薬屋のひとりごと
第1話 猫猫
3月2日(月)放送分
2016年の1月アニメが放送をスタートした。今期も個性的な作品がそろう中、週に約100本(再放送含む)のアニメを視聴する“オタレント”の小新井涼さんが独自の視点で1月アニメを分析する。
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新年を迎え、新たな気持ちでスタートした2016年冬アニメ。一通り視聴してみると、いくつかの作品に気になる共通点がみられました。
一言で表すとしたら“現実感のあるファンタジー”。しかもそこで描かれる現実は、「GATE 自衛隊 彼の地にて、斯(か)く戦えり」のような“現実的要素を持つファンタジー”や、「僕だけがいない街」のような“ファンタジー要素を持つ現実的な作品”などとも少し違うものだったのです。
主人公だからといって特別な能力が与えられるわけでもなく、冒険を始めるのに役立ったのも引きこもりで培ったゲームの攻略能力。「この素晴らしい世界に祝福を!」で描かるのは、ファンタジーの世界だからといってそう都合よく奇跡ばかりは起きないというシビアな現実感です。土木工事の日払いでささやかな食事を楽しみ、眠るのは馬小屋というルーティンワークの描写には、ほほ笑ましくも切ないシンパシーまで感じてしまいます。
何事もない毎日を当たり前のように過ごす私たちが突然異世界に行くことになったら……。そんな現実感を持つのが「灰と幻想のグリムガル」です。異世界で魔物に立ち向かう義勇兵ときたら待っているのは大冒険! という予想に反して描かれるのは、ハルヒロたちがただ毎日を生きる姿。理不尽な境遇に戸惑い、何をするにも手探りなその日常は、ファンタジーでありながらもどこかドキュメンタリー性が感じられます。
原作ゲームと同じく宇宙を舞台にしたSFファンタジーかと思いきや、アニメで描かれるのはなんと“そのゲームで遊ぶプレーヤーたち”の物語。そんな予想外の現実感を持つのは「ファンタシースターオンライン2 ジ アニメーション」です。当然視聴者の目線もゲームキャラではなく“作中でゲームをプレーする学生たち”となるので、同じフィクションなのに作中の現実がゲーム世界よりリアルに感じられるという変わった入れ子式構造になっています。
フィクションをより身近に感じられるという点では「無彩限のファントム・ワールド」での冒頭のシーンもそうです。“ファントム”と呼ばれる超自然的な存在の説明に、現実で体感できる錯視の例や脳の認識の話が用いられることで、霊や妖怪などのファンタジーな存在を「もしかしたら知覚し得るのかも」と一気に現実感あるもののように感じさせてくれる効果がありました。
これらの作品に共通しているのは、冒頭に挙げた、作品で描かれている“登場人物たちにとっての現実感”ではなく、作品をみている私たち自身がリアルだと感じる“視聴者にとっての現実感”です。
そもそもがフィクションであるアニメの、しかもファンタジー作品でそんなリアルが描かれていることは不思議でしたが、VRやARの登場でSFやファンタジーの世界が現実で体感できるぐらい身近な存在になった分、“本来のファンタジー”に視聴者が没入するためには、どこか自分と共通する生々しいくらいの現実感があったほうが感情移入しやすくなったということがあるのかもしれません。
さらに技術が発展してゆくなかで今後こういった作品はますます増えていくのか……。そんなことも考えながら、今年もアニメ視聴を楽しみたいと思います。
最後はおなじみ。上記以外にも魅力的な作品がいっぱいな今期のアニメの中から独断と偏見で選ぶベスト3の紹介です。
1位「アクティヴレイド-機動強襲室第八係-」
ひと癖もふた癖もある個性的なダイハチメンバーにはどこか懐かしさと親しみやすさを感じつつ、一方で登場するメカニックは最新のウェアラブルという近未来感がたまりません。魅力的な人間ドラマと迫力あるアクションに期待大です。
2位「僕だけがいない街」
身近な人間性と異質なリバイバル能力を併せ持つ悟という主人公と、第1話での衝撃のラストで一気に引き込まれました。個人的にはアジカン(アジアン・カンフー・ジェネレーション)さんの主題歌リバイバルもうれしい、見終わった途端に次週が待ち遠しくなる魅惑の作品です。
3位「ナースウィッチ小麦ちゃんR」
あの伝説の作品が新しく生まれ変わって帰ってくる! それだけでもうれしいのに、個人的に盲信しているCGディレクター乙部善弘さんによる3DCGのライブシーンもみられるとあっては期待せずにはいられません。随所のタツノコプロさんネタも楽しみのひとつです。
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。アニメ好きのオタクなタレント「オタレント」として活動し、ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」やユーストリーム「あにみー」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)のアニメを見て、全番組の感想をブログに掲載する活動を約2年前から継続。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、社会学の観点からアニメについて考察、研究している。
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