テッド:主演のマーク・ウォルバーグさんに聞く 映画は「監督の優しい心から生まれた」

主演作「テッド」について語ったマーク・ウォールバーグさん (c)Universal Pictures
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主演作「テッド」について語ったマーク・ウォールバーグさん (c)Universal Pictures

 テディベアに魂が宿る奇跡から27年が過ぎ、見た目はそのままに中年の下品な言葉を連発する存在に……。奇想天外な設定が受けてヒットしている米コメディー映画「テッド」(セス・マクファーレン監督)が全国で公開中だ。この作品で、子供のころにいじめられっ子でクリスマスプレゼントにもらったテディベアのテッドと本当の友だちになれるようにと神様に祈りをささげ、翌日テッドに魂が宿り、大親友になったが、ともに成長?を遂げ、いまやさえない中年男となった主人公のジョンを演じるマーク・ウォルバーグさんに話を聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 −−あなたがこれまでにもらった最高のクリスマスプレゼントはなんですか?

 あるクリスマスの日、まだ幼かったころ、新品の自転車をプレゼントしてもらった。両親と兄に、もう自転車に乗れると信じ込ませたんだ。その日はほんとに寒いボストンのクリスマスの朝だった。2人は俺を新しい自転車を連れて外に出た。のぼせ上がってたね。自転車に乗ると、2人が背中を押し始めた。そうして、自転車にまたがって丘を下りはじめたけど、今までに一度も自転車に乗ったことがなかったから、ブレーキのかけ方を知らなかったんだ。結局、カーブを曲がりきれずに、誰かの家の煙突に突っ込んだんだ。その後、優しい兄が自転車に補助輪をつけてくれ、次の数カ月で乗り方を覚えたよ。

 −−セス・マクファーレン監督のユーモア感覚はご自分と似ていますか。

 同じようなユーモア感覚の持ち主だね。彼のほうがちょっとばかり洗練されていて、俺の方がもっと荒っぽいけど。

 −−監督のことはどう思いますか。

 セスはこれまで出会った中で最高に頭がよくて、おそらく一番面白い人間だよ。それにとても感じのいい人物だ。コメディー界にやってきて、たくさんの人たちに出会ったけど、そのうちの何人かはある種の暗い面を持っているみたいだった。たとえテレビや映画の画面ではすごく面白かったとしてもね。セスはとても優しい、人好きのするやつだし、彼のユーモアも、ある種の人にはしばしば辛らつかもしれないけれど、優しい心から生まれてくるんだ。他人を傷つけるつもりはない。ただこの世に規則や境界線なんかないと思ってるだけなんだ。

 −−子供たちのお陰で、家じゅうテディベアだらけだそうですね。いまじゃ、それらを見る目が変わったんじゃないですか?

 妻のために、家具店でとても大きなテディベアを買って、それはずっと2人のベッドルームにあった。それに子供のためにもっと小さなのも買った。ベッドルームのクマはかなり長い間置いてあるから、映画の撮影が始まったとき、ボストンへ持って行って、ホテルの部屋に座らせておいたんだ。並んで座って台本を読んだり、たまにそっちの方をチラッと見たりしながらね。

 −−子供のときの願いは何でしたか?

 プロのスポーツ選手になりたかった。よく校庭でバスケットボールをしていたものさ。

 −−あまりお金のない環境で育ったそうですが。いま子供を育てるにあたって昔とはまったく違った問題があるのではないですか?

 それでも子供たちは、自分のほしいものを手に入れるにはすごく努力しなけりゃならないよ。妻はクリスマス、誕生日、休暇を特別なものにするのが好きだけど、そうするためには、子供たちはとても頑張らなきゃならないんだ。子供たちに与えてやれる一番大切なものは“よき価値観”だ。

 −−今ではマイホームパパですが、悪友たちとつるむ時間が懐かしくはありませんか?

