DREAMS COME TRUE:吉田美和が初の詩集を発売 世代を超えて共感できる歌詞の魅力

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 今年8月にリリースした3年9カ月ぶりのアルバム「ATTACK25」が、オリコンやiTunesなどのチャートで1位を獲得し、デビューから25年たっても変わらず日本のポップス界のトップを走り続けているDREAMS COME TRUE(以下、ドリカム)。人気の秘密は、ハイクオリティーで決して流行に左右されないサウンドや胸に響く耳なじみのいいメロディー、パワフルな歌声などさまざまな要素はあるが、加えて、聴く者に共感と新鮮な驚きを与えてくれるボーカルの吉田美和さんが書く歌詞は重要なポイントになっている。

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 吉田さんの書く歌詞の魅力について、「聴く人がそれぞれの思い出に重ねることができるところが一つあります。時代を感じさせる言葉を使うことがなく、それだけに昔の曲であっても色あせずいつまでもリアルに聴くことができる」とレーベル関係者は語る。開催中の全国ツアーでは、「ATTACK25」の収録曲「さぁ鐘を鳴らせ」「愛がたどりつく場所」などを披露すると、感動して涙を流すファンが続出しているといい、「今回のツアーでは親子のファンも多く訪れています。世代を超えて一緒に共感して楽しめるところも、吉田さんの書く歌詞の持つ普遍性の表れの一つでしょう」(同レーベル関係者)と分析している。

 そんな吉田さんの歌詞をまとめた詩集「吉田美和歌詩集 LOVE」と「吉田美和歌詩集 LIFE」が、22日に新潮社から発刊される。価格は各1200円(税抜き)。これらは、以前から吉田さんの歌詞に「詩」としての魅力を感じていたメンバーの中村正人さんが監修を務め、書評家・豊崎由美さんが編者として参加した。「吉田美和歌詩集 LOVE」には、「あなたに会いたくて」「未来予想図」「やさしいキスをして」など、愛にあふれた歌詞を厳選。「吉田美和歌詩集 LIFE」には「決戦は金曜日」「またね」「ねぇ」「サンキュ.」など、ライフをテーマにセレクトした。

 中でも今の時期におすすめは、「吉田美和歌詩集 LIFE」に収録されている「FALL FALLS」だ。吉田さんは、秋の訪れを「なぜ秋はいつも こんなに突然『ストン』とやって来る」と表現した。毎年気づいたら秋になっていたという感覚は、きっと誰もが感じていただろうが、それをうまく表現した言葉が今まではなかった。そこを吉田さんは「ストン」という、絶妙な言葉で表現した。「言葉の組み合わせの妙です。最初に歌詞を読ませてもらったときは、我々の発想にはなかったので、目からうろこが落ちた感覚でした。スタッフ全員絶賛した歌詞の一つです」と前出の関係者は語る。アルバムを購入して聴いた人、詩集を会場で手に入れている人は、「FALL FALLS」の歌詞を読みながら、今まさにその言葉を実感していることだろう。

 さらに歌詞の中には、秋の訪れと同時に、昔の恋人のことを思い出すというようなフレーズも出てくる。急に「ストン」と訪れるのは、秋だけでなく思い出もそうで、特に昔の恋人のことはたいてい、ふと突然思い出すものだ。こうした二つの意味で、この「ストン」がキュンと胸に響いて来る。ミディアムのしっとりとしたサウンドに、胸を締め付けるようなメロディーも秀逸で、曇りの日にパーカを羽織りながら浜辺に行き、歌詞とともにぜひ堪能してほしい曲だ。

 現在、ドリカムは全国13都市32公演で30万人を動員する全国ツアーを開催中。会場では2冊の詩集を一つにパッケージして豪華化粧箱に入れた会場限定版を発売している。ドリカムのアルバム「ATTACK25」をBGMに、読書の秋を満喫するのにうってつけの作品だ。

 <DREAMS COME TRUEのプロフィル>

 1989年にシングル「あなたに会いたくて」でデビュー。メンバーは、吉田美和さんと中村正人さん。これまでに52枚のシングルと、最新作「ATTACK25」を含む17枚のアルバムなどをリリース。「決戦は金曜日」「LOVE LOVE LOVE」など数多くのヒット曲を生んでいる。アーティストの中のファンが多く、JUJUさんや中島美嘉さん、水樹奈々さんらが参加したトリビュートアルバム「私とドリカム−DREAMS COME TRUE 25th ANNIVERSARY BEST COVERS−」もリリースされている。現在「AEON presents 25th Anniversary DREAMS COME TRUE CONCERT TOUR 2014」を開催中。

 (取材・文:榑林史章)

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