ジャーナリストの鳥越俊太郎さんが25日、東京都内で行われた米ドラマ「ニュースルーム」の試写会&トークショーに登場した。同作はテレビの報道専用チャンネルのスタッフたちが、全世界から届く重大ニュースをどうとらえ、どう伝えるかを思い悩む様子を描いたドラマということから、テレビ番組のキャスターやコメンテーターとしても活躍する鳥越さんは「民放はスポンサーや視聴率を気にしないとやっていけない現実があって、視聴率を優先してしまうこともある。米国でも日本と同じなんだと思った」としみじみ。視聴率が上がらないという理由から、報道すべき問題を見送りにしてしまう現実もあるといい、「正解はないので、日々現場の人たちが格闘しながらやっていくしかない。一人一人の生きざまを問われてやるしかない」と自身の見解を述べた。
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ドラマは、映画「ソーシャル・ネットワーク」でアカデミー脚色賞を受賞した脚本家のアーロン・ソーキンさんが企画・制作総指揮を務め、今年の第70回ゴールデングローブ賞テレビの部でドラマ部門作品賞にノミネートされた作品。テレビの報道専用チャンネル「ACN(アトランティス・ケーブル・ニュース)」を舞台に、そこで働くプロフェッショナルたちが実際に起こった最新ニュースをどうとらえ、どう伝えるかに苦悩し、悪戦苦闘する姿を描いた作品。昨年、米ドラマ専門ケーブル局HBOで放送された。
キャストは、人気キャスターのウィル・マカヴォイ役にジェフ・ダニエルズさん、新任のエグゼクティブプロデューサーでウィルの元恋人、マッケンジー・マクヘール役にエミリー・モーティマーさんのほか、ジョン・ギャラガー・Jrさん、アリソン・ピルさんらが出演する。
トークショーには、読売新聞編集局文化部の大木隆士記者も出席。1965年に毎日新聞社に入社し、記者として活躍後、1989年10月から報道番組「ザ・スクープ」のキャスターを務めたことで知られる鳥越さんは、大木記者から最初の放送について聞かれると、「チンパンジーのようにキョロキョロしていた」と表現し、「(番組では)4台くらいのカメラで撮っているんだけど、どこを向けばいいのか分からなくて、体が慣れるまで時間がかかった。最初のころは脇に汗をかいていた」と当時を振り返った。
また、「ザ・スクープ」時代にともにキャスターを務めた田丸美寿々さんについて、鳥越さんは「あるとき、田丸さんから『鳥越さん、あなたは30秒のコメントに(いうべきことが)入っていない。私は5秒あればなんでもいえる』といわれた。そのとき、殺意を覚えた」と冗談めかしながら告白。新聞記者出身の鳥越さんは、「コメントはなんでもいえる」と思っていたというが、「書き言葉と話し言葉は別物で、田丸さんのいうことは正しかったとあとで分かった。キャスターの役割やどういうふうにやればいいかと学習できて、感謝している」と語った。
ドラマについて、鳥越さんは「人間ドラマなんだけど、取り上げているテーマはウサマ・ビンラディン殺害など、実際に起きたニュース。これがすごいと思う」と紹介。ドラマはWOWOWで4月8日からスタート。毎週月曜午後11時放送。字幕版は毎週火曜深夜0時10分から。全10話。(毎日新聞デジタル)
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