黒木華:一番の幸せは「役で覚えてもらうこと」 初大河「真田丸」と女優への思い

NHK大河ドラマ「真田丸」に梅役で出演している黒木華さん=NHK提供
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NHK大河ドラマ「真田丸」に梅役で出演している黒木華さん=NHK提供

 女優の黒木華さんが、俳優の堺雅人さんが主演を務める2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」の第3話「策略」(24日放送)から登場する。演じるのは、堺さん扮(ふん)する主人公・真田信繁の初恋の女性・梅の役だ。黒木さんにとって今回が初の大河ドラマで「歴史が苦手なのにこんな役をいただけて、私でいいのかしらというのはある」と若干の戸惑いを感じつつも、「自分自身に興味がないし、役の中できちんと生きられる女優になりたいという思いがあるので、役(梅)で覚えてもらえたらそれが一番の幸せ」と語る黒木さんに、ドラマへの思いなどを聞いた。

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 「真田丸」は、戦国時代に信州の小さな領主のもとに生まれた信繁が、家族とともに知恵と勇気と努力で乱世をサバイバルする姿が描かれる。三谷幸喜さんが脚本を手がけ、信繁の兄・信幸(信之)を大泉洋さん、信繁と信幸の父・昌幸を草刈正雄さんが演じるほか、長澤まさみさんや高畑淳子さん、草笛光子さんらが真田家の人々として登場する。

 ◇三谷幸喜からのオーダーは「早口で」 嫌味と紙一重な梅の言動には…

 黒木さんが演じる梅は、真田の郷の農民たちのリーダーで、信繁を慕う地侍・堀田作兵衛(藤本隆宏さん)の妹。信繁の初恋の女性で、信繁の最初の子を産む。実在した人物ではあるものの、「梅」という名前は三谷さんらが「想像でつけたもの」となっている。三谷さんからは「こういう役に」という指導は特になかったといい、「それよりも全体に対して『書きたいことを全部詰め込んでしまったので、早口でしゃべってくれ』とおっしゃっていて、とにかく早口でしゃべれるように頑張ろうと思いました」と笑顔を見せる。

 演出を手がけた木村隆文さんの説明によると、梅は「人によっては嫌味に聞こえることを純粋に言えてしまう子。だけど“おぼこくはない(幼いわけではない)”、ちゃんとした女性」。黒木さんは「行き過ぎると意地悪に感じてしまうので、そのすれすれのところを狙ってくれといわれている」といい、「余計なことを先読みしてしまうと、行き過ぎてしまったりするので、できるだけ素直に、“邪悪”なことは考えないようにやってはいます(笑い)」と明かす。

 実際に梅を演じてみた印象は、「つかみづらい人」。黒木さん自身と似ている部分、似ていない部分を尋ねると、「(長澤さんが演じている)きりちゃんから『あなた、それ嫌味と紙一重よ』といわれるところはぜんぜん違うと思う」と苦笑い。その上で「誰に対しても真摯(しんし)に優しさを持って向き合うところは、私に似ているというわけではなく、みんながやっていることなんじゃないのかなって。そのあたりは今と変わらない、普通の子なんじゃないのかなって」と共感を寄せる。

 ◇初恋相手という役柄「ぶっちゃけ、どうとも思っていない(笑い)」

 主人公の信繁にとって初恋の女性となる梅。黒木さんは、初恋の相手うんぬんという役柄の部分に関していえば、「ぶっちゃけ、どうとも思っていない(笑い)」とおどけてみせ、「梅ちゃんも信繁さんのことがすごく好きで、初々しさが出ていたらと思うんですけれど。梅は賢い、聡(さと)い人なので、たぶん信繁さんが特別な感情を抱いてくれているというのも分かってはいるんでしょうけれど、そこにはあまりとらわれずにやってはいます」とあくまで自然体だ。

 信繁の“生涯のパートナー”となっていくきり(長澤さん)を交えた三角関係の行方も気になるところだが、黒木さんはきりと梅との関係を「ただのライバルではない。仲良しという女同士の関係もある」といい、「時代も相まって、きりの方がお姫さまとしてのチャーミングさがあり、一方で梅はきちんと地に足をつけて生きている百姓。その身分の差、戸惑いなども見ていただけたら」とも話す。

 長澤さんとは今回が初共演で、きりを演じる姿を見て「すごい愛らしいなって思いました」と明かすと、「年の近い先輩というか、そういう方とご一緒するって今までなかなかなかったので、いろいろなお話が聞けて面白いです」と楽しそうな表情で語る。さらに「おいしいお店を教えてもらいましたし、焼き肉に連れていってもらったりもしました。本当によくしていただいています」とうれしそうに語っていた。

 ◇気遣いの人・堺雅人に感謝 “呼び名問題”に言及も「今回は『梅ちゃん』で」
 
 そんな黒木さんに、改めて大河ドラマ初出演の感想を聞くと「私のファンであるおばあちゃんがとにかく喜んでくれています」とうれしそうな笑顔で話す。衣装やセットなど細部までのこだわりから日々、「大河らしさを実感している」といい、「劇的ですよね、大河って。自分が出るようになって改めて考えてみると、壮大なスペクタクルだなと。時代を生き抜くということが、こんなにも大変なんだと思いましたし、それぞれ生きるということに執着を持って、時にはプライドを懸けて戦うというのは、すごく魅力的だなって」としみじみと語る。

 一方で黒木さんは大河ドラマ出演にあたって「歴史が苦手な私の中では大きな、重要な役で『大丈夫かな、どうしようかな』とマイナスな思いもあった」とも告白。そんな心配を取り払ってくれたのが、共演者や周りのスタッフで「何よりも堺さんが『大丈夫だよ』といってくださって。今はすごく、梅をやらせていただいてよかったなと思える、自分にとっていい経験になっています。堺さんはすごく周りの人を楽しませて気遣ってくれる、優しい方ですね」と感謝の言葉を口にする。

 最近はテレビドラマに映画にと大活躍だが、いまだ「くろき・はな」と呼ばれることに関して、「『はなちゃん』と呼ばれること自体はかまわないんですけど、人名辞典では“華”と書いて“はる”と読めるとなっているので、人から『読めない』といわれると『おい!(怒り)』ってなります」と冗談まじりにコメント。その上で「それより今回は『梅ちゃん』と呼んでもらえる方がうれしいなと思います。『天皇の料理番』の時も見てくれた方が『(役名の)俊子さん、よかったよ』といってくださっていたので、今回も役やイメージで感じてくださることが一番の幸せかな、と思っています」と話した。

 NHK大河ドラマ「真田丸」は、NHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送中。

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