良いこと悪いこと
第8話 7人目、だーれだ?
12月6日(土)放送分
今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第120回(9月12日放送)で、視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた程度を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、最高値は注目度が高まった後半、午前8時12分の76.8%だった。
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「あんぱん」は、「アンパンマン」を生み出したマンガ家で絵本作家のやなせさん(1919年~2013年)と、暢さん(1918年~1993年)夫婦がモデル。何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」だ。
東海林(津田健次郎さん)の訪問からほどなくして、高知新報時代の同僚・琴子から手紙が届く。そこには東海林が亡くなったことと、上京した本当の理由が書かれていた。第120回は、そんな衝撃的な場面から始まる。
東海林は医師の制止を振り切って、入院していた病院を抜けだし、どうしても確かめたいことがあると、のぶ(今田さん)と嵩(北村匠海さん)に会いに来たのだ。高知の病院に戻った東海林は「あの二人はついに見つけたぞ。逆転しない正義を」とうれしそうに話し、それからしばらくして、天国へと旅立ったという。その夜、嵩は仕事場にこもり、何かに突き動かされるように鉛筆を走らせる。
前日の第119回の東海林が頭に残っているだけに、なんとなく想像はしてたものの、ショックな出だしだった。ただテレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を示す「注目度」は、それほど高くない。のぶと嵩が琴子の手紙を読み、嵩が仕事に没頭し始める午前8時1分~3分は、この日の注目度の最低レベルの62~63%台が続く。中盤から後半にかけて、注目度が跳ね上がるため、序盤の数字の低さが際立ってしまう。
ただ正確に言うと、序盤が極端に低いわけではなく、中盤以降の注目度があまり見られないくらい高い状態が続いたのだ。中盤から70%台に突入すると、後半はずっと70%台後半を記録した。前日の119回が最高値69.8%と70%にも達しなかったことを考えると、非常にいい注目度だということが伝わるだろうか。
ついに、顔があんぱんという、今の「アンパンマン」が生まれる。中盤以降に描かれたのは、そんな内容だった。視聴者にとっては待ちに待った時だったのかもしれない。
まず、午前8時5分に71.37%で、この日初めて70%台に突入する。朝、のぶが仕事場に入ると、徹夜で作品を描いていた嵩が「できたー」とつぶやく。のぶが机の上の作品をのぞきこむと、そこに「アンパンマン」が描かれていた。セリフがほぼない静かなシーンだ。そういえば、第1回の冒頭で登場したのは、この場面だった。
主題歌が流れるオープニング明けの午前8時7分~9分は70%前後で、ほぼ横ばいのグラフが描かれる。作品を見るのぶと嵩の会話を通して、困っている人に、あんぱんでできている自分の顔を食べさせるというアンパンマンの特徴が説明される。おんちゃんが、新しい顔となるあんぱんを焼くので、アンパンマンの命に支障はない。やや長いシーンだが、視聴者の視線をしっかり引き付け続けていたことは数字で裏付けられた。
注目度はこの後、もう一段ギアが入り、午前8時10分に74.8%を記録すると、午前8時11分~14分は75%以上を継続。午前8時12分には、この日の最高値76.8%に達した。
午前8時10分以降に描かれるのは、のぶが自身のお茶の教室で新しい「アンパンマン」を朗読する場面、蘭子(河合優実さん)やメイコ(原菜乃華さん)に「アンパンマン」の感想を聞く場面、八木(妻夫木聡さん)の会社に子どもたちが集まり、自由に過ごす場面だ。
ちなみに最高値76.8%の午前8時12分は、お茶の教室で朗読した後、生徒の女の子から「いくらおなかがすいても、顔を食べるのはちょっとね」と言われ、少しおちこむのぶの表情から始まる。そんなのぶを、生徒の一人、中尾星子(古川琴音さん)が何か言いたげな表情で見つめているのが印象に残る。
続く場面は柳井家の台所。のぶ、蘭子、メイコ、羽多子(江口のりこさん)があんぱんを作っているようだ。感想を聞くと、「うちは大好き、こじゃんとよかった」と即答した蘭子の答えに安心するのぶ。続いてメイコが「(娘らが)顔食べられて痛くないのかなと言いよった」というと、羽多子が「食べるたびに『痛い、痛い』と言われたら、遠慮してしまうで」と返し、のぶ以外は笑うが、のぶはうつむいてしまう。今度のアンパンマンはどうなるのか? 少し不安が募る場面が続く、この時間が注目度のピークだった。
午前8時13分以降は八木の会社の場面。ある一室に集まった子供たちが、思い思いの楽しみ方で自由に過ごしている。そこに八木が「アンパンマン」の絵本を置く。しばらくして、小さな女の子がおもむろに手に取り読み始めると、笑い始める。作品に夢中になっている女の子の表情で第120回は終わる。
午前8時10分以降に、特に突飛な展開があったわけではない。面白いセリフがあったわけでもない。誕生した新生「アンパンマン」の絵本が、少しずつ、じわじわと広がり始める予感を伝えて、第120回は終わる。それだけなのだが、終盤の5分間はほぼずっと75%以上という珍しい状況が続いたことになる。
活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)
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