2015年秋アニメ短評：アニメ記者が独断と偏見で語る（後編）

　今年の秋アニメが出そろってから約1カ月がたった。「MANTANWEB」のアニメ担当記者が、「機動戦士ガンダム　鉄血のオルフェンズ」「ルパン三世」など話題作を独断と偏見で語る。

ウナギノボリ

「光る君へ」より昔！　最も古い時代の大河ドラマは？　1976年「風と雲と虹と」のあらすじ

　◇終物語

　アニメでも人気シリーズだけに安定しているの一言。シャフト制作のアニメは、演出に力がありすぎて“原作を食う”ことがあるのだが、このシリーズは原作の“鋭さ”もあるため、バランスが取れており非常に相性が良い。続編ものだが、初見の人でも、アニメをじっくり見るタイプの人ならついていけるはず（多分）。個人的には、オイラーの公式を見て、三角関数＆指数関数を思い出し、トラウマが……（成）。

　◇櫻子さんの足下には死体が埋まっている

　太田紫織さんの小説が原作で、骨が大好きな美しい櫻子さんと、彼女に振り回される平凡な高校生が毎度事件に巻き込まれ解決していくミステリー。とにかく櫻子さんの人を寄せ付けないクールで毅然（きぜん）とした雰囲気と、ふとした瞬間に見せる頼りなさ気な表情とのギャップがたまらない。世間知らずで浮世離れした櫻子さんが持ち前の（独特の）博識ぶりを発揮してズバズバ事件を解決していく姿は見ていて痛快だが、今後は手ごわい相手との手に汗握る頭脳戦も見てみたい気がする。個人的にはオープニングでなぜだか分からないが取り乱している櫻子さんが好きです。（鰭）

　◇機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ

　「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがってるんだ。」を手がけた長井龍雪さんと岡田麿里さんのコンビが脚本とシリーズ構成を担当しているガンダム作品。というとセンチメンタルなストーリーなのかしらと思ってしまうが、それは杞憂（きゆう）だ。モビルスーツがビームサーベルではなく、鉄の塊で殴り合うという設定のせいもあって、これまでよりリアルな印象を受ける。表情に乏しく、人をバンバン殺しまくるという三日月・オーガスはこれまでのガンダム作品の主人公としては異質でインパクト大。ヒロインのクーデリアとの距離感は「ガンダムW」のヒイロとリリーナをほうふつとさせる。今のところ仲間のために極めて合理的な思考で敵を葬っているが、今後三日月の心境にどんな変化が訪れるのだろうか。（立）

　◇ルパン三世

　本編テレビシリーズとしては約30年ぶりの新作で、旧テレビシリーズへのリスペクトが随所に見られる。ぬくもりのあるアナログ風な作画、CM放送前後に流れるアイキャッチは懐かしくもあり、最近のアニメに慣れた目からすると、新鮮に見えるかもしれない。新キャラクターでエキセントリックな“ゴシップクイーン”のレベッカは、峰不二子とは違う魅力があって可愛い。派手さはないものの安心感があり、アニメファン以外にも幅広い層で楽しめる作品だ。それだけに、夕方や土日の朝などの放送がマッチしそうだが、深夜の放送というのが残念。（鉄）