怪談牡丹燈籠:染五郎、勘太郎、七之助が明治座で競演 初心者にも楽しめる怪談噺 WOWOWで放送

「明治座 五月花形歌舞伎」に出演した(左から)中村七之助さん、市川亀治郎さん、市川染五郎さん、中村勘太郎さん 撮影:加藤孝 (「怪談 牡丹燈籠」に亀治郎さんは出演していません)
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「明治座 五月花形歌舞伎」に出演した(左から)中村七之助さん、市川亀治郎さん、市川染五郎さん、中村勘太郎さん 撮影:加藤孝 (「怪談 牡丹燈籠」に亀治郎さんは出演していません)

 5月に明治座(東京都中央区)で行われた歌舞伎「怪談 牡丹燈籠(ぼたんどうろう)」が20日、WOWOWで放送される。明治座で16年ぶりに開催された歌舞伎公演「明治座 五月花形歌舞伎」で上演されたもので、市川染五郎さん(38)、中村勘太郎さん(29)、中村七之助さん(28)が出演。花形の歌舞伎俳優がそろい、せりふが口語に近く、怪談でありながら笑いどころも多いため、初めて歌舞伎を見る人も存分に楽しめる内容だ。

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 「五月花形歌舞伎」では、昼の部で歌舞伎三大名作の一つ「義経千本桜」から早替わりや宙乗りで知られる「川連法眼館」が上演され、市川亀治郎さん(35)が忠信を演じた。「牡丹燈籠」は、幕末から明治にかけて活躍した落語家・三遊亭円朝が作り上げた怪談噺(かいだんばなし)を、劇作家の大西信行さんが74年に書き下ろした脚本で、夜の部に上演された。

 旗本飯島平左衛門の娘・お露は浪人の萩原新三郎に恋い焦がれて死んでしまう。盆になり、新三郎の元にお露とその乳母・お米(よね)が牡丹燈籠を提げてやってくる。お露が生きていたと喜ぶ新三郎はお露と逢瀬(おうせ)を重ねるが、様子を見に来た新三郎の奉公人・伴蔵は新三郎とからみ合う骸骨(がいこつ)の姿を目撃する。一方、平左衛門の愛人・お国は平左衛門の目を盗んで隣人の宮野辺源次郎と不義を重ねたあげく、2人で平左衛門と女中を殺し、逃亡。そのころ、伴蔵は女房のお峰に、お露とお米の幽霊から新三郎の家のお札をはがしてほしいと頼まれたことを話し……という物語。

 一幕は新三郎とお露の怪談話を中心に物語が進み、伴蔵とお峰、お国と源次郎が金や愛への執着から人の道を踏み外していく様が描かれる。二幕では、あることで金を手に入れ、店を開いて成功させた伴蔵とお峰の夫婦と、住むところもなくしてしまったお国と源次郎の対照的な物語が展開し、金や愛、名誉に振り回された4人の凋落(ちょうらく)と悲哀が鮮明に浮かび上がっていく。

 染五郎さんが、お露と恋仲になる新三郎とその奉公人の伴蔵を演じ、七之助さんがお露と伴蔵の妻・お峰を演じる。美しくはかない新三郎とお露に対し、伴蔵とお峰は小心者でおかしみのある夫婦。特に染五郎さんが演じる小心者の“ダメ男”伴蔵は小気味よく、七之助さんが演じるお露のぞっとするような美しさに目を奪われる。勘太郎さんはストーリーテラーとして登場する円朝役。劇中の高座で「牡丹燈籠」を口演し、物語冒頭に登場する船頭も演じている。ほかに市村萬次郎さん(62)が強烈なキャラクターでお米を演じ、源次郎を中村亀鶴さん(39)、お国を上村吉弥さん(56)が演じている。20日正午からWOWOWで放送。(毎日新聞デジタル)

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