今シーズンの最初のグランドスラム(4大大会)となる「全豪オープンテニス」が19日に開幕する。WOWOWでは連日生中継。昨年、世界ランキング5位にまで上りつめた錦織圭選手に注目が集まる中、今回WOWOWで試合解説をする日本テニス協会強化副本部長でスポーツキャスターの松岡修造さんに錦織選手への期待や同大会の見どころなどを聞いた。
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−−昨年、全米オープンで準優勝した錦織選手にはさらなる活躍が期待されていると思いますが、松岡さんはどのように見ていますか。
全豪オープンは年始にあるグランドスラムで、調整がカギになってきます。どれだけいい形で休めたか、どれだけいい形で1年を戦う準備ができているか。錦織選手は最も準備ができている選手という気がしました。日本ではなく米国に戻り、しっかりマイケル・チャンと合宿をやり終えましたから、いい形でフロリダに戻っています。トップ選手の中では最高の準備をして入ってこれる選手だと思います。最も大事なことは、フレッシュでいること。年始に疲れた感覚で入ってしまうと気持ちがもたない。だからどれだけフレッシュでいられるかがカギ。錦織選手はフレッシュな感覚をおそらく誰よりも持っているので、それが大きな武器だと思います。
−−錦織選手には優勝の期待もかかっていると思いますが。
優勝のハードルが高いのは間違いないですが、(優勝を)期待しない方がおかしいでしょう。世界の中で今、グランドスラムで優勝できる選手として、錦織圭を挙げないテニス解説者はゼロです。彼にはテニス(の実力)と若さ、勢いがある。結果も出しています。
−−錦織選手は今シーズン、トップ5の一人として迎えることになります。
(錦織選手の)話を聞いていて面白いなと思ったのは、2015年はチャレンジャーのつもりで戦うのではなく、トップでいることを維持しなければいけない、ということ。つまり、トップ選手のつもりでどう戦うか、ということです。これは「負けられない」という気持ちを持っているわけで、「負けられないテニス」が彼にとってプレッシャーになるかというと、僕はそう感じないんです。ただ、唯一怖いのは1、2回戦。雰囲気やコートが違いますから。相手も、対錦織選手ということで、とんでもないテニスをしてくるかもしれません。だから競る可能性はありますが、安定した勝ち方ができる要素はたくさんあると思います。
−−全豪で注意すべき選手を挙げるとすると誰になりますか。
それは全員でしょうね。あえて誰か1人を選べと言われたら、それは世界ナンバーワンの(ノバク・)ジョコビッチ(セルビア)というしかありませんが。(ラファエル・)ナダル(スペイン)も休暇を取って戻ってくるので、相当なハングリーさがあると思います。ただ、昔のナダルのような強さまでは出てこないと思いますので、十分チャンスがあると思います。
−−錦織選手の優勝の可能性をあえて数字で言うと何%でしょう。
確率というのは、誤解される可能性があるから僕はあまり数字は言わないようにしています。ただ、一言だけ言うとすれば、錦織選手が優勝する可能性を疑う解説者は世界中に一人もいない、ということだと思います。
−−松岡さんはオーストラリアの現地に行って解説されますが、楽しみにしていることは。
ジュニアの試合もしっかりと見たいですね。今の世界のジュニアの状況について情報は入っているんですが、実際にどういう方向性なのか、そこをすごく見たいです。昔、錦織選手が12歳のときに、僕も全豪オープンの解説に行っていて、そこで一緒にいたのですが、年齢が低いときにグランドスラムを見せて一緒に行動する、ということはすごく大事だな、と思っていて。そのときは錦織選手がとんでもない選手だったから強行したのですが、これから彼のような選手が出てきたときに、どんどんそういう機会を増やしていくべきだなと思います。
−−WOWOWならではの全豪オープンの楽しみ方はありますか。
WOWOWは(全豪を)日本一放送するテレビ局なんです。オンデマンドもあるし、こんな恵まれた環境はないですね。僕は行く立場ですから、こんなことを言うのは変なのですが、(現地に)行く必要はないです(笑い)。会場に入れないこともないし、現地に行くよりも(WOWOWの方が)たくさんの試合を見ることができます。だからこそ、僕らの役割というのは、観戦している人たちの家を「どれだけ全豪オープン(の雰囲気)にできるか」ということだと思っています。映像だけではなく、声を通して、その雰囲気にできるかどうか。僕はスポーツ解説で海外に行ったときは、皆さんがその場にいる、という感覚になれることを目指して伝えているつもりです。現地の雰囲気と、錦織選手の思いをどれだけ伝えられるか。そこに期待してほしいと思います。
<プロフィル>
まつおか・しゅうぞう。1967年11月6日生まれ、東京都出身。10歳で本格的にテニスを始め、高校2年でテニスの名門である福岡県の柳川高校に編入。高校総体で単・複・団体で3冠を達成する。その後、単身米フロリダ州のハリーホップマン・テニス・キャンプに参加。86年にプロに。92年にKALカップで優勝、ステラアルトワグラスコート選手権で準優勝、95年にウィンブルドンでベスト8。98年のプロツアー卒業後はジュニアの育成に取り組んでいるほかスポーツキャスターとしても活躍している。
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