EXILE：進化するチームの系譜　弟分や妹分とともに音楽シーンを席巻

　リーダーのHIROさんがパフォーマーとして引退する日が近付き、ますます注目を集める人気グループ「EXILE」。41枚目のシングル「EXILE PRIDE ～こんな世界を愛するため～」の売り上げが、同グループのシングルとしては初めて100万枚を突破するなど今年も音楽シーンの話題の中心になった。さらに今年は、妹分「E−girls」が紅白初出場を決めたり、弟分「GENERATIONS from EXILE TRIBE」の白濱亜嵐さんがドラマ主演を果たすなど“チーム”としての活躍も目立った。「EXILE」を筆頭とした“チーム”はお茶の間に浸透しつつあるが、グループが増殖していることから、区別が付かない……という声もある。「EXILE」の歴史をひもときながら、“チームの進化”を解説する。

ウナギノボリ

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　◇スクールビジネスやアパレルなど多角経営

　「EXILE」や「E−girls」などのチームは、HIROさんが社長を務める芸能事務所「LDH」に所属している。「LDH」とは「Love, Dream, Happiness」の略で、長谷川潤さんらモデル、格闘家なども所属し、ダンス＆ボーカルスクール「EXPG」や飲食店、アパレルを手がけるなど多角的に事業を展開している。

　HIROさんは、1990年代に活躍したダンス＆ボーカルユニット「ZOO」のメンバーとして活動していたことで知られているが、「ZOO」在籍中の91年に米歌手のボビー・ブラウンさんが命名し、結成したダンスチーム「Japanese Soul Brothers」が「EXILE」の礎となる。99年にはMAKIDAIさんらが加入し「J Soul Brothers（JSB）」に改名。2001年には、ATSUSHIさんらが加入して「EXILE」となり、「JSB」はいったん活動を休止した。

　「EXILE」は「Choo Choo TRAIN」「Rising Sun」など数々のヒット曲を送り出し、03年以降は紅白の常連になるなどの活躍で、お茶の間に浸透した。13年にミリオンを達成したシングルは「EXILE PRIDE」とアイドルグループ「AKB48」の作品のみということからも分かるように、音楽不況が叫ばれる中、“国民的グループ”としての地位を確立している。

　◇増殖するチームの歴史

　「EXILE」が“チーム化”しはじめたのは07年からだ。続々と結成されたグループは「EXPG」の生徒やインストラクター、オーディションで選ばれたメンバーによって構成されている。07年は「JSB」が新たなメンバーによって“二代目”として復活したほか、若手俳優による「劇団EXILE」が誕生。09年には「二代目JSB」のメンバーが“吸収合併”される形で「EXILE」に加わり、翌年に新メンバーが「三代目」を“襲名”した。

　11年には「劇団EXILE」の白濱さんやオーディションで選ばれたメンバーにより新たな弟分「GENERATIONS」（現GENERATIONS from EXILE TRIBE）、また「Dream」「Happiness」「Flower」といった三つのグループなどが集まり妹分「E−girls」が生まれた。「Happiness」「Flower」のメンバーはいずれも「EXPG」の出身者だ。さらに「二代目JSB」のメンバーを中心とした派生ユニット「THE SECOND from EXILE」やUSAさんが企画するダンスプロジェクト「DANCE EARTH」なども誕生。各グループのメンバーが集まった「EXILE TRIBE」として発表したシングル「24karats TRIBE OF GOLD」「BURNING UP」もヒットするなどチームとしての存在感を示している。

　◇ダンス必修化でさらなる人気アップも？

　「EXPG」に新たなメンバー候補が控えているというのはジャニーズ事務所の戦略に通ずるところがあり、今後はグループはさらに増殖し、音楽シーンの“一大帝国”としての地位を確固たるものにしていくのかもしれない。また、08年に改定された学習指導要領によって、小中高の体育の授業にダンスが取り入れられ、子どもにダンスが浸透しつつあることもあり、ダンスを売りの一つにしている「EXILE」などがさらに存在感を増していくことも考えられる。

　年末は「第55回 輝く！日本レコード大賞」で「EXILE」が3年ぶり4度目の大賞受賞が実現するかが注目されるほか、紅白では「EXILE」「三代目JSB」「E−girls」がそろって出演する“LDH祭り”になることからチームとしての活躍が期待される。また、年内でHIROさんは引退することから、今年はチームの歴史の一つの区切りになるのかもしれない。来年以降の活動からもますます目が離せなくなりそうだ。