週に約100本(再放送含む)のアニメを視聴し、アニメを使った町おこしのアドバイザーなども務める“オタレント”の小新井涼さんが、アニメにまつわるさまざまな事柄についてつづります。第18回は、小新井さんが番組で行っているアニメイベントのリポートについて語ります。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
先月からの続きになりますが、NOTTVさんの「浪川大輔とアニメサポヲタ倶楽部ww」で初めてやらせていただいていることの一つにリポートがあります。小新井の願望がそのままタイトルになっている「私を二次元に連れてって!」というコーナー。こちらを担当させていただき、アニ玉祭や立川あにきゃんといったアニメ系イベントの紹介や、参加者さん、関係者さんへのインタビューなどを行っているのです。作品やイベントになじみのある自分なりにどんなリポートができるのか、知らない人でも興味を持ってもらえるポイントはどこなのか……毎回リポートを通して考えさせていただくことで、私自身もイベントの新しい側面や、今まで気づかなかった魅力を発見させてもらっています。
出不精で“コミュ障”な自分ですが、そこはなじみのあるアニメイベント、さらにインタビュー相手もアニメ好きの同志の方というのはとても心強いところです。何度かリポートをさせていただいた中で、小新井ならではと言っていただけたのもそんな“同じアニメ好き目線でのリポート”でした。「初めて会う人とのオタ話には抵抗がある……」、という参加者さんの気持ちもすごくわかるので、少しでも安心してもらえればとキャラや作品のマニアックなお話もして“オタクリトマス紙”も進んで染めにいきます。相手もそれに反応して熱く作品愛を語ってくれるのは同じアニメ好きとしてもうれしい瞬間です。
一方、知っているつもりだったイベントも、紹介する側として向き合うことで新しい側面が見えて来ることがありました。特に印象が変わったのは初めて参加した「AGF(アニメイトガールズフェスティバル)」です。それまで“グッズ販売メインの女性向けイベント”というざっくりとしたイメージしか持っていなかったので、ロケ前の下調べと実際のリポートを通して、年々規模だけでなくその内容も大幅にパワーアップしていることを知ってびっくり。まさか会場でキャラクターネイルやアニメキャラとの恋占いまで体験できるとは思っていなかったので、まさに“乙女の祭典”の名にふさわしい複合イベントだったのだと認識を改めた出来事です。
また、取材ネタを探す際、自分たちアニメ好きには当たり前すぎて珍しいと思っていなかったことに驚かれ、逆にこれぞ!と思った見どころがマニアックすぎて伝わらないという、アニメになじみのない人との面白いギャップもありました。
例えばリポート中に出てきた単語一つをとっても、補足が必要かどうかで普段なにげなく使っている用語や略語がどこまで通じるかのボーダーラインを知ることができます。一般的だと思っていた「ドール」や「筐体(きょうたい)」という言葉も、知らない人には専門用語のように聞こえてしまうというのは驚きでした。
聞こえるといえば、「ガッチャマンクラウズ」で出てくる「立川CAGE」という用語ですが、初めて聞いた人は間違って「立川刑事」と脳内変換しまうこともあるんですね。「確かに説明しないとそう聞こえちゃう!」と反省しつつ、文章ではなく声でのリポートにおいて作品の用語などには特に、文字での補足が必須であることを痛感しました。
そして、数あるギャップのなかでも、特に大きな反応をいただけたのはやはりコスプレ文化。ハンドルネームと同じ感覚で使っていた“コスネーム”という言葉を新鮮に感じてもらえたり、“合わせ”や“長モノ”、コスプレにおける暗黙のルールやマナーなども、なじみのない人にはなかなか知り得ない新鮮な情報なんだとリポートを通して知ることができたのです。始めは「見ている人が驚くようなマニアックな情報やネタを紹介しなければ!」というプレッシャーがあったのですが、むしろ自分たちが普段当たり前のように行っていることにこそ、見る人が興味を引かれるようなアニメイベント特有の面白さがあるということを教えてもらいました。
そんなイベントの新しい魅力を知ることができるのはもちろん、リポートを通して私自身も会場の雰囲気や参加者の方々の熱気を味わわせていただけるのは、いちオタクとしても大変光栄なことだと毎回感謝しております。
しかし、よりディープな話題の巣窟であるコミケや、今では休みなく開催されているコラボカフェのアニメフード、2.5次元舞台やリアル脱出ゲームなどなど……まだまだ知ってもらいたいアニメ関連のイベントは盛りだくさんです。
私たちアニメ好きが普段イベントで“楽しんでいること”を改めて見つめ直し、それを伝えることで、参加したことのない人や会場に行けない人にもイベントの魅力が伝わるようこれからも張り切っていろんな場所へ出没させていただきたいと思います。
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。アニメ好きのオタクなタレント「オタレント」として活動し、ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」やユーストリーム「あにみー」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)のアニメを見て、全番組の感想をブログに掲載する活動を約2年前から継続。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、社会学の観点からアニメについて考察、研究している。
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