるし、いろいろなことを聞きたくなる。僕もこの収録中、何度か行き詰まって、どうしうたらいいのか分からなくなると、一番に相談したのは謙さんですし、謙さんの方で、僕が悩んでいるところを真っ先に気づいてくださるので、一緒にいるとすごく安心する、助けてくれる存在です」
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