弱虫ペダル:女性人気に作者びっくり 劇場版の裏側

「劇場版 弱虫ペダル」原作者の渡辺航さん
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「劇場版 弱虫ペダル」原作者の渡辺航さん

 渡辺航さんの自転車マンガが原作の劇場版アニメ「劇場版 弱虫ペダル」が28日に公開される。原作者の渡辺さんがストーリーを書き下ろした完全新作で、インターハイの成績優秀チームが出場する「熊本 火の国やまなみレース」で激闘が繰り広げられる。渡辺さんに劇場版やマンガの裏側を聞いた。

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 ◇会話劇が重要に

 「弱虫ペダル」は、渡辺さんが「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)で連載中のマンガで、フィギュアやアニメが大好きな気弱な少年・小野田坂道が、千葉県の総北高校でロードレースの魅力に目覚め、仲間と共にインターハイ優勝を目指す姿が描かれている。テレビアニメは第1期が2013年10月~14年6月に放送され、第2期が14年10月~15年3月に放送された。

 渡辺さんは劇場版のストーリーも手がけており、自身の役割について「『弱虫ペダル』は会話劇が重要になるので、会話やシチュエーションを文章で書きました。普段はまずネーム(マンガの下書き)を描くのですが、今回は文章でストーリーを書いた」と話す。また、アニメとマンガでは制作方法が大きく異なることから「アニメのスタッフにある程度任せている」という。

 劇場版は熊本で行われるレースが舞台。熊本を舞台にしたのは渡辺さんのアイデアで「夏休みに実家の長崎に帰省した際、自転車で阿蘇を走ったことがあったんです。雄大でいいな……と思い、ここを舞台にロードレースを描きたいと考えた」と説明する。

 劇場版には、主人公・坂道が1年生の時にインターハイで戦った熊本代表・熊本台一の田浦良昭のほか、同じく熊本台一のエースでケガのためにインターハイには出場できなかったという設定の新キャラクター・吉本進も登場する。渡辺さんは、新キャラクターの吉本について「ロードレースは、ケガで出場できない選手もいるものなので、吉本のようなキャラクターがいるチームがあってもリアルだと思った。田浦はネタキャラでしたが(笑い)」と語る。

 ◇女性キャラが少ない理由

 「弱虫ペダル」は少年マンガ誌での連載作だが、テレビアニメの放送以降、女性からも人気を集めている。渡辺さんは、女性人気について「少年に向けて描いているので予想していなかった。ただ、サイン会をするたびに、だんだん女性が増えていったんですよね……」と思わぬ女性ファン獲得に驚いている様子で「知人の女性のマンガ家の方に、女性が入り込めない男の部活が描かれているので、マンガを読むことで、それを体験できるところが人気なのでは?と聞いたことがあります」と話す。

 女性キャラが少ないのも特徴の一つだ。渡辺さんは「例えば女性キャラがゴールを前で『頑張って』と言うと、女の子のために頑張っているように見えてしまう」と話すように、男性キャラが勝利を目指して努力する姿を強調するために、あえて女性キャラを少なくしているようだ。

 ◇キャラの誕生秘話は?

 同作は坂道の先輩・巻島裕介やライバルの箱根学園の荒北靖友、新開隼人ら個性的なキャラクターも人気を集めている。渡辺さんにキャラクターの誕生秘話を聞いてみると「ロードレースでは、選手が補給食を食べる姿を目にしますが、『弱虫ペダル』では、新開が登場するまで補給食を食べるシーンがあまりなかった。補給食をムシャムシャ食べるキャラクターを作ろうと思って、新開が生まれた」と明かすように、ロードレースを見ている中で、キャラクターが生まれることもあるようだ。

 総北高校のサイクリングジャージー姿で、自身のロードバイクを持ってインタビューに応じた渡辺さん。週刊連載を抱え、多忙な中でも、時間を見つけてはロードバイクで走っているという。劇場版は、自身がロードバイクで走った道がアニメとなることから「大きなスクリーンで熊本の風景を味わっていただきたいですね」と笑顔で話していた。

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