染谷将太:震災ドキュメントで初ナレーション 被災地の若者の思い「伝えたい」

ドキュメンタリー番組「がんばっぺラジオ」でナレーションを務める染谷将太さん=NHK提供
1 / 1
ドキュメンタリー番組「がんばっぺラジオ」でナレーションを務める染谷将太さん=NHK提供

 映画「ヒミズ」(園子温監督)に主演し、第68回ベネチア国際映画祭で日本人初のマルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人俳優賞)を受賞した俳優の染谷将太さんがNHKのドキュメンタリー番組「がんばっぺラジオ」でナレーションを務めることが4日、明らかになった。番組は、東日本大震災で被災した宮城県女川町の臨時災害放送局「おながわさいがいエフエム」で活動する若者の奮闘を追ったもので、染谷さんがドキュメンタリー番組のナレーションを担当するのは今回が初めて。

ウナギノボリ

 女川町は震災で死者・行方不明者が900人を超えた町。「おながわさいがいエフエム」は、生活情報を被災体験を交えながら放送しており、アナウンサーやディレクターを家や仕事、家族を失った地元の若者たちが担当している。番組は、母を目の前で津波に流された女子高生や、引きこもっていた家が流された青年たちの姿を追い、ラジオを制作することで町の人々と関わり、自分の居場所を見つけていく。しかし震災から時間が経ち、少しずつ町が“日常”を取り戻していく中で、自分が抱える根本的な問題と向き合わざるを得なくなった……と展開する。

 ナレーション収録前に染谷さんは「勝手が分かりませんが、感傷的に読みたくはないので本当に事実を伝えるということに徹して読みたい」と語り、「僕も同じ若い世代の日本人としてナレーションをやらせてもらって、彼らの思いを伝えたい」と意気込んだ。

 細田美和子チーフプロデューサーは、女川の若者たちの姿を「いわゆる『いい話』ではなく、震災後の日々を必死に生きようとする不器用な若者たちの現実は、私たちが想像していたよりも厳しく、胸が締め付けられるもの」と説明。染谷さんの起用は「おながわさいがいエフエムのメンバーの一人であるような、同じ目線で語ることができるのではないか」と考え、映画「ヒミズ」を試写した翌日にオファーを出したという。染谷さんのナレーションで「視聴者に、番組の中の登場人物たちの心情をより自分のことのように感じてもらえるのではないか」と期待している。

 放送は総合テレビで10日午後10時~同48分。(毎日新聞デジタル)

テレビ 最新記事

MAiDiGiTV 動画