今年、創刊50周年のマンガ誌「ビッグコミック」(小学館)の関係者に、名作の生まれた裏側や同誌について聞く連載企画「ビッグに聞く」。第11回は、「漂流教室」「まことちゃん」などの楳図かずおさんが登場。創作秘話、マンガの未来などについて聞いた。
ウナギノボリ
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「ビッグコミック」が創刊したのが50年前の1968年。当時、30代だった楳図さんは多忙を極めていた。「少年サンデー」(小学館)や「少年キング」(少年画報社)、「ティーンルック」(主婦と生活社)などで連載を抱え、さらに「ビッグコミック」も加わる。「ストーリーのストックは常に5本用意していました。どうしても思いつかないときだけ、ストックから使っていました。歩きながら考えるんです。五つあるとパニックにならないんです。安心感があるんですね」と振り返る。
楳図さんは「独特」としか表現できないような作品を数多く生み出してきた。「マンガは文学性と芸術性が足りないと思っていた」「マンガは二言めにはキャラクターというでしょ。僕はキャラクターに重きは置かない。あくまでストーリーを優先する。そうすると掘り下げ方が変わる。キャラにこだわりすぎると、深みのあるお話は描けないと思います」という思いでマンガを描いてきた。
さらに「僕は根源を見たいという気持ちがあり、人間の本性、本能を探ってきた。本能に逆らいたいという気持ちで物語を作ってきた」とも明かす。
「ビッグコミック」の創刊から50年で、マンガは進化してきたともいわれている。しかし、楳図さんは「50年前を思い出しても、この前のような気がするし、50年後の未来もすぐ先の気がします。遺伝的継続は4万年、文化は400年が一区切りとも言いますから、マンガに変化が起こるのは350年後!」と持論を展開する。
「人間の持っているパターンは何年先でも、変わらないような気がするんですよね。でも、これが新しい!という表現は出てくるでしょうね。もし出てきたら、イアラー!と大声で叫びますね」とも話す。「イアラ」は、楳図さんが「ビッグコミック」で連載した名作のタイトルで、「再び会いましょう、いつかどこかで」という意味の造語。350年で、楳図さんを叫ばせるような表現は生まれているのだろうか……。
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