話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、初野晴さんのミステリー小説が原作の「ハルチカ~ハルタとチカは青春する~」です。ダックスプロダクション所属の音響監督、飯田里樹さんに作品の魅力を語ってもらいました。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
高校生のハルタとチカが吹奏楽を通じてさまざまな人々と出会い、それぞれが抱えている問題や悩みに向き合いながら、人間関係を育み成長していく物語です。推理小説が原作なので謎解きシーンも見応えがあり、また吹奏楽シーンも各回のシチュエーションに合わせて、その都度、細かく作り込んでいるなど、いろいろな面から楽しむことができる作品になっています。ですが、一番の魅力はハルタとチカの軽妙な掛け合いですね。青春してます。
ハルタは可愛いらしい美少年ですが探偵役で一言多いタイプのキャラクター。斉藤さんの無自覚にSっぽい芝居がハルタにぴったりでした。一方、チカはおバカな元気娘。ブリドカットさんは果敢にアドリブを入れてくる怖いもの知らずな役者さんなので、アグレッシブなチカにぴったりかと。……あれ? 褒めてるんですけど伝わってます?
今回はテーマが「青春」ということで、レギュラー陣は若い役者さんで固めています。彼らの持つフレッシュさで、よい青春劇が描けているのではないかと思います。作品の性質上、回を追うごとに登場人物が増えていきますが、同年代ということもあり、キャストが増えても現場は和気あいあいとしていて、とてもよい雰囲気です。
音響的に大変なのは吹奏楽シーンですね。部員の数が毎回増えるので楽器の編成も毎回変わり、音源もその都度合わせて作っています。また、ハルタのホルンに即興でオーボエとサックスがアンサンブルに加わるなど、ストーリーに合わせた音源も必要となります。吹奏楽に関しては橋本(昌和)監督やランティスさんの密な打ち合わせのおかげで、よい曲をご提供いただけるので助かっています。
個人的にこだわったのは第6話「スプリングラフィ」の糸電話のシーンです。実際にキャストに紙コップをつけてもらって収録しました。異様な光景でしたが音響的にはよいものが録れました。
物語後半は、いよいよコンクールに挑みます。コンクールの会場にいるのに次々に起こるミステリー(笑い)。ハルタとチカの名コンビの活躍は部員集めだけでは終わらないようですよ。
推理ものとして楽しむか、吹奏楽ものとして楽しむか、楽しみ方はあなた次第です。草壁先生の「遠回りしながら大切なものを見つけられる場所であってほしい」という言葉の通り、ハルタとチカはいろいろな体験をしながら成長しています。時にほろ苦い思いをしながらも青春時代を歩む彼らをこれからも見守っていただけると幸いです。
音響監督 飯田里樹 ダックスプロダクション所属
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