俳優の椎名桔平さんが主演を務めるWOWOWのドラマ「連続ドラマW 神の手」の第1話が6月23日に放送され、椎名さんらのコメントが公開された。椎名さんは「安楽死というものに意を決して向き合い、このドラマの世界にどっぷり入っていこうという気持ちで撮影に入りました」と振り返り、「人は必ず死ぬということを考えたら、どう死ぬか、そして、それはどう生きるかにつながってくる。このドラマを通してご家族や友人と有意義な会話を生むきっかけになれば、こんなうれしいことはないと思っています」と語っている。
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ドラマは、現役医師で作家の久坂部羊さんの同名小説(幻冬舎文庫)が原作。外科医・白川泰生(椎名さん)は、21歳の末期がん患者・古林章太郎(葉山奨之さん)を、彼の育ての母で伯母の古林晶子(坂井真紀さん)が見守る中、苦渋の選択で安楽死させる。その安楽死処置をきっかけに、安楽死法案の成立を巡り、医学界、政界、マスコミ、市民団体を巻き込んだ大騒動が巻き起こる。白川は推進派、反対派の両方から接近され、その激しい論争の渦の中で世論をも扇動し、翻弄(ほんろう)されていく……という展開。
ドラマはWOWOWプライムで毎週日曜午後10時放送。全5話。第1話が公式ホームページ、公式YouTubeで無料配信中。30日午後10時まで。
椎名さんらのコメント全文は以下の通り。
安楽死というものに意を決して向き合い、このドラマの世界にどっぷり入っていこうという気持ちで撮影に入りました。普段は見て見ぬふりをしたり、なるべく避けて通るような死についての問題。スイスなど一部の国では安楽死が認められていますし、日本も近い将来そうなるかもしれません。今、死について考えるということは大事だと思います。人は必ず死ぬということを考えたら、どう死ぬか、そして、それはどう生きるかにつながってくる。このドラマを通してご家族や友人と有意義な会話を生むきっかけになれば、こんなうれしいことはないと思っています。
(ドラマに登場する)21歳の肛門がんの患者さんのエピソードは私の実際の経験に基づいています。誰でも1回は死にます。1回しか死ねないんで、ぶっつけ本番です。死ぬことを考えるのは不吉だと思うかもしれないけど、上手に死ぬためには向き合って準備する必要があります。死について考えているうちに慣れてきて、あまり嫌ではなくなると思いますので、この作品を見てぜひ死に向き合って自分の死に方をイメージして考えていただければと思います。
今まで制作した医療ドラマは、お医者さんが医療行為をして、患者さんを救うことを前提にしたドラマが多いと思います。今回は、患者さんが亡くなるところを大きなポイントにしました。人生100年時代や超高齢化社会といった社会背景を受けて、誰もが迎える人生の終焉(しゅうえん)について考えるきっかけになれば、という思いで制作しました。
安楽死に関して重要な問題を提示する素晴らしいドラマだと感じました。安楽死は、「正しい」「誤り」といったシンプルな二元論では語れない重要な問題だと思います。例えば、安楽死が認められると「周囲に迷惑をかけるから」という理由で死を望む人が現れたり、本来、疼痛(とうつう)緩和などの緩和ケアによって避けられるはずの死が軽視されたりする恐れがあります。また、手を下した医師の精神的なケアも問題になります。ドラマでも、白川医師は自らの判断が正しかったのかと一生悩むことになるでしょう。ドラマ「神の手」は、こうした状況をリアルに描くことで、困難な課題を私たちに突きつけているのだと思います。
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