あんぱん:第128回はアンパンマンのアニメ化への紆余曲折 とん挫しそうになるたび視聴者の「注目度」は上昇?

連続テレビ小説「あんぱん」のロゴ (C)NHK
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連続テレビ小説「あんぱん」のロゴ (C)NHK

 今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第128回(9月24日放送)で、テレビの前の視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた程度を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、最高値は午前8時12分の74.1%だった。

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 「あんぱん」は、「アンパンマン」を生み出したマンガ家で絵本作家のやなせたかしさん(1919年~2013年)と、暢さん(1918年~1993年)夫婦がモデル。何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」だ。

 ◇最高値は「テレビマン人生をかけて!」の午前8時12分の74.1% 

 第128回は、アンパンマンをテレビアニメ化したいとテレビプロデューサーの武山(前原滉さん)が嵩(北村匠海さん)を訪ねてくる話。残り3回にして、ようやく誰もが知る、あのアニメの話題に物語がたどり着いた。

 テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を調べた「注目度」のグラフは、大きな“山”を3回、描いた。その3回の山がそれぞれ、アンパンマンのアニメ化が進む過程の紆余曲折のストーリーとほぼぴたりと重なった。

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 最初の山は午前8時1分の72.5%で、続く午前8時2分も70.4%と70%台を記録した。この時間帯は、いきなり柳井家を訪問した武山が仕事場に通され、嵩と対面した場面だ。午前8時1分は、武山がいかにアンパンマンが好きか、アピールする時間帯。のぶ(今田さん)に「どのキャラクターがお好きなんですか?」と聞かれ、「日によって変わるんですが、きょうは『かびるんるん』が好きです」と満面の笑顔で答えるのがかわいい。「あの絵本は……」とのぶが言うや否や、「1983年4月ですね」と答える武山。他のキャラクターについても、初出掲載の日を言い当て、「アンパンマンの生き字引みたいな方ですね」とのぶに言わしめる。視聴者もまったく同感だっただろう。

 アニメ化がトントンと進み始めるのかと思いきや、午前8時2分台は一転する。武山の話を聞く嵩の表情がどうにもさえないのだ。嵩は、アンパンマンを傷つけられたくないと言って断ってしまう。以前来たプロデューサーは、アンパンマンが悪者をコテンパンにやっつける話に設定を変えられそうになったというのがその理由だった。そんな明と暗、対照的な2分間が最初のピークだった。

 次は少し小ぶりな山で、午前8時5分の68.7%と中盤のピークを迎えた。諦めきれない武山が数日後、再び柳井家を訪問。不在だった嵩にのぶが武山の熱意を伝える場面だ。武山がアンパンマンを尊敬しているという話題に入るあたりまでが5分台だ。

 「アンパンマンは本当に弱くて、かっこ悪いです。でも、そのかっこ悪さがかっこいいんです。私は弱くて、かっこ悪いアンパンマンを尊敬せずにはいられないんです」。そう語った武山のことを、のぶは「それを聞いて、この人ならアンパンマンを預けていいと思ったの」と言う。嵩はすぐ武山に電話をかけ「あなたのこともテレビ局のことも、まだ信用していません。でも、うちのかみさんのことは信用しているんです。だからやりましょう」とアニメ化の話を受け入れた。実はこの部分は続く午前8時6分台~7分台。注目度はやや下がったが、アニメ化にGOを出す場面の一連の流れで注目度が上がったのは間違いなさそうだ。

 最も大きな山となったのは午前8時12分の最高値74.1%をピークとする、すそ野が広い山だ。午前8時9分から60%台後半に突入すると、最後まで下回ることはなかった。ピークの12分は、アニメ「アンパンマン」の主題歌「アンパンマンのマーチ」を巡り、嵩と武山が話し合う場面だ。

 嵩は難産の末、主題歌の歌詞をようやく書き上げる。のぶも大満足だった。そして、ここからが12分台。武山も「素晴らしい歌詞でした」と喜ぶが、歌詞の内容が子供向けではないと指摘が入ったことも明かした。のぶが「この中で(その歌詞が)一番大切だと思います」と強く反論すると、武山も「(ここが)アンパンマンの神髄です。私が反対意見をねじ伏せます。テレビマン人生をかけて!」と応じる。アニメ化を相談した時の嵩の反応を考えると、この先の展開がどうなるのか? 緊張感が最も高まったあたりが、この日のピークだった。

 この後は午前8時13分台。嵩は「そんなもの、かけちゃいけない」と言うと、あっさり書き直しに応じる。「子供向けの番組だからこそ、僕は妥協したくない。でもそれ以上に、この仕事に関わってくれる人みんなを喜ばせたいんだ」。71.0%とやや注目度は下がったが、視聴者の視線は引き続きクギヅケになっていたようだ。

 アニメ化に向けた打ち合わせの風景やアフレコ風景が描かれた午前8時14分台も70.4%と最後まで高い注目度を保って終わった第128回だった。ちなみに、アフレコシーンではアンパンマンの声を務める戸部由子役の声を戸田恵子さんが担当していた。戸田さんはアニメ「それいけ!アンパンマン」(日本テレビ系)でアンパンマンの声を務めている。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)

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