幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催中の日本最大のゲーム展示会「東京ゲームショウ2015」で、バーチャルリアリティー(VR)映像を楽しめるヘッドマウントディスプレー(HMD)がひときわ注目を集めている。2016年上半期に発売予定のソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のPS4向け「プレイステーション(PS)VR」や16年発売予定の米ベンチャー企業のオキュラスの「Rift(リフト)」などが展示され、“VR元年”を前に大きな盛り上がりを見せている。一方で「話題が先行しているが、実用性は未知数」という関係者の声もあった。
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「プロジェクト・モーフィアス」として開発されていたSCEのHMDは、今回のゲームショウ前に開かれたプレスカンファレンスで正式名称が「PSVR」に決定。来年上半期の発売が視野に入ってきた。ゲームショウでは約20台を展示し、多くの人が体験コーナーに並んでいた。SCEのプレイステーションの事業を統括する伊藤雅康EVP(エグゼクティブ・バイス・プレジテンド)は「他社のVRゲームは、高額なハイスペックPCが必要だが、PSVRは、PS4があれば解決する」と自信を見せる。
グリーのブースでは、HMDに対応したスマートフォン用の謎解き脱出ゲーム「サラと毒蛇の王冠」を展示しており、担当者は「今回、展示したゲームはまだ配信されていませんが、今後はHMD対応のゲームを展開していきたい。スマホゲーム業界もVRに注目している」と期待を寄せている様子。ほかにも小規模なゲームメーカーがPCやスマホ向けのHMD対応のゲームを展示しているが「具体的な展開時期は未定」という声も多かった。
オキュラスのブースでは「Rift」のほか、スマートフォン「Galaxy S6」と組み合わせて使用するHMD「Gear VR」が展示され、リコーの撮影者の周囲360度でを撮影できるデジタルカメラ「THETA」で撮影した映像などを楽しめる。また、アニメ制作会社「プロダクションI.G」のブースでは、人気アニメ「攻殻機動隊」の360度映像を楽しめるアプリの配信を発表するなど、ゲーム以外のHMDの使用例も紹介されている。
オキュラスの担当者は「VRが盛り上がる中、ゲーム業界以外の問い合わせも多い。ゲームはHMDの入り口なのかもしれない。2020年の東京五輪に合わせてスポーツの映像をHMDで楽しむような使い方も考えられる」と話しており、他業界からも注目を集めているようだ。なお、「Rift」の価格は未定だが「個人で購入できる価格になる」という。
一方で「医療関係などさまざまな業界からも注目されているが、何に使うかがまだはっきりしていないところもある」と実用性を疑問視する声も。普及についても、先行するPSVRやRiftの動向や、どんなコンテンツが人気を集めるかがカギを握っているようだ。「アダルトコンテンツで盛り上がるということもありえる」と話す関係者もいた。
HMDは、さまざまな用途が考えられる一方、どんなコンテンツが人気になるかは現時点では分からない。人気コンテンツが登場しなければ、買ってみたものの使わなくなる……ということもあるかもしれない。“VR元年”となる16年は、HMD本体だけでなく対応コンテンツの動向も注目される。
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