肺炎による多臓器不全のため12日に死去した舞台演出家の蜷川幸雄さん(享年80)の告別式が16日、東京・青山葬儀所で営まれ、蜷川さんに見いだされて俳優デビューした藤原竜也さんが報道陣の取材に応じた。藤原さんは「僕は罵声(ばせい)を浴びせられたことしかないのでね、怒られてばっかでした」と振り返りつつ、「あの人がいなければ、僕という俳優は存在していないので、ただただ感謝しかない」と亡き師への思いを語った。
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蜷川さんは厳しい演技指導で知られたが、藤原さんも「『悔しかったらやってみろ』『できないおまえが悪い』『才能がない』『つまらない』と存在自体を否定されるような言葉をたくさん投げかけられてきた」と明かしながらも、「それは良い思い出かな」としみじみ。「僕らよりも何歩も先に、何十メートルも先に行っている方。あの人の作る世界って絶対的なものがありますから、蜷川さんの世界に入り込ませていただくと、こんな人生があったんだとすごい発見がある。反発しながらも、ついていって良かった」と感謝の思いを明かした。
藤原さんは1997年、蜷川さん演出の舞台「身毒丸」の主役オーディションでグランプリを獲得し、俳優デビュー。2003年には国内で史上最年少の21歳で主役を演じた舞台「ハムレット」で主な演劇賞を総なめに。この日の葬儀では、弔辞にも立ち、「もっと一緒にいたかったし、仕事がしたかった。19年間、苦しくも、まあほぼ憎しみでしかないんですけど、本当に最高の演劇人生をありがとうございました」と涙で何度も言葉を詰まらせながら蜷川さんへの感謝を語っていた。