 セットで仕事をするとき、俺のために働いてくれる友だちがいて、セットにいる間ずっとむだ話をしたり、いろんなお祭り騒ぎをしたりするんだ。でも、いや、懐かしくはないよ。面倒なことになることが多いからね。

 −−映画のノラ・ジョーンズのコンサートですが、どうすればあんなにひどく歌えるんですか?

 ひどく歌うのはかなり簡単なことなんだ。本当だ。観客にブーイングをもらうには、たいした努力は必要ない。何千人からでももらえるよ。

 −−あなたの役ジョンは、これだという女性に出会って、成長を余儀なくされます。ご自分の場合も同じでしたか?

 妻と出会ったとき、5人の友だちと一緒にアパートに住んでいたんだ。それから、俺たちはデートをし始め、新居を買ったとき、友だちはみなでその家の中を歩き回り、自分用の部屋を選んだ。それで、言ったんだ、「お前ら、この家には引っ越してくるな!」。それから4カ月間、以前のアパートを借りっぱなしにして、やつらを住まわせてやり、身の振り方を決めさせたんだ。新しい家に一部屋を設け、そこに兵舎のように6台の2段ベッドを入れて、「もし俺たちが飲み歩いて、1泊するなら、泊まるのはこの兵舎の中だ」といい渡した。あいつらにあまり居心地よくなってほしくなかったからね。

 −−「テッド」では、ジョンの好きな映画は「フラッシュ・ゴードン」でした。昔、ご自分が好きだった映画は?

 子供のころは、「ロッキー」がかなり好きだった。シルベスター・スタローンとは何回も会ってるよ。映画館で初めて見た映画には、とても大きな影響を受けた。それはチャールズ・ブロンソン主演の「ストリートファイター」という映画だった。当時はまだ、学校にさえ上がっていなかった。おやじはトラックを運転していて、午後早くに帰ってきては、よく映画館に連れて行ってくれたんだ。

 −−あなたが一連の女の子の名前をすらすらと挙げる素晴らしいシーンがありました。あの中で実際にデートした名前がありますか?

 2、3ね。あのせりふには57個の名前が出てくるんだ! 妻からどうして私の名前がないの?と聞かれたよ。

 −−あなたのやる気はどこから出てくるんですか? また、これから手に入れたいものはありますか?

 いまだに獲得したい、達成したいものはたくさんあるよ。まだ新人のときと同じぐらいハングリーだし、やる気もある。もしかしたら、いまでは昔より修練を積んだ分、もっとそうかもしれない。パーティーや酒やたばこの日々はすべて卒業したから、さらにやる気が出てきたのかもしれないな。どこからそんなにやる気が出てくるのかなんて、よく分からない。俺の出身によるのかもしれないし、そこへ戻ってしまう不安によるのかもしれない。

 −−次の予定は?

 ちょうどマイケル・ベイ監督の映画「PAIN AND GAIN」を撮り終えたばかり。これから、デンゼル・ワシントンと一緒にニューオリンズで「2 Guns」の撮影が始まるよ。

 <プロフィル>

 9人兄弟の末っ子として貧しい家庭で育つ。ラッパーの“マーキー・マーク”としてヒットを飛ばし、その後、映画俳優に転身し、94年に「勇気あるもの」でデビュー。95年、「バスケットボール・ダイアリーズ」で共演したレオナルド・ディカプリオさんの推薦で97年に「ブギーナイツ」に主演。その後の出演作にジョージ・クルーニーさんと共演した「スリー・キングス」(99年)、「パーフェクト・ストーム」(00年)、シャリーズ・セロンさんと共演した「ミニミニ大作戦」(03年)、ティム・バートン監督の「PLANET OF THE APES/猿の惑星」(01年)など。今後の公開待機作に、ラッセル・クロウさんと共演した「Broken City」やデンゼル・ワシントンさんの相手役を演じた「2 Guns」などがある。 

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