機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ:小野賢章×上田麗奈インタビュー 5年ぶり新作「キルケーの魔女」 ギギは魔女か? 二人が感じた"富野節"ならではの独特な世界観

アニメ「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」に出演する上田麗奈さん(左)と小野賢章さん
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アニメ「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」に出演する上田麗奈さん(左)と小野賢章さん

 ガンダムシリーズの劇場版アニメ「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」(村瀬修功監督)の第2章「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」が1月30日に公開された。2021年6月公開の第1章以来、約5年ぶりの新作となった。主人公、ハサウェイ・ノア役の小野賢章さん、謎の美少女、ギギ・アンダルシア役の上田麗奈さんに、約5年ぶりの新作への思いや収録の裏側について聞いた。

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 ◇壊れているハサウェイ

 --約5年ぶりの新作です。ファンにとっても待望の第2章となりました。

 小野さん この5年、「第2章はいつなんですか?」と聞かれることが多く、僕自身も楽しみにしていました。だから、すごくうれしかったですね。

 上田さん 私も同じ気持ちです。5年ぶりにお届けできるっていううれしさがあり、ようやくお届けできることで、ホッとするような気持ちもありました。ただ、ギギをまた演じていくことに関しては、5年間のブランクをどう埋めていけるのかという不安が大きかったです。第1章でギギを演じた時よりも、苦悩が大きかったと思います。

 --収録は一緒だった? 収録で村瀬監督からどんな説明があった?

 小野さん 収録は一人ずつでした。監督からは改めて「閃光のハサウェイ」の世界観、ハサウェイの状況を説明していただきました。「閃光のハサウェイ キルケーの魔女」は、ハサウェイが“マフティー”に合流してからの話なので、学生運動のように、学生のノリで“マフティー”としての活動をしているところを浮き彫りにしたいというお話がありました。

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 上田さん コロコロ変わるギギの心模様は、第1章と変わらずあるのですが、彼女自身の変化が今作のドラマの盛り上がりにつながっていくように描いていきたいというお話を伺いました。あまり説明しすぎると、悩ませてしまうと(村瀬監督に)考えていただいたのか、最初にお話をしていただいてからは、多くは語らず、ディレクションも第1章の時よりも細かく、何パターンも収録してきました。

 --ハサウェイが苦悩するシーンも印象的です。第1章よりもさらに重くなったようにも感じました。

 小野さん 第1章のハサウェイは、外交的なシーンが多く、心情と口に出している言葉がバラバラなセリフが多かったので、第1章の方が難しさはありました。「キルケーの魔女」は、重くはあるのですが、言葉と表情がつながっているので、分かりやすく、第1章よりも演じやすかったですね。

 --より深く潜っていくようなイメージ?

 小野さん そうですね。第1章は心と体、言葉が全部バラバラですが、「キルケーの魔女」は、心情と言葉がつながっているシーンが多いので、自分の中で気持ちの整理をやりつけやすかった印象です。ただ、ハサウェイが壊れてしまっているところがより色濃く表現されているんですよね。クェスが出てきたり。

 上田さん 怖かったですね……。

 小野さん 第1章の時も実はクェスがいたんだろうなと考えるとより怖くなります。

 ◇「魔女」に引っ張られることなく

 --「キルケーの魔女」ということで、ギギを演じる際に“魔女感”を意識した?

 上田さん 「魔女」という言葉に引っ張られることはなかったです。ケネスは「勝利の女神」と言っていますが、ギギはそうなりたくてなっているわけではないと思うんです。ハサウェイやケネス、周りの人が振り回されるから、端から見たら魔女に見えるのかもしれません。ギギは至って真面目に等身大の女の子らしく、自分の人生を悩んでいます。魔女というか、少女だなと思いました。ケネスの元にいて、ハサウェイの方に行こうかな? ハサウェイが浮かんじゃうな……と状況だけを見ると小悪魔っぽくあり、魔性の少女のようですが、本人はそんなつもりはないんだろうと思っています。

 --小野さんから見た上田さんが演じるギギの印象は?

 小野さん とても素敵で、言うことないですよ! 多分本人はすごく悩んで、考えて、不安だったと思いますが、それが不安定でミステリアス、つかみどころがないところにつながっているのでしょうし、本当に素晴らしいと思います。誰の視点でギギが魔女に見えるかがテーマにもなっていると思うのですが、ハサウェイはギギのことを魔女だと思っていない。ケネスは女神として見ています。

 上田さん レーンやケリアはどうなんでしょうかね?

 小野さん レーンやケリアは魔女だと思っていそうですね。

 ◇恐怖を感じるシーンも

 --「キルケーの魔女」ではハサウェイがアムロ・レイやシャア・アズナブルの影響を受けたことが色濃く表現されています。長く続くガンダムシリーズの重みを感じることは?

 小野さん 地続きの物語ですし、重みは感じますが、それを感じ始めると何もできなくなってしまう気もするので、意識しすぎずに演じました。もちろん「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」を見ていますし、テンションが上がるシーンもあって、これはこことつながっている……と考えるところはありました。

 --アムロも登場します。

 小野さん アムロのセリフ(部分)は、古谷徹さんの声を聞きながら収録しました。ハサウェイが脳内でアムロとの会話を繰り広げるシーンなのですが、一つ一つのセリフがつながらない、会話になっていないようなところもあって、一つ一つのセリフのテンションがバラバラであることを意識しました。あそこは恐怖も感じます。ハサウェイはずっと独り言で、レーンはそれを聞いているという。

 上田さん 視聴者目線で見ると、ハサウェイとアムロのどちらがしゃべっているか分からなくなるように見えてくるんですよね。最終的にハサウェイが全部一人でしゃべっているように聞こえてきて、すごく怖かったです。ハサウェイの精神状態、現実に起こっている状況がとっても怖くて震えました。

 ◇「肉欲」をどう表現するのか?

 --本作は富野由悠季さんの小説の映画化です。“富野節”とも呼ばれる独特のセリフ回しも魅力です。役者として“富野節”は難しさもある?

 上田さん 理解するまでが難しいんです。理解できてしまったら、自分の中で掛け合いが分かってくるからやりやすくなってくるのですが。楽しさはあるものの、そこに至るまでがすごく道のりが長くて。

 小野さん 「キルケーの魔女」で印象に残っている単語は「肉欲」です。「肉欲」なんてこれまで生きてきた中で一度も聞いたことないし、言ったこともない。口にする時に、どういうふうに言ったらいいのか、とかなり考えましたね。 この作品が何十年も前から存在すると思うとやっぱりすごいことだと思います。独特のセリフは、慣れるまでは、自分で言っていて、合っているのかな? 自然なのか?と少し違和感があります。ただ、舞台をやっている時のように、バシッと決まればすごく気持ちいいんです。吹き替えにも近い感じがします。

 --全3章になることが発表されています。第3章については発表されていませんが……。

 小野さん 僕たちも何も知らないんです。上田さんとも話していたのですが、「キルケーの魔女」はボーイミーツガールの青春映画のようなところもあります。最後は、少し明るく見せているところが、逆に怖い。「閃光」というタイトルの通り、一瞬のきらめき、生き様を第3章でも見ることができればと思います。

 上田さん この再会が、二人にとっていいものになればいいのですが……。「キルケーの魔女」でギギは自分や人と向き合う基盤ができたようにも感じたので、この状態でハサウェイとどう向き合っていくのか……。第3章も台本と向き合いながら、収録で会話を楽しめたらいいなと思っています。

阿仁間満/MANTANWEB

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